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09 チェーンクエスト達成?

ずいぶん投稿の間があいてしまいました。

これは前回投稿のすぐ続き。


 謎の果物カンロウリは味瓜だった。探して行ったタネコおばあちゃんは桑畑を知っていた。どうやらこれは繭神様の件からのチェーンクエストだったのかな? 夏休みの宿題のヘルプがクリアボーナスってことになるのかな?


 もうじき夏休みが終わって学校が始まる。私はあちこちで調べたことと種子おばあちゃんから聞いた話に白蛇の秀牙さんの話を合わせてレポートにまとめた。町の歴史の本に載っていた、江戸時代に『世話になったお礼に、人を寄越して絹織物の技術指導・・・』という商人さんって、おばあちゃんの話にあった繭神様を連れて来た人だろうね。歴史年表と地図と説明の文章。父さんに教えてもらいながら、パソコンでまとめて小冊子みたいにした。

 おばあちゃんの話を元に、ツルは祠の前でお祀りをする子どもたちの絵を1枚描き足した。そしてタヌキは物語の結末を変えた。「行き違いで繭神様が祠に取り残されていたなんて、おばあちゃんたちが知ったら悲しむよね。」確かにそうだよね。

 夢で神様に依頼されて私たちが壊れた祠を掘り返したって書く訳には行かない。だから、朽ちた祠の中で取り残されて消えかけた分御霊様が昔を思い起こすって、けっこう悲しい結末だった。それが役割を終えて、村人たちに見送られて元の神社へ帰る場面に変わった。

 「事実と違う結末に変えていいかどうか、ちょっと悩んだんだけどね、そしたらこないだの神様が夢に出たんだよね。」どうやら神様も、本当はそういう結末であって欲しかったんだよね。

 「あ、あの神様、アタシの絵見て、『もっと美人に書いてくれても良かったのよ』だって。」 あのふわふわ繭神様、ツルの夢にも出たんだ。でも、私の所には来なかったぞ。



 宿題を提出する前に見てもらおうって、3人で種子おばあちゃんの所へ行った。

 「わたしの生まれる前の頃、蚕さんが病気でたくさん死んだ時があったって。村の皆で祠の前でお祈りしたんだってね。」タヌキの書いた物語はじっくり読んでいた。私のレポートは「まあ、また詳しく調べたんだね。」って。読んでおもしろいような物じやないからね。

 「そう。秋にはね、お料理を並べて畑の祠の前でお祭りをしたんだけどね、神様が見えてたらこんなんだったかもしれないね。」子どもたちが捧げるお供えを、祠の前の神様と、並ぶ巫女姿の猫たちが受け取るシーン。「繭神様のお使いって、猫だったんだね。それで畑にいつも猫がいたのかしら。」って、おばあちゃんは知らなかったんだ。



 おばあちゃんの所からの帰り道、あの水神様の祠?の所へ寄り道した。繭神様の祠の話とか、秀牙さんにもいろいろ教えてもらったから、ひとことお礼を言いたかったから。

 「ネコ殿、そちらは一緒に繭神様を助けていただいたお友達ですか。」 パンパンって手を打って挨拶したら、後ろから声がした。秀牙さん、今日は普通の中学生っぽい格好だ。さん呼びでいいのに堅いんだから。

 「ツル殿とタヌキ殿、お二人も繭神様の加護をお持ちなのですね。」 ツル、タヌキも殿呼びだね。秀牙さんは水神様のお使いで、強い神力持ちらしいよ。イケメンだからって、見とれてたらだめだよ。

 「ネコ姉ちゃん、来てくれたんだ。こないだはありがとう。」あはは、瓜蔓君も来てたんだ。今日の瓜蔓君は半パンはいてて、小3か小4ぐらいに見える。

 「えっ、この子、あの瓜の子??」って、タヌキ、そうだよこの子があの味瓜の話の。「で、ちょっと透けて見えてるのって、この子が精霊だからなの?」 あれ?透けてる? 私にはちゃんと見えてるよ。

 「ウリヅルはあまり力の無い精霊なれば、あまりしっかりと実体を成せないのです。お二人よりネコ殿は神力が強いので姿の薄い妖や精でもしっかと看えるのです。今のウリヅルの姿は看る力の無い唯の者にはまったく見えていますまい。勘の良い者が気付く程度でしょう。」 看る力って、神力? タヌキとツルが見えてるのは、やっぱり、繭神様の加護のせいだよね。私はバステト様の分だけ力が強いって事なのかしら。そうなると、秀牙さんって・・・

 「私は元々妖力持ちで、水神様の眷属。普通人の姿を成すのはさほど難しくはないのです。逆に姿を消すこともできますが、それでもネコ殿ほどになれば気配は感じられるでしょう。」看たり感じる力と見せる力との関係ってことかな?

 「ネコ、わたしたちより神力が強いんだね。トラックに潰されそこなって覚醒したのかな?」あはは、バステト様の事を言うと前世の事も言わなきゃいけなくなるよね。「え~っと、そこは私がネコだから?」


 「瓜蔓君って、かわいいよね。お友達になって欲しいなあ。」タヌキって、そっち系だったんかい。「ワタシ、妖怪とか見たかったんだよね。このあたり、ほかにも居るのかしら。」

 「弱い者はいくらか居ますが、人からは看られないと思っているので自ら関わって来ることは無いでしょう。おそらく声をかければ驚いて逃げるのではないでしょうか。しかしこのウリヅルのように、小者の中には看える者に気付いて欲しいと思う精霊や妖怪もいます。関わればこのたびのように面倒な頼まれごとをすることになるかもしれませんよ。だから見えぬふりをして通り過ぎるのが良いでしょう。」小者は基本スルーするとして、大者はどうなの?

 「大者となれば、無用の面倒は嫌うもの。普通は姿を見せぬようにしているでしょう。そこそこ力のある者以外には看えないもの。たとえ看えるにしても、よほどの必要が無ければ、無理に看ようとしないのが無難です。敢えて姿を現しているとすれば、たいがいは厄介な者。避けて通るのが無難です。」


 うん、そうだよね。繭神様から護身の技はいただいたけど、あれって戦闘系じゃないって。そっか、危なくなりそうだったら、秀牙さんが助けてくれるよね。


村の神様たちの話はひと区切り。この次、幕間の短い話を挟んで、新しい話が始まります。


引き続き、断続的に投稿してゆきますので、ブックマークして気長にお待ちいただけると嬉しいです。


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