04-1 白い部屋で (1)
体のあちこちが痛い。目の前が赤くほんやりしている。死んだのかな・・・
チン
チン
チン
チン
チン
チン
チン
チン
チン
鐘の音が聞こえる。そうだ、死んだはず。でも、ここはどこ? 目をあけて・・・
白い天井?が見える。起きなきゃ。あ、でも動くと痛い。
「気がついた? 起きれる?」 女の人の声。村の人じゃない。
「あの・・痛くて起きれません。」
「あはは、ごめんごめん。体は元に戻ってるはずなんだけど、痛みって・・・」顔の前に誰かの頭。シルエットになって顔が見えません。「これでどうかな・・・」何か治癒術でしょうか。急に痛みが無くなって、あ、腕が動く。
体を起こして見回すと、ここは壁も天井も白い石の部屋。火が燃えてないのに天井が明るい。前には白くて長いふわふわした服を着た女の人。金色に赤と青の大きな石が付いた胸飾り。どこかの偉い御方・・・でもあの姿で貴族様は無いはず・・・
「ええと、失礼ですが、どちら様でしょうか。」聞いてみるしかありませんね。
「あはは、アタシ、バステトって、まあ神様ね。アンタに合わせてって、説明役がアタシに回って来たんだ。だから、何でも気楽に訊いてよね。」 バステト様の頭には猫の耳が付いていますが、神様が獣人の姿って、私に合わせてくださってるのかしら。なんで?
「あっ、はい。あの・・・私は猫獣人です。失礼をお許しください。ええっと・・・バステト様は猫獣人の神様なのでしょうか・・・」 獣人にも加護を授けてくださるという神様もおられますが、祭壇の絵はどの方も人間の姿でした。
「アタシの本性は猫だから、顕現したらこの姿ね。こっちには獣人っていないから、アタシの信者はみんな人間だよ。あ、こっちってね、判りにくいと思うけど・・・つまり、世界が違うってことね。ちょっと長い説明になるけど、いいかなあ。」