会議
「おい、お前何処にいたんだよ〜」
階段で海人に心配される。海人も俺を探してくれたらしい。
ここは、桓崎高校。最勝の行っている高校で今まで4日も無断で休んでいたのだ。
「ごめんごめん」
ガラガラ
「....ん?」
2人とも妙な違和感を感じる。
俺が入った途端空気が変わったのだ。
急に静かになり、声が聞こえても、ヒソヒソと聞こえるだけだ。
「なんだこれ....!」
海人が驚愕する。最勝もつられて視線の方を見ると、
事件!池ヶ谷最勝、大学生をボコボコ!
と黒板に殴り書きされていた。しかも、写真付きだ。
「こんなの嘘に決まってる!」
海人が黒板消しで文字を消して、写真をぐしゃぐしゃと丸める。
「....待ってくれ...」
最勝が海人の手を掴む。
...そして深呼吸する。
バン!
「みなさん聞いてください!」
教卓に手を置き、呼びかける。
瞬間、静かになり、視線が集まる。
「僕は確かに暴力を振るってしまいました」
再び教室がざわめく。
「だから!慰謝料をしっかり払って、できる限りの事をしていきます。許されないことは分かっていますが、僕を信じてください!」
・・・・
「俺は信じるぜ」
「俺も」
「僕も」
「私も」
たちまち、クラスはいつもの雰囲気に戻った。
ーーーー
「先生...見てください。この跡」
星野が指を指す方向を竹田は見る。
教卓には最勝の手の形の凹みが2mmあった。
「やっぱりそうか...感情によって筋力が上がっているのか...?」
「怒り...の可能性が高いと思います」
ーーーー
「まさかお前にあんな事出来るなんてな。プッ、思い出すだけで笑いが...」
「しつけぇぞ、全く」
「そうよ。最勝は真剣だったんだから...えっ⁉︎」
3人は話しながら帰っていたが、紗英がある事に気づく。
「最可だ....」
最可が校門で待っていたのだ。
「なんで⁉︎中学校は⁉︎」
「終わってすぐこっちに来た。お兄が心配だったから」
「マジか!ありがとう〜」
最勝は最可の頭をよしよしと撫でる。
最勝は今まで嫌われていたのではないかと思っていたから、余計最可の行動に感激した。
「かわいぃ〜そんな妹欲しかった〜」
海人が羨ましくこっちを見てくる。
「あんたに優しくする奴なんていないわよ」
紗英が鼻で笑う。
「なんだと⁉︎」
「まぁ、落ち着けって。ハハ」
あぁ....いつもの光景だ。
最勝はそんなどうでもいいような光景になぜか感動した。
「...それにしても犯人誰なんだろうな?」
海人がさっきの事を掘り返す。
思い出したくないが、確かに話さなければならない事だった。
「犯人は竹田先生だと思う....」
「なんで?」
「だって最勝のことよく知ってるし、家出した最勝を探してたんだよ?」
紗英は悪口を書いた紙の犯人を最勝にしようとしていたことを思い出した。
あの時の先生の目....いつもの目じゃなかった....そんなこと言っても最勝には伝わらないだろうけど...
「いや、先生はそんな人じゃないと思うな」
「だけど...」
「確かに一緒に治験を受けたっていうことは引っかかるけど、紗英達と一緒に俺を探してくれたんだ。決めつけはしないようにしてくれ」
「ちょっと待って。俺も紗英に賛成だ」
海人が口を挟んだ。