家出
「ありがとうございました〜」
最勝がコンビニから重い足取りで出る。あの後、気まずくなって家を飛び出したのだ。
最勝はとりあえず夕食としておにぎりを買った。
残金は320円。30万とスマホは家に置いてきたから、10時ぐらいになったら戻ろうと思っていた。
今は8時....何するか....
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今はまだ9時だが戻ってきてしまった....
最勝は謝る覚悟を決め、ドアを静かに開ける。
「これ、病院行った方がいいんじゃない?」
不意にそんな声が聞こえ、耳を澄ませる。
「大丈夫だって、全然痛くないし」
どうやら俺の所為でどこか怪我したらしい....
どのくらいの怪我がドアのガラス越しに見てみると、
「嘘だろ......」
右足首が想像の3倍は真っ赤に腫れていた。紗英は平気なフリをしているが顔が引きつっている。
ガチャ
「あ!今最勝が帰ってきた!」
紗英が喜びのあまり、痛みを忘れ玄関に向かう。
「最勝!......」
そこには、誰もいなかった。
最勝は夜道をあてもなく走った。
どうしようどうしようどうしようどうしよう!!!
ーーー着いたのは近所の川岸の草むら。
着ている服は白のTシャツに青のパーカー、黒のカーゴパンツといういつもの服だ。それ以外には財布と中身が320円。
最勝はパーカーのフードをかぶり、チャックを閉め、寝転がる。
なんか最近良く疲れてるな.....
ーーーー
「おい!マジかよ年下かよ!」
「ママがいなくなったのかなぁ〜」
急に男の声がしたのでフードを外す。すると、日差しが入ってきて思わず目を腕で隠した。
もう夜が明けていたのだ。それに日の位置からすると昼に近い。
「おい!早く起きろや!!」
ここまでに至る経緯を思い出し、なぜ声を掛けられているのか。
最勝は良く考えるとヤバイ状況にあることを察知した。
「は、はい!」
目をこすりながら最勝は応える。
「やっと、起きたかよ」
見ると大学生ぐらいの男が2人。目がまだ慣れていないが、1人がおかっぱ頭。そしてもう1人は2ブロック。
2ブロックの方は金属バットを持っていた。