第4話 クレープ!
「あわわ、どうしましょう」
甘い香りが漂う目的地であるクレープ屋に到着した。
明らかに困っている様子のぽっちゃり体型の女性店員さん。
「どうかしたんですか?」
「あっ、いらっしゃいませ。バイトの子が風邪で休むことになっちゃいまして」
このファンタスター世界の元々の住民(NPC)は、俺たちと遜色ないようで、ケガもすれば風邪も引くと小耳に挟んだ。
「それは、困りましたね」
「はい、困っています。後2、3時間もすれば買い出しにでかけている娘達が隣街から帰ってくると思うんですけど」
この人、娘さんがいるのか?
若く見えるんだけど、娘さんが15歳と仮定して、18で産んだとしても33歳。
20代前半くらいに見えるんだけど。
童顔だからかな?
「差し支えなければ、お手伝いしましょうか?クレープ作りはできませんが、レジや接客であれば経験がありますので」
高校のときから、いろいろとアルバイトは経験してある。
コンビニ、レストラン、喫茶店、居酒屋、バーガー屋、コールセンターなどなど。
「あらっ?いいんですか??」
〜接客なう〜
「いらっしゃいませ、おはようございます」
現在、時間は10時20分。
お客さんの数は、そこまで多くなく感じられる。
「ミックスベリーを1つ」
絵付きのメニュー表を指差すお客さん。
「かしこまりました。ミックスベリーお1つで、580円です。ポイントカードはお持ちですか?」
「持ってないです」
「直ぐにお作りできますが、いかがなさいますか?」
「では、お願いします」
500円で1ポイントがつくポイントカード、ポイントカードに日付入りのスタンプを押印する。
「はい。こちらポイントカードです。580円ちょうどお預かりします。右側に逸れて、少々お待ちください」
俺の一連の流れの間に、隣で先程の女性、店主のくれなさんが、クレープを焼いていた。
「生クリームの量はどうしますか?」
「たくさんお願いします」
最後の仕上げ、生クリームの手順でくれなさんが、お客さんに聞く。
「「ありがとうございました。またお越しくださいませ」」
「愛月、真白さん、お待たせ」
くれなさんの双子の娘さん達が帰ってきたので、クレープ屋を後にした。
くれなさんに、気に入られ、『いつでも手伝いに来て。娘と結婚して、一緒にクレープ作ろう』とまで言われた。
NPCと結婚して、子供とかできるんだろうか?
できたとして、その子供は、いざ、現実世界に戻れるとなったとき、どうなるのか?気にはなったが、深く考えることはやめた。
バイト代として、クレープ3つとプリン3つをくれなさんにもらった。
ちゃんと、真白さんの分のクレープは、生クリーム盛り盛りだ。
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