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音階奏でる音楽室
「シドレミファソラシ、シラソファミレドシ」
部員それぞれが、
音楽室に整然と並んだ机に向かい、
楽譜を置き、
楽器を吹く。
それぞれの膝元は、
フェイスタオルを置いている。
全体的に手垢がついた曇っている銀色のユーフォニウムで、
ようやく音階を奏でることができるようになった友美。
フェイスタオルは、お気に入りの猫のキャラクター「にゃん太郎」が大きく描かれた、
黄色くフワフワとした手触りの良いタオルだ。
どこからかパンパンと手を叩く音がする。
皆が暗黙の了解で吹くのを止める。
「今から、チューニング始めて。合奏するから」
部長が音楽室の後ろの方で言う。
前の方の席にいる友美には、
かすかに聞こえる程度だ。
それは50m先にいる相手に、
声を張り上げることなく話しかけられたかのような聞こえ方だ。
「今、部長はこれから合奏するって言った?」
音楽室の中央付近でトランペットを脇に抱えて席を立つ舞に聞きに行った。
「あれ?聞こえなかった?今からはまずチューニングよ」