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へるしば~正確かつ執拗に太腿に噛みついてくる地獄のシヴァイヌ~

作者: 須方三城

 よく晴れた昼の事。鬱蒼とした森の中。

 不細工な面のオークが宙を舞った。


「ぶひぃ!?」

「ふん。オークなんてお呼びじゃあないのよ」


 オークが吹き飛ばされた地点に佇むのは、凛とした佇まいの女性。


 闇のような黒い長髪、紅い瞳は炎を固めた宝石めいて、肌は浅黒く耳は鏃の如く尖ってる。

 その姿はまさしくダークエルフの者。

 森の神の寵愛を受け、美貌と肉体美を授かるエルフ系の例にもれず。そのダークエルフも整った顔立ちと恵まれた体つき、そしてそれらを見せつけるような軽装だった。しかし、その右足だけは付け根まで覆う黒鉄の鎧を纏っている。


 彼女の名はチョコメロン・クッキークリーム!


 エルフ系でありながら森の神の教えをぶっちぎって森を飛び出し、冒険者稼業に!

 今では【黒蹴クロキックのチョコメロン】と言う異名で畏れられるベテランである!

 黒鉄の鎧で包んだ右足による必殺キックは万物粉砕!

 極限アルテマドラゴンの股間すら爆砕してみせたと言う武勇伝がある!


「雑魚カス豚野郎は、しばらく流動食でも食ってなさい」


 必殺キックの餌食となり、顎がぐしゃぐしゃに砕けて倒れたオーク。

 泡を吹きながらびくんびくんと全身を痙攣させるその無様に、チョコメロンは顔を顰めながら唾を吐き捨てた!


 ダークエルフはエルフ系故に美しいが――種族名にダークと冠するだけあり、性格がちょっとキツい者が多い!

 チョコメロンもまた然りである!

 しかも天然とかではなく、己の立ち振る舞いが悪辣だと理解した上でやっている!


 彼女は悪びれもせず、挑発的に笑いながら言う――「ダークエルフだもの。悪いエルフに決まっているでしょ?」と。


「おうおう……やんちゃなお嬢さんじゃな」

「ぁん?」


 ふと聞こえたしゃがれ声。

 チョコメロンが振り返ると、木の枝に紺色の魔術衣ローブを纏った老輩が座っていた。

 フードを深く被っているので顔が見えない、種族は特定できないが、その声と零れた立派な髭からして老輩だと断定できる。


「そんなにやんちゃをしていると……【へるしば】様が来てしまうぞい?」

「へるしばサマァ……? 何よそれ」

「おやおや……へるしば様を知らないとは」


 老輩は骨と皮だけの手を出して、ゆっくり自前の髭を撫でる。


「さては若いねぇ? 尖り耳は早熟長命。見た目じゃあ歳がわからなくていけないのう」

「確かにまだアタシは一二歳になったばっかだけど……ガキ扱いされるのは気に入らないわねぇ……っと!」


 言うが早いか、チョコメロンは老輩が座っていた木を必殺キックを放った!

 黒鉄の足が直撃すると、太い幹はまるでか細い氷柱つららか何かのようにベキッとへし折れて、倒れる!


 老輩はその倒壊に巻き込まれて――いない!


「……老いぼれの癖に、素早いわね」


 いつの間にか背後に回り込んでいた老輩に気付き、チョコメロンは大きく舌打ち。


「やれやれ……老いぼれをいたわる心も無しときた。これはへるしば様が来る。ぜったい来る」

「だーかーらー……へるしばサマってのは何なのよ……」

「平たく言えば、子供をしつけるために聞かせる空想話の魔物よ」

「空想ォ?」

「雷が鳴るような天気の日に腹を出して寝ていては風邪を引く。故に子が腹を出さぬように『雷神トトール様は子供のへそを弄ぶ趣味がある』と夜ごとに語って聞かせる……そういったものの亜種よ。尖り耳にもその手の教えはあるじゃろう?」

「ああ、確かにあるわね。『下着なんて持っているとドワーフに盗まれて悍ましい行為に使われるから下着なんて持つな』とか」


 ドワーフへの深刻な風評被害はともかく。


「へるしば様は、悪党――つまり他者を思いやれぬ者の所に現れ、罰を与える地獄の使い魔。恐ろしき牙を以てその愚かな振る舞いを悔い改めさせる。地獄ヘルより出でてその姿はシヴァイヌにそっくり。故にへるしば様」

「シヴァイヌってあの名前負けしまくりの可愛い犬? そんなの何も恐くないし」


 子供をしつける気あんのそれ? とチョコメロンは嘲笑。


「大体、空想って最初に言っちゃったじゃん。アタシを恐がらせたかったんでしょうけど、老いぼれらしい大失敗ね」


 チョコメロンは、べぇっ、とピアスをつけた肉厚の舌を老輩に見せつける。


「……話には聞けど、この目で見た事の無い存在もの。それ全て空想と言わざるを得まいて。ワシは善良なジジィ故、へるしば様の御姿を拝んだ事は無いのじゃ」


 しかし、おぬしはどうかのう……とフードの奥で不気味な目が光る。

 不遜な態度を決め込んでいたチョコメロンも、思わず背筋にひやりとした感触を覚えるくらい不気味な視線だった。


「……冒険者稼業のようじゃが、悪い事は言わん。今日の冒険はとりやめて街に戻り、教会に駆け込む事をオススメする。へるしば様も懺悔室に入った者を噛みはせんじゃろう」

「ハッ……誰が――って、あァ?」


 ほんの一度のまばたき。

 その合間に、不気味な老輩の姿は消えていた。


「……なんだってのよ……」


 あまりの不気味さ加減に「あの老いぼれ、何か呪いでもしかけてないでしょうね?」と不安になる。

 しかし、それを確認してもらうために教会へ行くのは――なんだかあの老輩に言われた通りになってしまうようで、癪に障る。


「この森を抜けて、次の街で観光がてら教会に行けばいいのよ」


 来た道の方へ向きかけた爪先を無理やり翻して、チョコメロンは森を進む事にした。



   ◆



「せーのっ!」


 掛け声と共に放たれる黒鉄の必殺キック!


「ぐわあああああああああああああああ!」


 チョコメロンの蹴りは虚空を引き裂いただけ。何にも当たってはいない。

 しかし、その余波だけで無骨な盗賊どもが束で吹き飛ばされた!


「うぐぅ……くそう、軽装の良いカモが来やがったと思ったら……何て冗談めいた強さだ……!」

「あらあら、黒蹴クロキックと畏れられるアタシを知らないなんて、無知な盗賊どもね」

「く、黒蹴クロキックだってぇ……!?」


 チョコメロンの異名を聞いた途端、盗賊たちがどよめきだす。


「ドラゴンのタマキンすら潰しちまう強烈な蹴りと、一二歳とは思えねぇボディのせいでロリコンどもの脳が破壊されちまうと言うあの……!?」

「ろりこんってのが何の事か知らないけど、アタシの蹴りは強烈よ」


 盗賊どもはノーマリアン、只人。

 チョコメロンほどの冒険者から蹴りを受ければ確死!


 それを承知させた上で、チョコメロンは楽しそうに笑う。


「さぁて、アタシに噛みついてきた以上……タダで済むとは思わない事ねぇ! 全員必死に股間を守りなァ!」


 ちょうど、不気味な老いぼれのせいで気が立っていた!

 良い憂さ晴らしになるわ! とチョコメロンは尻もちを突いて動けない盗賊たちの元へ一歩、近寄った。


 がしゃり、と凶悪な足鎧が音を立てる。


「しぇばぅ」

「……?」


 ふと、何やら間の抜けた鳴き声が響き渡った。

 声の響きからして、小型の獣。


「しぇばぅ」


 さらなる一鳴きの後、盗賊たちの背後にあった茂みが揺れ始め、声の主が姿を現した。


「……シヴァイヌ?」


 胡麻色の毛並みに覆われた、むっくりとした丸みのある小犬。

 片手で抱えられそうなサイズとくりっくりのお目目からして幼犬。


 ――シヴァイヌだ。

 破壊神シヴァーが寵愛し、東洋の諸島国家をこの犬の一族に治めさせたと言う神話がある。

 故にその種族名はシヴァーの名を冠しているのだ。


「しゃばしゅ」


 小指の第一関節みたいな長さの尻尾をぱたぱた振りながら、幼いシヴァイヌは盗賊の一人に近付いていく。


「な、何でこんな所にシヴァイヌがいるんだ……?」


 盗賊が首を捻っていると、シヴァイヌはその盗賊の太腿の匂いをすんすんと嗅ぎ始め、そして――


「しぇいばい」


 一鳴きすると即座、幼犬らしからぬ獰猛な牙を剥き出しにして――盗賊の太腿にがぶりゃと食らいついた!!


「ぎ、ぃやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!???!?」


 あいつはマグマに足でも突っ込んでしまったのか? と疑いたくなる、痛烈な悲鳴。

 直後、盗賊は白目を剥き、顔中の穴から汁を噴いて気絶してしまった。


「な――」

「しぇばぅ」


 チョコメロンと他の盗賊たちが驚愕に目を剥く中、シヴァイヌは「つまらぬ」と吐き捨てるように首を振るい、咥えていた盗賊を放り捨ててしまった。


「な、何なのよ……シヴァイヌって可愛いだけが取り柄の愛玩動物のはずでしょ……!?」


 それが、一噛みで成人を卒倒させ、軽く首を振るうだけでその体を投げ捨てるだって?

 一体なにが起きているんだ、とチョコメロンも盗賊たちも混乱の極致!


「……しぇば」


 数が多い。手早く済ませるぞ――と言ったのか。

 その鳴き声の後、シヴァイヌに変化が起きた。

 シヴァイヌの体がまるで陽炎のように揺らぎ……増えた。


「ば、馬鹿な……【分身】!?」


 特殊スキル、【分身】!

 一握りの熟練ニンジャソルジャーのみが体得できると言う代物!

 質量を持った確かな残像を生み出し、それを操作……攻撃に転用する事ができるめちゃ強スキルである!


「確かにシヴァイヌはニンジャソルジャー発祥の地、東洋諸島に縁が深い生き物だけど……」


 絶対におかしい、野の獣がスキルを使うなんて!

 それも並の者では扱えない特殊スキルを!


「ッ――まさか、こいつ……!」


 シヴァイヌの分身たちが、次々に盗賊たちへと襲い掛かり、その太腿に食らいついていく。

 食らいつかれた盗賊たちはみな断末魔のような叫びを上げて倒れ、動かなくなった。死んではいないようだが……その表情はどれも激しい痛みに苦しみ悶え、醜く歪んでいた。


 可愛らしい幼犬が、大の人間たちを次々一噛みで沈めていく――どんな地獄だこれは。


「へるしば……!?」


 チョコメロンの発した名を聞き、シヴァイヌの本体が口角を上げた。


 ――我が名を知っているのか。


「ッ……!? なにこれ……脳内に直接、声が……!?」


 ――我が鼻は嗅ぎ分ける。その者の性根が放つ匂いを。貴様からはアンデットのゲロ以下の匂いがプンプンする。くちゃい、実にくちゃい……鼻が明後日の方向を向いてしまいそうだ。


「……まさかこれ【念話】……!? そんなスキルまで……!?」


 ――さて、我を知りながら悔い改めぬ者よ。その罪はただ悪辣で在るより遥かに重いぞ?


「くッ……頭の中でワンワンうるさいのよ……!」


 ――なおも反抗的。決めたぞ。貴様には我が六六六の噛武噛武ハムハム術式、その中でもとびきりキツいものをくれてやろうではないか。


「ッ」


 へるしばが、牙を剥いた。

 残像の尾を引くほどの速力で、チョコメロンの右太腿に飛びつく!


「はッ! あんたの牙がどんだけ立派か知らないけれど、飛びつく足を間違えたわね!」


 チョコメロンの右太腿――右足は、黒鉄の鎧で覆われている!

 それは何を隠そうバリカタブラックダイアモンド製! ケルベロスですら噛みつけば牙が折れてしまう硬度を誇る!


 これは好機である!

 とんでもないスキルを二つも使ってくるものだから気圧されたが、所詮知能の低いケモノ風情!

 鎧を噛んで悶えた隙に蹴っ飛ばしてやるわ! とチョコメロンが勝利を確信し、頬を歪めた瞬間、


「っは……んぁああ――!?」


 チョコメロンの脳髄に、雷で撃たれたかのような激しいゾクゾク感が襲い掛かる!!

 感覚の発生源は、右太腿! なんとへるしばの牙は――黒鉄の鎧をすり抜けて、チョコメロンの張りの良いチョコ色太腿に食い込んでいた!!


「ま、さか……【防具貫通】……!?」


 物理的な障害をすべて通過し、任意の対象に攻撃を通す事ができる概念干渉スキル――!

 概念干渉なんてもはや、精霊クラスの生命体が行使する領域のスキルである!


 ――力業で噛み砕いても良かったがな。それではただのケモノよ。我が高潔さをこの生意気なぷりっぷりの太腿にたっぷりぷりと刻み込んでやろう。


「なにを言って――ふぁあ!?」


 へるしばがぐりっと首を捻り、牙を更にねじ込ませると――先ほどとは比べものにならない、得体の知れないゾワゾワした感触がチョコメロンの全身を走り抜けた!


「な、なに、こへぇ……!?」


 チョコメロンはむかし、友の悪戯で耳にスライムを入れられ更にはじゅぽじゅぽと出し入れされた事がある。

 その時にも似た不快感、その時を遥かに越えた――快感!


 チョコメロンの腰がびくんと跳ね、立っていられなくなり崩れ落ちる。

 堪え切れない涙や涎、その他もろもろの汁が零れてしまう!


「なん、なの、よぉ……今の……は……!?」


 ――ほう。更に生意気。我が六六六の噛武噛武ハムハムがひとつ……天上の者も魔の者も神の者ですら快楽によって魅了すると謳われる【天魔神魅アマガミ】を受けてなお、言葉を吐ける理性が残っているとは。


「あ、まがみ……!?」


 ――小娘。痛みこそが最上の苦痛であると思うか? 答えは否。この世で最も耐え難い苦痛とは「恥辱」である。故に我は我を知りながらも悔い改めぬ愚か者に、快楽の牙を以て罰を与えるのだ。……見よ、我が現身を。斯様な幼気に満ちた小動物に一噛みであんあんとみっともなく鳴かされ、体中から汁と言う汁をぶしゃあと噴いて悶絶させられる――これ以上の恥辱は、そう味わえんぞ?


「ぁ、ああ……」


 ――わふふふ……怖気づいたか。今更になって可愛げのある表情よ。だがもう遅い。


 チョコメロンの周囲に、小さな影が集まってくる。

 それは――へるしばが放った分身たち。盗賊らをすべて仕留め、牙を持て余したへるしばの群れ。


 ――我と分身、総勢で一二。今から全員で……貴様の太腿を噛む。


「あ、あああああ……ぁああああああああああああああああ――」


 さっきの一二倍のゾクゾクが来る。それもきっと、一度では終わらない。

 どれほどの快楽か、そして自分が一体どうなってしまうのか……一切、想像できない。

 未知は際限ない恐怖へと代わり、勝気だった少女の表情に絶望を塗り付け、言葉にならない悲鳴を上げさせる。


 その威を以て、命乞いの言葉を紡ぐ事すら許さない。


 これが、へるしば様の裁きである!



   ◆



 ――これに懲りたらば、悔い改める事だ。良い子にしていろ。さすればいつか、てんしばが祝福を授けに来る事もあるやも知れんぞ。枕元には可愛らしい靴下を用意しておけ。


 裁きを受け、力尽きた様子のチョコメロン。

 そんな彼女に可愛らしいお尻を向けて、へるしばは去ろうとした。


「……ちな……ぃ、よ……!」


 ――む?


 今にも消え果そうな声。

 それは、先ほどまで狂ったように嬌声を上げ続けていたチョコメロンの口から放たれたものだった。


「待ちなさいよ……クソ、イヌ……!」


 ――ほう。


 反省の言葉でも口にするかと思えば、まさかの言い様!


 ――面白い女だ。あれだけの辱めを受けてなお、我を恐れぬか。


「ちょっと叱られたくらいで反省するようなら……ダークエルフなんてとっくやめてるわよ……! なめんな、クソイヌ……!」


 力無く震える腕で体を起こしながら、枯れ切った声でチョコメロンは嘲笑した。


「アタシが……このチョコメロンが……! 『環境のせいで性格がねじ曲がってしまっただけ。実は良い子だから反省させればまともになる』とでも思っている訳……? 甘い、甘い甘い甘い甘いチョコよりもメロンよりもクソ甘なのよォ!! アタシは生まれついての悪党! 強尊弱卑の権化! 自分より下にいる奴は全力で蹴りつけ、上にいる奴は引きずり下ろして蹴りつける!! 理由? それは単純でしょうが! アタシはダークエルフだから! ダーク、即ち悪! 悪である事を生まれながらにして許された選ばれし存在ぃ……それがアタシだァァァァ!!」


 ――なッ……!?


 地獄のシヴァイヌと称される超越存在へるしばでさえ、その姿には目を剥いた。

 有り得ない事だ。あれだけの裁きを受けて、チョコメロンは立ち上がったのだ!


 それもへるしばに向けて中指を立て、不遜に笑いながら啖呵までも!


 足は生まれた手のガゼルのようにがくんがくんのぶるんぶるん!

 だがしかし、倒れない! 中指をピンと立てて、チョコメロンは笑い、そして嗤い続ける!


「ふふふ、ふはははあははははははは! 何がへるしば! 何が地獄のシヴァイヌ! あんた如きの牙じゃあアタシは悔い改めなんてしない! 改心なんてしない! これからもアタシはアタシのまま! 気ままに、不遜に、悪辣に! 気に入らないモノはすべて蹴り飛ばしてやる! この足で! ――あんたもよ、へるしばァ! アタシに噛みついて、タダで済むと思うなァァァァア!!」


 狂ったように笑いながら、大きく剥いた四白の目にへるしばを――いずれ蹴りをぶち込む獲物を捉える。


「絶対にあんたを、蹴り飛ばす!」


 ……だが、そこまでだった。


「ぜっ、たい……に、よ……!」


 チョコメロンは糸が切れた人形のように崩れ落ち、気を失った。

 中指を立て、口角が耳まで届きそうな凶悪な笑みを浮かべたまま。


 ――なんと邪悪な匂いだ……アンデットのゲロ以下なんて陳腐なものではない……これは、かつて地獄をも震撼させ、我が相討ち寸前でどうにか打倒した大天魔王ケイオスナイアーにすら匹敵する悪臭……!


 へるしばの頬を一筋の汗が伝い落ちる。

 へるしばをも気圧す悪臭プレッシャー……!


 ――面白い、小娘……悪党の矜持か。であれば我にも地獄のシヴァイヌとしての矜持がある……! 良いだろう。何度でも繰り返すが良い、悪虐を! その度に、我が手ずから、貴様の太腿を噛んでやる! この牙を以て、何度でも!


 地獄ヘルより出でて、悪を懲らしめるシヴァイヌ。その矜持にかけて、


 ――絶対に貴様を、改心させる!




 悪を貫くダークエルフの少女、チョコメロン。

 彼女を改心させたい地獄のシヴァイヌ、へるしば。



 この戦いは、まだまだ始まったばかりである!

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