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幼児退行  作者: 藤原
真実の昔
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彼女

「今の話って本当なの?」


「えっ?」


 この日は加藤にとっては驚かされることの連発だ。人生は本当に何があるかわからない。そして、何処に誰がいるのかと言うことも本当にわからない。


「えっ?なんて言わないでよ。私だよ」


「い、いやそれよりもさっきまでの話聞いていたのか?全部」


 軽い茶髪の女性はその長さを気にしてか盛大には降らなかったものの首を軽く横に振った。その際に出てくるシャンプーと思われる香りが加藤の鼻をつつく。いい匂いだと感じている。こういう時に女の子の髪の毛がいい匂いがするというのは本当のことなんだなと感じてしまう。

 いや、実際にそうなのだが。どうも女子の方が世の男どもに比べて頭皮の油脂成分の分泌が少ないらしくそのせいでシャンプーの匂いが残りやすいということらしい。果たしてそれがどこまで信用できるものかは分からないが少なくともそういう結果があるという認識はしていても良いよかもしれない。


「聞いていたのはね、そうだなぁ…何か私と会った時のことを話していた時かな」


「うぉ…そんな時から。ん?ってことは」


「聞いていたよ」


 少し絶望している。加藤は自分のプランが崩れたかもしれないと。それでうまくいかなかったやどうしようと。


「いいよ」


「へ?」

 

 力無き声が加藤から漏れ出た。目が泳いでいる。


「それってつまり…」


「うん、貴方の告白を私は喜んで受け取りますってこと」


「あ、あぁ…。や、やったぞ!!!おい見たか勝樹!俺もこれでリア充の仲間入りだ!!」


「あーはいはいよかったな」


 勝樹はうるさいと言わんばかりに耳を塞いで単調な口調で言った。

 そんな様子を見て女性は


「仲が良いんですね。えっと…勝樹さんと翔也くんは昔からの知り合い?」


「あ、うん。俺は四季ヶ浦勝樹だ。翔也とは結構前だな。小学校の頃からの付き合いで学部は薬学部な。よろしく」


「四季ヶ浦ってなんだかすごい名字だね」


「だから初対面の人には驚かれるし親しくなると大体下の名前で呼んでくれる」


「そうなんだ。それじゃこれからよろしくお願いします。

 …それで翔也くん。ここに君がいるなんてどうしたの?」


 いつものようにほんわかした口調。それに加藤はいつも癒されている。心の底からだ。


「いや、二人で研究の協力をしないかって提案をこいつからされてさ」


「へぇ〜そうなんだ。状況によっては私も役に立つかもしれないね」


「確か朱莉の学部の研究って…」


「工学部で少しAIとかプログミングとかしてる。後は趣味でロボット作っていたりとかかな?」


「趣味すげえな」


 勝樹は感嘆した。だが、勝樹には朱莉の研究をどこに生かそうか悩んでいた。


「で、そのけんきー」


 言葉は途中で遮られる。


「AIでその作ったり再生させたりした臓器を完全にコントロールできるのしたら?その臓器は無駄な動きをしなくて済む。結果的に寿命を延ばすことにつながると思えない?」


「そんな技術があったら凄いな。結構非難されそうではあるけどな。人間としての域を超えるつもりか!って批判がありそうだな」


「ふふ、そうね。でも、実現したとしたら面白いと思わない?」


「あぁ一人の医学を学ぶ者としてはか惹かれるね。とても」


「薬学を学ぶ者としてもそれに同意だね」


 勝樹と加藤の意見が一致した。それほどに二人にとって朱莉の言ったことというのは興味深いものであった。加藤は再生細胞で作り上げた臓器を移植すれば良い。勝樹は薬で再生させれば良い。だが、朱莉の意見はそれをAIによって管理させよと言うのだ。

 だがそれは多大なるリスクも含んでいる。

 それは生命そのものが変わる可能性があること。人が人ならざる存在になる可能性があるということだ。

 そしてそもそも臓器にAIを搭載して制御はおろかそのものの働きに支障をきたす可能性があるということ。

 AIそのものに誤作動が生じて移植した臓器の働きが止まること。これが一番可能性が高くそして最も危険な部分でもあった。

 だが、そんな不安を打ち砕くように言った。


「私はねそんな誤作動を起こすくらいなら自分で機能を構築できるようにして仕舞えば良いのよ。つまりね私の考えはこうよ。

 臓器にAIを搭載する。で、肝心なのはここからね。そのAIの元となる成分を人間から補給可能な成分にするの。それで定期的に血液を介してその成分を取り込んでいく。AIそのもののエネルギーはその成分から生成するようにするか、その機械そのものに発電する何かを取り付けること。それでもしそのAIが完全に動かなくなっても、その臓器は動くようにする。あくまでも補助的な役割のみ。これがわたしのかんがえよ。どう思う?」


「悪くはないし良いと思う。だけど…」


「やっぱりお前も思うか?」


「なにか問題でも?」


「肝心な部分が抜けているんだ。えっとなどんなことをしても機械ってのは壊れる。で、それが壊れた時の対処方がないんだよ。朱莉の言ったのはその前の段階の予防線でしかないんだ。だからそれだけでは弱いんだ。人間に実際にそんなものを打ち込むのは」


「そんな…。よし、分かったわ。私もう少し理論を構築する。それまってて!」


 朱莉はいつものおっとりした口調はどこに言ったのやらという感じで元気よくファミレスを飛び出して行った。

お久しぶりです。一月、間が空くと中々なものですね。

そして、それでも読んでくださる読者の皆様ありがとうございます。今後も暫くこれが続きますのでご理解ください。


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