3・依頼は自分に合ったのがいいとワタシは思った!
こんにちは。
今日は猫の日らしいので、アップします。w
1yの武器について少し話そうと思う。これは世界で一番安い武器であり、フランの愛剣である。ちゃんと刃物であるが、ほとんどの人は使わない。剣の名は「ルーキーソード」という。
ルーキーソードはこのアディアホ村の武器屋で売っている剣である。そう前にも言ったのだが、このアディアホ村の周辺のモンスターは他の場所に比べ弱い。
なので、ここで手に入る武器は1~20yの武器なのである。
ルーキーソードを使う人は、1割の初心者の冒険者と入隊試験中の騎士と入隊して2ヶ月くらいまでの騎士団だけである。
大抵の人は少し立派な5yの武器を購入するのだ。つまり、フランみたいにルーキーソードを愛剣という人は世界中探しても、彼女だけだろう(他にもいるかもしれない)。
フランはそのルーキーソードとお客さんの忘れ物を手にアジュウを出たのだが、はっきり言って彼らがどこにいるのか分からない。
とても田舎なアディアホ村。北には王国へ続く道があり、南には大きな山がある。後は東に森、西に草原といったかんじだ。
村の隅から隅まで探したのだが、もう村から出た後であった。
「お~い。フランちゃ~ん。今日はサボりか~い?」
農作業をしていたお爺ちゃんが畑を耕すクワの手を止め大声で叫んでいた。
「違うよじっちゃ~ん。筋肉ムキムキの男性2人見なかった~?」
フランも負けじと大声で聞いてみた。
「ああ~!その2人なら~、王国へ続く道へフラフラしながら歩いていったぞ~!」
お爺ちゃんは道の方面を指差して言った。
(ええっ!?あのお客さん、酔ったまま王国へ行くつもりかい?)
フランはお爺ちゃんが指を指した方を見つめて思った。
「わかった~。ありがとう、じっちゃ~ん。」
フランは右手を上げてお礼を言おうとしたのだが、両手が塞がっていたので代わりにウインクをすると急いで走っていった。
ーーーーー
フランはスキップしそうな足並みで王国へ続く道を歩いていた。この道に出るモンスターはとても弱いので、片手に重たいものを持っていても余裕で倒せるのだ。
鼻唄を歌いそうな気分で歩いていると、前から2人組の冒険者が歩いてきた。
「こんにちは!」
「「こんにちは。」」
フランが軽く頭を下げると、2人の冒険者は深々と頭を下げて来た。
フランはサッと2人の冒険者の上から下まで見てみた。装備からしてみると2人は王国から来たみたいだ。
一人は男性で、髪は金髪でポニーにしており、体型は細身なのだが、細マッチョなのだろう。紳士服を着ており、王国で買える60yのレイピアを装備している。
もう一人は女性で女性というよりは見た目13歳くらいの女の子だ。緑の腰までの髪で、白いワイシャツにネクタイ、上には茶色のブレザーを着ており、下はミニスカートで黒のストッキングを履いている。身長は低めで、身長に似合わないくらいの大きなとんがり帽子を被っている。手には80yの魔法ステッキを持っていた。
「こちらへは旅行ですか?」
フランはアジュウを宣伝しようと思い話しかけた。
「いえいえ。クエストで来ました。」
男性は丁寧な口調で答えた。
「そうよ!ここに『キョッボウベアー』っていうモンスターがいるでしょう?そいつの首を取りに来たのよ!」
女の子は腰に手を当て偉そうに言った。
「そうですか。数十キロ離れた王国からわざわざお疲れ様です。今日は村で宿泊ですか?」
フランはあざとく頭をペコペコ下げながら聞いた。
「違うわよ!テントも持ってきてるし、クエストが完了したらさっさと帰るわ!」
女の子は万勉な笑みで言った。このテントっていうのが、アジュウの天敵である。テントにはモンスター避け、動物避けの加護があり、モンスターがたくさん出る場所でもテントの中に居れば襲われることがないのだ。
「そうですか。では、気をつけてください。」
フランは再び頭を下げてまた歩き出した。2人も私を少しだけ目で見送ってまた歩き出した。ちなみに『キョッボウベアー』とはアディアホ村周辺の昼に出るモンスターの中では最強なのだ。
「あの2人、死んだな。」
フランは足を止め振り向き寂しそうな顔をして言った。
そう、キョッボウベアーはとても強い。強さはこの村一番の武器、20yの武器を持った冒険者5人でやっと勝てるレベルなのだ。出現場所は森であり滅多なことではこのような道には出ない。
運悪く出会ってしまって命を落とした冒険者は数知れず。鳴き声からしても強さが分かるくらいだ。その鳴き方とは・・・。
ブォオオオオオオ!!!
そうそう。今聞こえてきた鳴き声が・・・・。って!
「うおっ!!」
フランは驚いた。噂をしたらなんちゃら。目の前約10メートル先にキョッボウベアーが二本足で立って威嚇していたのだ。立った時の高さは約3メートルで見た目は熊と変わらないのだが、毛の色が森に溶け込む様に緑なのだ。ちなみに爪は刃物みたいに切れる。
フランは17歳の普通の女性で体型は標準(但し胸は標準以下。)。そんな女性が左手にはとても重い物、右手にモンスターから見ても明らかに弱い武器を持っているのだ。そのせいで彼女は"格好の獲物"と認定されたのだろう。
キョッボウベアーは四足に戻るとすごい早さでフランの目の前まで走ってきた。そして再び二本足で立ち鋭い爪が付いた右手を振り上げる。
ザシュッ!!
次の瞬間、フランは手に持っていたお客さんの忘れ物を地面に落としてしまった。地面に落としたお客さんの武器に血がポタポタと付く。そしてフランのオレンジの服と白いエプロンも血が徐々に付いていったのだ。