第7話 『小夏(こなつ) 海優(みゆ)』とホワイトホース
夜ご飯を皆で食べた後、愛月、真白、海優は3人で仲良くお風呂に入り就寝した。
真白は自分の部屋から布団を持ってきた。
布団は2つくっつけて、真ん中に真白その両端に愛月と海優が寝る形だった。
小夏 海優は、俺たちのギルド『魔法少女 星月』に加入することになった。
特殊魔法(その者しか覚えることのできない唯一無二の特殊な魔法)の持ち主として、最初は、ギルド『赤鬼のこんぼう』に歓迎された海優。
だが、特殊魔法のぬいぐるみ魔法の能力、ぬいぐるみを扱うことができるというものが戦闘に不向きであると、最初は仲良く接してくれた者たちも、あたりが強くなってきたらしい。
9歳の女の子、小学3年生にそういう接し方はひどいとは思うが、いのちがかかっている以上、それもやむを得ないのかなと思ってしまう。
俺、愛月、真白は結構のほほんとしている。
弱いモンスターの出るところしか、愛月と真白は出ていないからというのもあるのだろう。
海優のレベルは3で、かなりお荷物だったのではないかと思う。
3日前くらいにギルドタワーで見た、戦闘系ギルドに所属している者の総計平均レベルは8だったはずだ。
戦闘を行わず、生産系統に励んでいるギルド、生産ギルドはこのデータに含まれない為、純粋に戦闘系ギルドの平均レベルが8ということになる。
ちなみに、生産ギルドという判断は、自己申告制などではなく、ギルド内の6割の者が10日間の間に1度も戦闘に及んでいない場合、生産ギルドとして判断されると聞いている。
それを踏まえると、俺、愛月、真白、海優はここ10日間の間に戦闘に及んでいるため、100%の戦闘ギルドという解釈になる。
海優の所持特殊魔法のぬいぐるみ魔法技は、
【魔法名】ぬいぐるみ魔法
【呪文名】プリューシュ
【M P】 2
【詠唱文】我が名は〇〇、人形を操る者、我が言葉に従え、プリューシュ
【熟練度】 20
【説明書】対象のぬいぐるみを一定時間操作するぬいぐるみ魔法。ぬいぐるみ魔法の初期魔法。ぬいぐるみの頭をなでることで効果を発動する。
やわらかいぬいぐるみにこうげきを受けてもダメージは大して受けない為、生活魔法に分類されるようだ。
部屋の中で実際に動かして見せてもらった。
生活魔法は街中でも使用可能だが、それ以外は使用できない。
どういうことかというと、水魔法のウォーターは生活魔法に分類され街中でも使用可能だが、氷魔法のアイスダーツは鋭い氷を出現させるため攻撃魔法に分類される為、街中では使用不可能。
街中でアイスダーツを使用したいときは、詠唱文を、
【詠唱文】
我が名は〇〇、凍てつく氷を欲する者、鋭き氷よ。我が手に宿れ、アイスダーツ
⇒我が名は〇〇、凍てつく氷を欲する者、氷よ。我が手に宿れ、アイスダーツ
と鋭き氷→氷と言葉を変えなければならない。
魔法のアレンジ(指パッチン等の魔法の発動方法や初期顕現の状態などの詠唱文の変更など)自体は、熟練度が高くないといけないことも判明した。
要は、街中で氷を出現させることができる俺はすごいということになる笑
エヘンvvすごいだろう?
『どうだい?僕のプレゼントしたマジックアイテムは?』
3人が就寝したのを確認して、俺はみんなを起こさないようにアパートを出た。
「役立ってるよ。レベルが強くて絡まれることもないからね」
客観的に見せるステータスやギルドタワーへのレベルの情報を、自身の本来のレベル以下で操作できるマジックアイテム。
そのマジックアイテムをこのファーストのダンジョンを7番目にクリアした暁にダンジョンマスターにプレゼントしてもらった。
本来、ダンジョンマスターは人前に姿を現すこと等ないらしいのが、俺のことが気になって姿を現したらしい。
ホモなのではないか?と少し警戒している笑
『なら、良かった。それで、今日は何しに来たんだい?』
俺は今、ファーストの街のダンジョンマスターの部屋に来ている。
好青年のイケメンに分類されるだろう顔や立ち振る舞いをするダンジョンマスター。
「レベル上げにきた」
『星斗のレベルだったら、経験値的にあまり意味ないんじゃないかな?』
不思議そうに言ってくるダンジョンマスターの餅祐
面白い名前だから、1回聞いたら覚えた。
「しょうがないんだよ。あまり、ファーストの街から離れられないからね」
俺が自由に動ける時間は夜の22時~朝の05時くらいだからだ。
愛月は06時くらいには起きる。
8時、9時くらいになると、愛月と一緒にモンスター討伐に出かける時間になる。
正直俺も寝ないといけないから、22時~05時まで自由だとはいっても、モンスター討伐に出かけても、2.3時間で帰ってくることが多い。
『あっ、そうだったね。小さな子の面倒をみているんだったけ?』
「そう、まぁ今は9歳の女の子と10歳の女の子、20歳の女の子と一緒にいるけどね」
『20歳の女の子がいるなら、少しは安心だね』
「うっ、うん」
真白、料理や子供たちの面倒については安心しているが戦闘に関しては、今後どうするか迷っている。
戦闘中に転んだりしそうだしな。
『なんか、奥歯に何か挟まっているような返事の仕方だね笑』
いじってくる餅祐
「あっ、これ、プリン。前に好きって言ってたから持ってきたよ」
『ありがとう。星斗覚えてくれてたんだ。嬉しいな』
俺がメニュー画面から取り出したプリンに喜ぶ餅祐。
餅祐はダンジョンマスターだから食べなくても平気らしいのだが、嗜好品としての感覚らしい。
『それじゃぁ、俺からもお礼をしなくちゃね。モンスターが星斗の近くに集まるようにしておくよ。それと、星斗のみ、レアアイテムがドロップしやすいように確率を変更しておく』
「そんなことしていいのかよ?」
俺としては、願ったり叶ったりだが。
『いいんだよ。俺、ダンジョンマスターだから笑。それと、帰るときには、もう一度来て。他のダンジョンマスターからモンスター権限を譲ってもらったモンスターと戦闘してほしい』
「モンスター権限ってなんだ?」
『このファンタスターにはさまざまなダンジョンがあるんだけど、各ダンジョンマスターはダンジョンの需要の調整やモンスターの強さの調整をしているんだ。ダンジョンにはモンスターが当然にいるのは知っているよね?AダンジョンがあるとしてAダンジョンで出てくるモンスターは、Bダンジョンでは使用してはいけない決まりなんだよ。そのモンスター権限を俺は譲ってもらったってわけ。ホワイトホースっていうモンスター1種類だけなんだけどね』
「なるほど、わかった。俺は今からでもいいんだけど」
『ごめん。まだ、ホワイトホースを生み出す準備が整ってないんだ。1時間後には大丈夫だと思う』
「分かった。それくらいの時間になったら来るよ」
俺はそう言って、ダンジョンマスターの部屋を後にした。
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