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猫が招くとダレが言った!?  作者: 山神ゆうき
第一章 『アディアホ村まったり(?)生活』
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7・猫を捕まえるのはカンタンではなかった!

「ええ~。これから私達は猫を捕まえたいと思います!」


サトーさんと出会った日の午後、フランはベルとラジルに事情を説明した。2人は"黄金の国"の人の話を目を輝かせて聞いていた。


「ところで、フラン女将様。猫は何がいいんだ?」


今日は昼のラッシュが終わり、泊まる客もいないので店を閉店にしてきた。今は草原で3人でどの野良猫を捕まえようか物色中である。


「にゃー!」

「みー!」

「みみゃあー!」


草原にはいろんな野良猫がいる。シャムの子猫や橙の猫、変な鳴き声の黒猫にぽっちゃりした猫など。


「う~ん。どの猫にしようかな・・・。」


フランは一匹一匹、覗き込むように見ていく。


「みみゃあー!」


変な鳴き声の黒猫は1回そう鳴くと何処かへと姿を消した。


「みー!」


シャムの子猫はまるで「私を選ぶな!」と言わんばかりにそっぽを向く。


「う~ん。どの猫にしようかな・・・。」


フランはなかなか"この猫だ!"と思う猫がいなかったので同じ事を言ってしまった。


「本当ならどの猫でもいいみたいなんだけどね(サトーさんはそんなこと言ってないので、適当に言う)。フラン達が(とくにフランが)気に入った猫を捕まえよう!」


フランはそう提案して、たくさんいる猫を一匹ずつ見ていった。




ーーーーー




ガサガサ!ガサガサ!


それはフランが猫を物色を始めて数分後の事である。草原の少し背の高い草が生えている場所から物音がしたのであった。


フラン達3人はびっくりして顔を見合わせる。もしかするとモンスターかもしれない。

フランは物音がした場所をじっと見つめる。


「な~ご!」


しかし草むらから出てきたのは猫であった。その猫は白黒の猫である。


「ああー!あの猫!あの猫がいい!」


フランは大きな声でその猫を指差す。猫はその大きな声にびっくりして逃げていってしまった。


「しまった!逃がさない!!ベル!ラジル!追いかけるよ。」


「待ってくださぁい、フラン様。」


フランは急いで走ろうとしていたので、右足は膝から曲げて前へ、左足は膝から曲げて後ろにあり、右手は腕から曲げて前へ、左手は腕から曲げて後ろにあるポーズで止まっていた。


「ん?なに?ベル!?」


「あっははは!なんだよ、フラン女将様のその格好。緊急時の時の避難するマークにしたら面白そうだけど。」


フランの今のポーズがつぼったのか、ラジルはお腹を抱えて笑っていた。


「フラン様、わざわざ追いかけなくても、ここに猫はたくさんいるよぉ?」


そう、3人の周りにはたくさんの猫がいるのだ。だから逃げた猫をわざわざ追いかけなくても他の猫をペットとして招かせればいいだけの話なのだ。


「確かにその方が早いけど、やっぱりあの猫がいい!」


「どうして?」


フランは体勢がきつくなったので、その場で足踏みしながら言う。ベルは不思議そうに首をかしげた。


「私の勘が"あの猫が一番いい"っていってるの。それに・・・。」


「「それに?」」


ラジルとベルはフランの会話の続きを待った。


「あの色ってなんとなくだが乳牛っぽいよね!乳牛というと、巨乳。巨乳というと、私!っということであの猫が一番いい。」


フランが言い終わると同時に猫が逃げた方面へと走っていった。

それを聞いたベルとラジルは目を丸くしてお互い顔を見る。そのあとに「フラン様(女将様)らしい。」と苦笑いをして彼女を追いかける。




ーーーーー




「まさか村に逃げ込むとはね・・・。」


フランは逃げた猫を追いかけていたら、アディアホ村へと着いていた。ここにあの猫がいるとも限らない。もしかすると途中で方向を変えて何処かにいったかもしれない。

しかし、フランは猫が逃げた方面をダメ元で探すことにした。


「おーい!猫ちゃんー!出てきてよー!」


フランはアディアホ村で猫を隅々まで探した。タルのまわりや中、家と家の間、そして・・・・・。


「きゃああーーーー!!」


女性のスカートをめくり中を探す。ベルからのキレのあるチョップをもらった。


フランは頭を片手で押さえながら数個あるツボを調べていた。


「フフフ・・・。」


そんなフランを見てベルは微笑ましく笑う。


「なに笑っているの?ベル。」


「いえ、タルやツボを調べていると、なんだかフラン様が勇者っぽいなぁ、っと思ってぇ。」


「えっ?タルやツボを調べていると、勇者っぽいの?普通は盗賊じゃない?」


「いえいえ!勇者はタンスやツボなどを調べて、アイテムやお金を取ったりしているんだよぉ!」


「そんなわけないじゃん!勇者がコソ泥みたいなことはしないよ!」


「えっ?けど、勇者はタンスを・・・。えっ?ええっ?あれぇ?」


ベルは自分が言ったことに疑問をもち、訳がわからなくなったようだ。


それにしてもなかなかあの猫が見つからない。もう何処かへと逃げてしまったのか。


「この村に戻る途中に血の後がないってことは、モンスターに捕食はされてないと思うんだけどなぁ。」


「おい、フラン女将様!不吉なことをいうなよ!」


ラジルからの冷たい視線のツッコミをもらった。


「ねぇねぇ!お姉ちゃんたち。何してるの?」


フラン達の不審な動きに男の子が興味津々に聞いてきた。


「ねぇ、この辺りで白黒猫を見なかった?」


「見たよー!森の方に走っていったよ!」


そう言って男の子は森の方を指差す。


「「「・・・・・・。」」」


フラン達3人は無言で森を見つめる。そう、森にはキョッボウベアーが出るのだ。


たぶん大丈夫だろう。だって武器を持ってなくても、今回はベルやラジルがいるのだから、とフランは思っていた。フランは振り返り2人を見る。


「よーし!森へ行くぞー!」


「「おおー!」」


こうしてフラン達は森へと足を踏み入れた。

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