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お腹が鳴る午前11時
「またお腹鳴ってたね。今度は11時台ですか。前回よりは鳴る時間が遅くなったし、なにかしたでしょ?」
友美は、
舞にそう言われて、
女性が「今日は、生理?」と聞かれる時のような複雑な心境になった。
踏み込まれたく無いところに、
好奇心で入ってこられたようなものだ。
「いや、別に」舞に対する言動が、
麻子に対する言動に少し似る。
おかしい。
パンを白米に変えたし、
卵も食べた。
なのに、
お腹が鳴ってしまった。
授業の合間、
トイレで何か食べるしか無いのか?
トイレに持ち込むのは、
いちいち人目を気にして見つからないようにしないといけない。
だから、気が進まない。
どうすればいい。
「ひょっとして、朝ごはんいっぱい食べてたから、今日家出てくるの遅くなったの?もう、勘弁してよ。お腹鳴っていいからさ、ちゃちゃっと待ち合わせ時間に出てきてよね」
舞が最後の語尾をはずませて言う。
そんなには怒ってない証拠。