己の目的 後編
これでよかったのか?…なぜ俺がこんな間に合わなくちゃいけないんだ?
なぜだ?なぜだ?なぜ!なぜ!なぜ!なぜ!
わからない。俺には理解することができない。何のために俺の脳みそをいじられて下手したら記憶さえも失いかねない危険なことを平然と行えるんだ?奴らは人間と言えるのか?もはや姿は人間でも中身は人間ではない。ただの獣なのかもしれない。
和人はただ一人病室でうずくまって思いつめていた。その様子は精神を病んだ人間と表現しても過言ではないほどに追い詰められていた。
「…美香、美香もこんな気持ちだったのか?よく壊れずにいられたな。…いや、壊れていたのか。そうか、そうだよなそんなんだ」
和人は一人寂しく天井を眺めてつぶやいていた。心の声が漏れ出ていた。感情を心の中で抑え切ることができなく無くなっていたのだ。それだけ和人にとっては精神的なダメージが大きかったのだ。
義孝と会話した時にはまだ、気力で耐え切ることができた。
しかし、義孝もそのほかの人間も、さらには夜で光さえもないくらい状況下ではボロボロになった精神で耐え切ることの方が無茶だった。
和人はそんな状況の中で益々考えを暗くしていってしまっていた。
何もできない。絶望という名の病。今当てはまるとしたらそれは俺のことなのかもしれない。いや、俺だけじゃない。この施設にいる人間は全てがそうだ。
そうだ。俺はここの解放者となって全てを終わらせる。終わらせた後…終わらせた後?
そんなの決まっている。俺が変える。それだけで十分だ。必要とあらば全てを潰そう。俺は諦めない。
例え死んでも破壊して再生させる。
再生…再生、再生。
そう再生だ。
和人が施設を潰して、再生させる意味は一般的なら考えたらないのかもしれない。
しかし、和人はある一つの考えを持っていた。
それは、居場所を作りたいということだった。
和人自身孤独だった。孤独の中でもがいていた。そんな時に一人の男と出会った。
五十嵐龍成との出会いによって孤独という絶望から解放された。解放されたことによって色々と周りが見えるようになった。五十嵐も同じような目的でグループを作った。それもあの事故…いや、殺人によって潰れてしまった。和人にとっての楽園は消えた。
ならばもう一度作ればいい。自分にとっての楽園を。全てを終わらせた後で楽園をもう一度作ればいい。
自分だかではない。自分と同じような似たような境遇の人間の居場所を作りたいと楽しく過ごすことのできる楽園を…。
そんな風に和人は考えていたのだ。
だから、こそ和人は、破壊と同時に再生をしようとしていたのだ。
翌日和人の足は少しは動くようになっていた。
「いや、参ったよ。医者の話では後一週間くらいは時間がかかるだろうってさ」
「逆にそれくらいで済んで良かったと考えるべきなんだけどな普通は」
「私をこれ以上心配させないで和人!」
「はは、ごめんごめん。でも、とりあえず元気に帰って来たし終わり良ければすべて良しってことじゃダメかな?」
和人は義孝と美香に向かって笑いながら聞いた。その顔は充実感で満たされていた。
「まぁ、和人がそういうなら別に私はもういいけどさ…。でも、これ以上無謀なことはしないでよ。無茶じゃないよ。無謀なことだからね」
美香は無謀というところを強調した。
それを聞いた義孝は微笑しながら言った。
「俺はお前がそれでいいならそれ以上は言わないさ。もとよりそんなに言った記憶もないけどな」
義孝の言うことは最もだった。そして、和人な義孝に最も重要なことを伝えようとしていた。その決心がついたのだ。
「義孝、放課後ちょっといいか?」
義孝は和人の真剣な表情を見て理解したのかじっとみて頷いた。
「構わない。内容は二人だけだな話したいこと。いや、俺たちだけでないと話せないこと、と言ったところかな。了解だ。しっかりと聞いてやるよ。お前の話を」
二人は放課後、和人の部屋で話をすることにした。
「さて、何かの覚悟ができたのか?それとも何か重要なことでもわかったのか?」
「そうだな敢えて言うなら、目的ができたといったところだな」
「そうか…それで?まさかそれで終わりってことはないよな?」
義孝は明らかに圧力をかけているようだった。その眼光は見ているものを萎縮させる。
義孝にはなぜこんな力があるのか。
これが意思の力というものなのか。
…ならば俺だって。
「俺はこの施設のシステムを破壊して再生させる」
「どういうことだ?」
「つまり、楽園を作るんだよ。楽園なんてものなければ作ればいいんだ。なぜこんな簡単な答えにさえ気がつくことができなかったのかは分からない。だが、今は自信を持って言える。
これが俺のこの施設に刃向かう理由だ。もう一度楽園と言える空間で本当に居心地のいい空間で過ごしたい。
俺にとっての日常を取り戻したい。いや、取り戻すのは不可能かもしれない。だが、完全でなくても居場所を提供できるようにもしたいんだ」
義孝は笑った。
「お前バカか?」
そノ言葉を聞いた和人は冷や汗を流した。もう関るな、と言われると直感的に感じたのだ。
「だが、俺はそんなバカな意見も嫌いじゃない。第1人によって目的は様々だ。実際俺だってかなり汚い理由だしな。
それに比べならかなりいい理由なんじゃないのか?
さて、これは言っておくべきかな。
ようこそ。この施設を潰す結社へ」
今年最初の更新です。
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