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終
あれから僕は、死にものぐるいで勉強した。
そして、何年もの月日を経て、医者になれた。
そして、平野奏と結婚した。
僕たちが、結婚した経緯は単純だ。
奏ちゃんが、僕を指名したのだ。
僕と結婚すれば、奏ちゃんは在原稔と同じ墓にはいることができる。
それに、僕が、ミノ兄ににていることもあった。
僕らの間に子供はいない。
作らないと決めたから。
ただ、ミノ兄と奏ちゃんの間に子供はいる。
ミノ兄が生きた証がある。
妊娠が判明したのは、ミノ兄がなくなったことを告げた日。
6ヶ月だった。
今、子供は10を迎える。
子供には、自分は本当の父親ではないことを教えている。
それでも、僕のことを………
「父さん!遅いよ!」
父と呼んでくれる。
ミノ兄が、残してくれたこの子の人生を見守るのが、今の僕の人生だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。