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幼児退行  作者: 藤原
真実の昔
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淡き気持ち

「で、そっちの持って来たのはなんなんだ?」


 加藤は聞いた。聞いた相手、勝樹はニヤリとした。その手にはUSBが握られていた。そして、それを置くとパソコンを取り出した。パソコンにそれを指すとそのファイルを開いた。そして、パソコンをくるりと回転させると加藤に見せた。


「これが今回わかったことだ。今回のことを端的に言うと、人の体を再生させると言う研究だな」


「それはもちろん薬によってか?」


 勝樹はニヤリとした。


「もしかしたら俺たちが思っているよりもずっと速くできるかもしれないぞ。今存在する再生細胞を活性化させようとしているんだが、実験が想像以上に順調なんだ。ただ臨床まで持っていくのに少なくとも後二年」


「二年…か。わかっていたことだが、時間はかかるな」


「当然だろう。だから早くても二年半位かもしれないな。那月ちゃんに使えるのは。もしそれも遅いと言うのなら、そちらはそちらで考えてくれよ」


「分かってる。それで提案だ。薬学部のお前だからこそ頼みたいんだ」


「一体何を頼みたいんだ?」


「俺の研究と勝樹の研究の融合だ。お前は移植系統に関する再生法。つまり、外で作ったのを中に入れる。対して俺の研究は薬によって物理的には臓器をいじらないで再生させる。脳にはピッタリだが、何せ俺のところでは限界があるからな。どうだ、いい提案だとは思わないか?」


「悪くはない。それで那月が目を覚ますのが早まるというのなら喜んで協力しよう。それに…少しやってみたかったんだ。勝樹と一緒に研究するの」


「ほぉ〜それは幼馴染としては嬉しい言葉だね。でも、研究、研究で女作ってないだろう?一度はリア充になってみた方がいいぞ。少なくとも俺の体験を言うとかなりいい」


 そう勝樹は加藤に嘲笑うが如く接した。この時の勝樹は仰け反っており、当に調子乗っている人間の象徴のようになっている。加藤もそれには流石に不快感を、そして嫉妬を覚えずにはいられなかった。

 が、加藤も歯ぎしりして指をくわえて地団駄を踏むだけではない。当然である。何か嗜好返しをせねば加藤の気が済まない。もちろんそれがあまり世間一般的に言われる倫理に接触する可能性が高いことも重々承知している。が、その理性を飛ばすほどに欲求が優っていたのだ。


 ーリア充爆ぜろ。


 加藤の心の中はこの一言に尽きる。


「さて、それならお前が別れたりした時にはどうなるんだろうな?結婚までいっても離婚とか、夫婦の溝とか昨今は熟年離婚も流行っておりますよ?さてその辺りはどう考えておられるのでしょうね。か〜つ〜きくーん」


 最後だけ、語尾をなばしたのはそれだけ相手を挑発するためだ。それにあの勝樹が乗ってくれるかは分からない。


「何を!俺は絶対に別れない。はーん分かったぞ。嫉妬だろ?違うのか?いや違うわけないよな。苦しいのならお前も女の一人や二人作ってみろよ。負け惜しみは同じフィールドに立ってから言えよ」


「ごもっともで。だがな、俺にも好きな人がいないわけじゃないんだぞ」


 勝樹は驚愕した。まさか加藤に好きな女がいるなど、考えもしなかったからだ。当に、衝撃。幼馴染としてはもう、加藤翔也という人間の概念そのものが、根本から変わりかねない程の衝撃だった。


「マジ?」


 勝樹は震えた声でそれしか声を発声することしかできなかった。


「マジだ。また、日を見てそ、そのこ…告白。

 …をしようと思ってる。な、なんだよ。笑うなよ!お前だって同じ手順踏んだんだろう?」


「すまんすまん。だってさ面白いんだもん。翔也のそういうところ人間味に溢れてていいと思うよ。それでお相手さんはどんな人なんだ?」


「…学食食ってたら、寂しそうに一人で食べていたんだ。俺も一人だった。その時に…」


「その女の子が何か落として拾ってそれで話が弾んだとか?いやー今時そんなことあるんだね。ロマンだよロマン」


 突如勝樹は加藤の話を遮った。その顔はなんとも愉快そうでった。そして、人で笑っていた。そこには嫉妬も何もない。極めて純粋なものであった。ダイヤモンドよりも透明で透き通る瞳だった。


「いや、俺はまだ何も言っていないんだが?」


「いやー言わなくてもいいぞ友よ。俺と翔也は一心同体だからな」


「いい加減にしろ」


 そう言うと加藤は勝樹に軽くチョップをかました。そして、小さな咳払いを一つすると続けた。何やら、勝樹な少し不満そうであったが、もう加藤もそんなことは御構い無しだ。


「いや学食で俺は突然声をかけられた。それで驚いて振り向くとそこに女の子が俺のHDDとファイルを持っていたんだ。それで驚いて顔を見ると女の子はこう言ったんだ。

『さっき図書館に忘れてましたよ。よく図書館にいますよね』ってね。その時の表情に俺の心は揺れ動いた。鼓動が早くなっていてもたってもいられなくなった。その女の子も学食を食べに来ていたみたいだったから一緒に食べたって訳。そこから仲良くなって行った。彼女文学部らしくて学部は違うんだけどな」


「いいじゃないか。それで今も仲良いんだろ?いいじゃないか。成功するよきっと」


「そうだな」


 加藤は朗らかだった。なんとも幸せに満ちた表情をしていた。なんと頬の筋肉が緩んでいるのだろうか。


「ちょっといい?」


お久しぶりです。約一月ぶりの更新となります。

こんなに間が開いたのには少し理由があります。単純に書く時間が消えました。なので月一にします。僕の計画ではこの状況は、来年の2月に終わる予定です。が、勝負はどう転ぶかはわかりませんので、その際はご容赦ください。

さて、何だかんだ最近全く書いていないんですよね。これは結構前に書いていた物なので大丈夫ですが、今書いたら書けるか不安ですね。

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