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雨と後悔、10年後。  作者: 結記
6/8

平野奏:真実

元婚約者の一方的な、別れを告げられてから数ヵ月が経った。


回りは、腫れ物を扱うように、私に関わった。


私は、もう、何も考えれなかった。


季節が流れ、人生で初めて一人きりのクリスマスイブを過ごした次の日、チャイムが鳴り響いた。


確認すると、元婚約者の弟、寿くんだった。


招き入れると、同時に、彼は玄関先で、土下座をした。


唖然とする私に、彼は告げるのだった。


「もっと、もっと早く、伝えに来たら………ごめんなさい!!!」


「寿くん……!?顔をあげて?とりあえず、中に入ろう……?」


必死に説得、リビングに、通すと、彼は徐に私に告げた。


「昨日、僕の兄、在原稔は享年22で、この世を去りました。」


「ミノル……が?どうして、私にそれを……」


私は、捨てられた女だと言うのに。


そう呟くと、彼は苦しそうに顔を歪めた。


「僕が早く決断していれば…………兄が告げた婚約破棄は、病気がもう手の施しようもなく、死ぬ運命と決まってしまったため、奏ちゃんに迷惑をかけたくないからと、兄がでっち上げた、ものなんです。」


「病気……!?ミノルは、なんの病気に??」


「……………『ガン』です。大元の胃ガンを含め、複数併発しており、若く健康体であったため、進行が早く進んだ、と言われています。」


「ガ………ン……って、嘘でしょ?あの、ミノルよ?元気で病気なしが取り柄の………」


「事実、なんです。」


「なんで、教えて……」


くれなかったの?と続けようとした、私の言葉は遮られた。


「兄の強い、要望でした。でも、本当は、伝えるべきだった。兄に殴られようとも、伝えるべきだった。僕は、」


「ミノル……が」


「………………」


「ミノルは、私のことが、重荷だと?」


「そんなことは!兄は、闘病生活の中で、常に奏ちゃんを気にかけていました。自分の勝手な都合で、傷つけてしまって申し訳ないと。でも、もう会わない、と。弱い自分なんて見せたくないからと」


「…………ミノル」


それから、私は、寿くんから色々なことを聞いた。


そして、ミノルの最期も……


「私の幸せは……貴方と共にあったのに………!!」





平野奏は、唐突に知った真実に、久しぶりのあめを降らさした。

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