魔法少女ユイコ~魔法少女と言っているが、どう見てもガチムチのおっさんなんだが~
「本当に、ユイコなのか?」
俺の目の前にいるのは、超ミニスカートのセーラー服を着て、パピヨンマスクを着用した、青髭のガチムチのおっさんだ。このおっさんが、ユイコだと名乗っている。
「ええ、こんな格好をしているけど、シモノ先輩、私はユイコなの」
強盗に襲われそうになった時、部活の後輩のユイコが俺の前に立ち塞がり、突然タンバリンを鳴らしたと思ったら光に包まれ、セーラー服姿のガチムチのおっさんが立っていた。
「信じられないと思うけど、この――」そう言うと、腰につけているタンバリンを見せてくれた。
「魔法タンバリンを使って、BPM200で叩くと変身できるのよ。でも――」
急に(自称)ユイコが淋しそうな表情が気になった。いったい、何を隠しているんだ……?
「一般人の目の前で魔法少女に変身するのは、実は魔法界の掟で禁止されてるのよ……」
そんな掟があるのか……。
「魔法界の掟を守るために、変身を見た人の記憶を消さなきゃいけないの」
「記憶を消すって、魔法を使って?」
俺がそう言うと、(自称)ユイコは首を横に振り、右の拳を見せ、こう言った。
「物理的に記憶を消すのよ」
こ、こえええええええええ!えっ?なに?俺、今からぶん殴られるの!?
「大丈夫。運がよければ、魔法少女の記憶が消えるだけ。運が悪かったら――」
「運が悪かったら?」
「今までの記憶が消えるだけだから」そう言うと、キャハッ!と笑った(自称)ユイコ。
いやいやいや!死ぬって、それ。ヤバい、命の危機。
「ユイコが魔法少女だとは、絶対に誰にもしゃべらない。俺とユイコだけの2人だけの秘密だ」
苦肉の策だが、これしか手が無い、「2人だけの秘密」が効いたのか(自称)ユイコの顔が赤くなる。
「じゃあ、先輩。指切りしてください」
言われた通りに(自称)ユイコと指切りする。随分とゴツイ指だ。
「それじゃ、また明日。先輩」指切りすると、(自称)ユイコはスキップして去って行った。
「先輩、おはようございます」
翌日、いつもの後輩のユイコが声をかけてきた。
あれは夢だったのかな?と思ったが、自宅の部屋から外を見ると電柱の陰からユイコがこっちを見ていた。次の瞬間には、あの魔法少女の(自称)ユイコに変わっていた。そして、じっとこちらを見ていたかと思うと、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。
魔法少女ユイコのCVイメージは、玄田哲章さんです。




