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幼児退行  作者: 藤原
情報と学校と
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平和な日

 しばらくの間行動は起こさない。

 和人達はそう決めた。

 そして、和人は久し振りに美香と予定を入れた。

 今、和人は美香の部屋の前にいた。

 扉を開く音が和人には聞こえた。

 そこから出てきた美香は一月前に久しく声をかけた時は肩までかかるくらいの長さだった髪の毛が今はツインテールになっていた。

 格好だっておしゃれだ。

 今日は白いワンピースを着ている。

 …もしも、もしもこの施設に入る前の美香がこんな格好をしていたらどうなっていただろうか?おそらくここまでにはならなかったかもしれない。

 以前の美香は化粧を少ししていた。

 今は服にこだわっている。

 なぜか?和人は一つの結論に至った。

 和人達はこの施設に入った以上は体は幼い。

 そして、化粧品は高いし成長していない肌にはあまりよくはない。

 それが理由で服や髪にこだわるようになったのだろうか。


「なに?そんなにじっと見つめられると恥ずかしいよ…」


 美香は顔を赤らめて言った。その顔は嬉しそうででも、ちょっぴり恥ずかしいと言う顔だった。


「似合っているかな?」


「似合ってるよ。

 以前よりもずっと似合ってる。

 今の方がはるか数倍はいいと思う」


「そう…そうよね。私、自分に自信持っていいのよね?」


「自信もなにも美香はなにをしても似合う。

 だから、大丈夫だよ」


 平和な会話と日常。それを目指した和人は今が理想とも言えた。


「今日はどこに行くの?」


 予定は決めてあった。

 最初に映画を観に行こうと言うことになっていた。

 そのあとはカラオケそして、夜にはまた俺の部屋で美香と一緒にご飯を食べるようと思っていた。


「まずは映画を観ようかなって思ってるんだ。

 美香が以前見たいって言っていた映画を映画館にお願いして特別に上映してもらうことになったんだ」


「私のために?」


「そう美香のために。

 でも、俺の見たい作品でもあるんだ。

 俺の好きな監督や役者を使ってる。

 なによりも美香の好きな映画を俺も見たいから」


「そんなことを言ってもらえるなんて私幸せなんだよね?」


「多分人から見たらそうなるんじゃないのかな」


 何気ない会話が二人の間で継続されている。

 和人はきっと美香も今が楽しくて仕方ないのだろうと思っていた。

 事実そうだろう。

 和人の目の前にいる美香の表情は心の底から笑っていだからだ。


「さて、そろそろ行こうか。

 時間になっちゃうよ」


「分かった!!」


 嬉しそうに美香はきた。

 和人にとってはそれは本当に幸せなことでもあり美香の心が少しでもほぐすことができたら良いと思っていた。

 それができていそうで嬉しかった。


「それにしてもよく私達のためだけに映画を上映してくれることになったね。

 いったいどんな交渉したの?」


「え、えっとー少しばかりポイントを積めば大丈夫だって言われた。

 劇場を貸し切りにして好きな映像を流すのとあまり変わらないみたい。

 もちろん払うポイントを少なくするために少し劇場と交渉はしたけど」


「どんな?」


 美香に好奇心を持った目で聞かれた。

 そんな目で迫られたら答えないわけにいかないそう和人は感じた。


「貸切であると同時に一般後悔もしているってこと。

 つまり厳密には貸切じゃないんだよ。

 そこをついて交渉したら割り引いてもらうことができた」


 美香はそれを聞いて笑った。なにかを思い出したみたいに。


「そうだった。和人はそう言う頭脳戦というか交渉に長けてるんだったね。

 私たちもそれに助けられたことが何回もあった。

 本当に君そんな交渉術どこで身につけたの?」


 和人は内心ドキッとした。

 この交渉術を身につけたのは、両親や兄弟との会話を穏便に済ませるためにそして、五十嵐龍成から学んだことに加えて加藤所長と交渉するであろう未来を見越して勉強して身につけたものだったからだ。

 和人は何を理由をして言うか迷った。

 だが、話すことにした。

 全てを…。


「俺が親と喧嘩して五十嵐と出会ったというのは言ったことあると思うんだ。

 その時親と話したくなくて身についたのが一つ。

 他のグループやその他人物から情報を引き出すために五十嵐から教えてもらったのが一つ加藤所長との交渉をスムーズにするために自分で勉強したのが一つ」


「な、なんだか深いんだね」


 美香は結構重たい理由に驚いていた。

 しかし、和人がありのままを話したのを察したのかそれ以上は何も聞いてこなかった。

 和人にとってはありがたいことであった。


 美香と和人は本当に後ろ姿は仲の良さそうなカップルだ。いや、見た目だけではなく実際仲がいい。

 その様子を見て笑っている人物がいた。


「青春ですね。いいですね。私にもあのような時代があったのでしょうか?色々と違う方向に力を入れすぎたのかもしれませんね…」


 加藤所長は広い所長室で一人寂しくモニターを見ながら呟いた。


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