謝罪
「ただいま....」
紗英が玄関を開けて家に入る。
「あら、今日は遅かったはね」
「ちょっとね...最勝は?」
紗英はとりあえず最勝と話し合おうと考えていた。
「今、寝てるわよ。昨日夜更かしでもしたのかしら」
呆れたように紗英の母は呟く。
「分かった...」
やっぱり、疲れてるんだ.....
ガチャ
寝室に入ると確かに最勝は寝ていた。
うなされているようなので紗英が頭を撫でると、心なしか顔が綻んだ。
「ごめんね....」
ーーーー
「おい、起きろ!食事だって」
最勝が呼んでいる。
そっか...寝てたんだ....
「うん....分かった」
「あと.....それとな....その、さっきの話だけど....」
紗英が目を覚ますや否や最勝は話を切り出した。
最勝は早く仲直りしたかったのだ。
「ごめんね!」
その言葉を口にしたのは紗英だった。
「は⁉︎」
「私にそっくりな字だから、疑うのも当然だよね。それにまだ話の途中なのに勝手に出てったりして....最勝の方が悩んでるに決まってるのに...本当にごめんね」
紗英は立ち上がって最勝の手を取った。
「何言ってんだ!お前は悪くねえだろ!!」
思わず怒鳴り声を上げてしまう。
「いや!最勝は何も悪くないよ」
優しく紗英が微笑みかける。
何で....!俺が謝ればいいのに....!
「いい加減にしろ!お前の言いたいことはそんなんじゃねえだろ!!」
ドン!
最勝はカッとなり、紗英の手を振り払い押し倒す。
「あ...」
最勝は思ったより紗英が勢い良く倒れたので心配する。
「........ごめん」
これも紗英の言葉だった。