美香と俺と
復讐を決めた。
でも、具体的にどんなことをするかなど決まっていない。
だが、幸い時間はたっぷりとある。
その間に地道に証拠を掴むしかない。
裏で糸を引いているのは確実に加藤所長だ。
だがあんなにも慎重な人ともなるとボロなど一つも出さないだろう。
ならば、その周りから掴んでいくしかない。
厳しい戦いになるかもしれない。
そうであったとしても、やらなくてはいけないことそう思った。
美香をこの施設の人間をこんな目に合わせた奴らを許せるわけがない。
どんな手段を使っても潰す。
「和人大丈夫?」
美香の声がした。
考えていて目の前にいたのに美香のことが目に入らなかったのだ。
ハッとした。
「いや、大丈夫。
それよりもありがとう。
また、変なことをしようとしていた気がする。
俺はもう犯罪に触れるようなことはしないと決めたのに。
なんて弱いんだろうな。
でも、美香のおかげで我に戻れたよ。
絶対に正当な手段で堂々とこの施設を潰す。
俺はそう決めたよ。
だから…美香は見ていて欲しいんだ。
危険なことに美香を巻き込むわけにはいかないんだ」
言い終えるや否や美香の拳が腹に入れられた。
「バカ!!!
なに一人でしようとしてるのよ!?
私だって私だって協力するに決まってるでしょう!!」
「…たくひどいな。
でも、助かったよ。
前の美香なら確実に五分は動けなかった。
体が小さくなっているせいでパワーも落ちているからな。
思ったよりも威力がなかった。
…それよりも、俺と一緒に調べるのか?
危ないぞ。
危険な賭けになる。下手したら命だって危ないかもしれない」
「構わない。それに勝算があるから、しようとしているんでしょう?」
「いや、今回に限って言えばない。
だが、絶対に失敗はしない。
そう思ってる」
「それでも私はあなたについていく。
そう決めたの。
私は何度も救われた。
だったら一度くらい、あなたに案を返すのも悪いことではないんじゃないのかな?」
自然と口元も緩んだ。
和人は穏やかな笑みを浮かべて言った。
「仕方ないな。
でも、一つ条件がある。
…俺の指示にはしたがって欲しい。
もしも下手な行動をとったら失敗する可能性が高い。
だったらあらかじめある程度のことを決めておいてかつ一人の人間が指示系統を網羅する方がいい」
「問題なんかない。
それにそういうのは私よりもあなたの方が向いている。
だってあなたの方が確実に頭がいいんだもの」
和人はその言葉を聞いて、自分を信頼してくれているからこそ出てくる言葉だと思い嬉しくて涙が頬を伝った。
そして、喉から絞り出した一言を美香に精一杯の感謝の気持ちを込めて言った。
「…ありがとう」
美香は照れ臭そうに答えた。
「なに泣いてんのよバカ。
なにも…なにも終わってないでしょう?
泣くのは終わってからにして」
「相変わらずな言葉だな」
「泣くのか笑うのか言うのか一つにしてよ!」
和人は落ち着いたのかその後すぐに普通の顔に戻った。
そして、一つ思いついたので、美香に提案した。
「美香、もう7時を回っているし今日はここで飯を食べていかないか?
もちろん俺が作るよ」
美香は驚いた顔をした。
「あなた、料理できるの?」
「意外か?それよりも食べていくの?食べていかないの?」
「そ、そりゃ、あなたの手料理を食べて見たいもの。
食べさせてもらうわ」
「了解」
美香の期待に応えるのはきっと骨が折れる。
でも、楽しみだ!
…何がいいかな?肉じゃが?カレー?だめだ。
単純すぎる。
ならば、カルボナーラでも作るかな。
まずは、卵黄た生クリームを混ぜる。
チーズを入れる。
で、フライパンにベーコンと油を入れて炒める。
で、茹で上がったパスタをそこに投入して、作ったソースと絡めて塩、胡椒で完成。
付け合わせは鶏肉とバジルを使おう。
オリーブオイルで鶏肉がカリッとなるまで焼いたらバジルソースと塩、故障を入れたら完成。
あとはサラダ。
レタスとミニトマトをベースとして、そこにオリーブオイル、ワインビネガー、すりおろしたニンニクと塩胡椒で作ったドレッシングをサラダにかけて完成。
時計を見ると、30分くらいで完成をした。
思っていたより早かったな。
「美香、できたぞ!
今日はイタリアンにしてみた」
そう言ってテーブルに料理を運ぶと、美香は驚いた顔をした。
「あなた、本当に料理できたのね。
それに、美味しそう」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。
さ、食べよ!」
「「いただきます」」
「和人、これどうやって作ったの?」
「んー?これか?」
「そうよ」
そう言って美香が指差したのは、サラダにかかっているドレッシングだった。
和人は内心、鶏肉とか、カルボナーラのレシピを聞いてくれた方が嬉しかったと思っていた。
しかし、レシピを聞きてくれただけでも、とても嬉しかった。
「えっとこのドレッシングの場合は、オリーブオイルと白ワインビネガー、すりおろしたニンニクと塩胡椒だな。
好みで少しバジルを入れてもいい」
「ねぇ、白ワインビネガーって何?」
料理をあまりしない人間なら知らなくても当然のものだった。
「えっと、簡単に言うと酢だよ。
これは普通にこの国で作られている酢というのは、コメを発酵させるつまり日本酒を発酵させて作っているんだけどね。
この白ワインビネガーというのは、白ワインから作られている酢なんだよ。
そもそも酢というのは、アルコールが発行するとできる代物なんだ。
だから、作ろうと思えば酒であればなんでも作れるはずだよ」
美香は目を見開いて言った。
「あなた、本当にいつからそんなかんじになったの?昔は、そんなに料理なんか好きじゃなかったでしょう?」
「いや、いつからだろうな。
でも、作っていくうちにどんどん調味料とか、材料の方にも興味を持つようになっちゃって。
ま、それよりも冷めちゃうから早く食べちゃおう」
「そうねそうしましょう。
それにしても本当にこの料理美味しい…ー
美香はそういい泣き出した。
なぜまた泣き出したのか和人は驚きまた何が何だか分からなくなった。
「ごめんね…ごめん。
でも、こんな風にまた一緒にご飯を食べることができるなんて夢のようで嬉しくて…しかもこのご飯美味しいだもん」
「たく…いちいち驚かせるなよ。
でも、俺も楽しくて嬉しくて美香の気持ちとか聞けてよかった。
本当にそう思うよ。
また、一緒に食べよう。
いくらでも作るよ」
「ありがとう。
それにしても、なんかこんな感じの会話何回しただろう。
もう、デジャブったって感覚もなくなっちゃった」
美香は笑った。
この数時間で心を少しはほぐすことはできたのかは分からない。
でも、和人にとっては幸せな時だった。
「さて、この後はどうする?」
「私は帰るよ。
というか、それ以外の選択肢はないよ。
当たり前のことでしょ。
それよりも和人…私、これからもこうやって君のところに遊びに行ってもいい?」
「いつでも大歓迎だよ。
情報に関しても、分かり次第伝えていく」
「うん、今日はありがとう楽しかったよ」
そう言い美香は自室に戻っていった。




