02 見知らぬ天井
体のあちこちが痛い。視界が赤くほんやりしている。死んだのかな・・・
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
音が聞こえる。どうやら生きているみたい。ならば、目をあけて・・・
ん?白い天井!
「見知らぬ天井だ。」
「あ、ネコ。気がついたみたいだよ。しっかし、ナニ、そのセリフ。」
「これテンプレでしょ。せっかくトラックにはねられて目が覚めたんだから、言ってみたかったのよ。」 どう見ても異世界のベッドではなく病院のベッドだね。
「そりゃ見知らぬ天井だろうけどね。でも、ネコって、トラックにはねられたんじやなくて、避け損なって横の溝に落ちたんだからね。これじゃ異世界に行くのはムリだよ。」
私のことをネコって呼んだのは 笠松瑠璃。小学2年で私が転校して来た時からの仲良し。ひらがな書きの名札を見て、有馬恒子を「ありまつ・ねこ」って読んだやつ。だから、私も変な読み方をしてやった。これがそのまま2人のあだ名になってる。
「異世界かなって、ちょっと思ったけどね。それで聞こえて来たのがツルリの声だもんね。」
「ツルリ言うな~~。」 お約束のやりとりだけど、それもちょっと嬉しい。
「アンタたち、またそれやってる。で、ネコ。軽い打ち身と擦り傷で、骨は折れてないって。異世界の冒険はできないけど、日曜は新しくできたダンジョン探索だよ。」これはタヌキこと白井珠希の声。心配かけてゴメンね。
「異世界転移なら、テンプレだとその前に神様が出て来るはずだよね。」
「神様ねえ・・・白い石の部屋に女神様がいたよ。猫耳で、ぼよんとしたおばちゃん。」
「ネコ、それって盛りすぎだよ。猫耳で巨乳で、おばちゃんって。」
そう、思い出したよ。私は神様に会っている。