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斧と女神のファンタジー ~伝説の斧が存在しない理由に纏わる馬鹿げた物語~  作者: 新人@コミカライズ連載中
第三章:ようこそ、偏執者たちの魔窟へ

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エピローグ:引き分け

「さーて! 銀級昇格祝いに今日はパーッと行くわよ! パーッと!!」

「エイル様、唐揚げ! 唐揚げも注文していい!?」

「もちろん! 好きなだけ注文しなさい! おかわりもいいわよ!」

「まったく……まだ金が入るって確定したわけでもないんだから使いすぎんなよ?」


 三者三様の喜びと共にギルドから退出していくルゼルたち。


 イルザはカウンターに頬杖をつきながら彼らを見送っていた。


 その顔には普段は見られない不機嫌な表情を浮かべている。


「あの小娘……」


 その口から心底忌々しげに言葉が紡がれる。


 想定通りに行けば、どんな結末であれ自分に敗北はなかったはず……。


 瑞々しい薄桃色の唇が強く噛み締められて血が滲み出る。


 彼女の脳裏に浮かんでいるのは、あの洞窟での顛末。


 情報を仕入れてから入念に準備を重ねて完璧に事を運んだ。


 出来上がったのはルゼルくんのルゼルくんによるルゼルくんのための舞台。


 どう転んでも自分は最高のルゼルくん成分を摂取出来るはずだったのに……。


 なのに、あのエイルとかいう小娘……。


 ルゼルくんにまとわりつく頭のイカれた女が最後の最後で全てを台無しにした。


 あの女が事態を最後の最後で最良の解決へと導いた。


 何をしたのかは分からないが、直感的にそうだとイルザは確信していた。


 それは本来ならありえなかった不満な結末――すなわち自らの敗北に彼女は更に強く唇を噛みしめる。


「あー……うるさいうるさい……黙っててよ……」


 不満が頂点に達した彼女は、この場にいない誰かと話すように独り言ち始める。


「いちいち言われなくても、自分のミスくらい分かってるっての……」


 自らの頭部を掌底で何度も叩きながら、更に独り言を重ねていく。


「エイルに、ノア……ただの添え物(モブ)かと思ってたけど……少し認識を改めなきゃ……」


 彼女の記憶域に二人の名が明確に刻まれる。


 主人公であるルゼルのヒロイン候補、すなわち自らが試練を課す対象として。


「イルザさーん! 頼んでいた書類は出来ましたかー?」


 事務局の奥から事務主任の甲高い声が響いてくる。


 同時に、自分の頭を叩いていた手をピタりと止まる。


「……でも、今日は面白い物が手に入ったから引き分けってことで」


 制服についたポケットへと手が差し込まれ、中から漆黒の塊が取り出される。


 それは洞窟から脱出する際に彼女が回収した人造神遺物の欠片。


 手のひらに乗る程度の破片だが、闇を具現化したような邪悪は失われていない。


 あの黒い靄が新たな所有者の狂気に呼応するように湧き出す。


 イルザは不穏な笑みを浮かべながらそれをギュッと大事そうに握りしめると、再び服の中へと仕舞い込んだ。


「はーい! 今、持っていきまーす!」


 そして、普段どおりの()()()()()とただの受付嬢として事務局の奥へと消えていった。

いつも応援ありがとうございます。

今回を以て第三章は終わりとなります。新キャラたちはいかがでしたか?

明日は一度登場人物紹介の更新を行って、明後日から第四章の投稿を開始していく予定です。


毎日更新は継続していきたいと思っていますが、推敲に時間を取られて書き溜めが徐々に減りつつある状態です。

これからも頑張るために、何卒応援のほどよろしくおねがいします。

読者の皆さんからの応援が何よりも力になります。

(巷の噂によるとブックマークに登録したり、下部にある☆☆☆☆☆で評価するのが手軽で高い効果が見込めるらしいですよ。少し手間がかかるのなら感想もおすすめだとか)


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