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幼児退行  作者: 藤原
小学生の生活
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精神汚染

「和人、私も体失いたくない。

ただそれだけが私の望み。

今はそれでいいんだよ」


「えっ?それってどういう…」

和人には美香の言っていることが理解できなかった。


「そうだよね。わからないよね。

私も言う覚悟決めたのにまだ、トラウマが邪魔してる。

ダメだよね。

私ダメだよね」


美香はそう言うと涙をこぼし始めた。

頰から伝い落ちる涙は次第に多くなりボロボロとこぼれていた。


和人は美香にそっと近づくと、後ろからそっと抱いて言った。


「大丈夫…だから。

根拠はないけど俺がそれを全部受け止めるから。俺にもその覚悟ができたから。

だから、美香の辛いことは受け止める。

一緒に…楽になろう」


そう言うと美香は少し落ち着いた。


「君はいつもそうだったよね。

よくそんなカッコつけたことを違和感なく言えるよね。

でも今、私はそれに救われた。

だから言う。

全てを話す。

なにがあったかを」


そう言った美香の目は冷徹なものではなくなっていた。


「知ってると思うけど私ね昔一期壊れちゃったことがあるんだ。

それを救ってくれたのが五十嵐くんだった。

そして今回救ってくれたのは君だよ。

私は、昔親から暴力を受けた。

それで人間不信と人格崩壊を起こしておかしくなっちゃった。

自分を自制する心と破壊したいという心の二つに分かれた。

二重人格と言うべきかな…それになってしまったんだよ。

それは君達との出会いで収まった。

…でも、それはこの施設に入ってまたフラッシュバックとでも言えばいいのかな?

とにかく、また二重人格が出てしまったんだ。

でも、今回は前回と違った。

前回は自制と破壊の心と言うのなら今回は

絶望と狂人の心。

私はもう普通じゃないんだよ」


「そうか。

まだ、なにがあったか聞いていないからなんとも言えないけど…でも」


「でも?」


「でも、そんなことがあったから今の君がいるって信じたいし何より何かあったら俺を頼って欲しい。

五十嵐みたいにできるかは分からない。

でも、俺も自分が考える最善の手を考えるから!だから…」


「うん。もういいよ。大丈夫ありがとう。

話を戻そっか。


それで、そこまで私の精神状態がおかしくなった理由なんだけどここからは少し血なまぐさい話になるわよ。

それでも聞く?」


美香の目が突然鋭い目に変わった。

それを見て本当にヤバい状況だったことを悟った。


「あぁ問題ない」


そう言うと美香は頷いて話を始めた。


「私は物心つくと何人かと同じ部屋で生活をしていた。

そして、そこには厳しいルールがあったのよ。

例えば食事の時間や寝る時間、起きる時間言葉遣い。

その他にも勉強や喧嘩に対してもね。

それで、もしもそのルールを破ったら、その部屋の誰かが監視している人間に通報する。

すると、すぐに施設の人間がやってきて地下に連れて行かれるの。

そこで台に縛り付けられるとすぐに部屋の全員が来たのよ。

いや、部屋の人たちとつれてこられた。


そして、刃物を渡されたの…

その刃物で私は切られた。

たくさん切られた。

痛かったし怖かった。

手も腕も足も四肢が全部無くなったよ。

その時にはね。

で、時間が終わるとすぐに薬が打たれた。

で、2時間くらいするとなにもなかったかのように元どおりになっていた。


それは、もちろん全員やる側もやられる側もやった。

そして、ある人は傷をつけることを快楽を覚えた。

また、ある人は私と同じ様に精神を病んだ。

そして、ある人は自分が傷つけられるのに快楽を覚えた。


…地獄なった。

もうこんなの現実じゃないとも思った…いやそう思わざるを得ないような状況だった。

これをやって唯一良かったことは頭に対する耐性ができたことくらい。

それ以外はもう最悪じゃない。

地獄でもない。

それを通り越したレベルのもの。

もう、もう二度とあんな経験したくない」


美香は泣いていた。

それだけの話だったのだ。

人間は誰しも辛い記憶を持っているがそれを思い出し言葉にするのは辛いことの方が多い。

美香は常人の数倍以上辛かっただろう。

想像するだけで心が痛くなる。

俺は、なにも言えなかった。

動けなかった。

恐怖と驚きのせいで…


そして、憎悪が生まれた。

もちろん施設に対するものである。

和人は確信した。

この施設には単なる秘密では済まされないことがあることを。そして、自分たちはその実験台にされていることを。


しかし、美香にかける言葉は見つからなかった。

ようやく考えついた言葉が一つ。

考えた時間は1分にも満たない。

にも関わらずその時間は無限のように長かった。


「そうか…そんなことがあったのか。

ごめん…辛いのに気がつかなくて」


そう言うと自然と涙が出て来た。

なぜかはわからない。

だが、自然と涙が出て来た。

そして、美香は落ち着くと言った。


「ねぇ、私のことはあったけど君のことも私は知りたいな。

嫌じゃなかったら教えてくれない?」


別に嫌なことなどなにもなかった。

「問題ない。

俺は、言うなれば英才教育を施された。

ある限りの知識を詰められた。

逃げ出せない。でも知識は詰め込まれて覚えていかないといや、勉強をしないと罰を与えられる。

そんな生活を2年目からしていたな。

だから、世界の主要言語はわかるようになった。

でも、そんな生活だったから俺も精神的にはおかしくなりかけたな。

でも、おかしくならなかったのは君のおかげなんだよ。

だから俺は美香に凄い感謝してるんだ。

俺は懲罰として監禁と飯抜きしかも暗室でトイレはないような環境で丸2日過ごすというようなあぁもちろん全裸でだけどまぁそんな懲罰だった。

単調だからこそ辛いんだ。

狭いし排泄物は垂れ流しだし…今考えただけでも吐き気がしてくる。

あんなシステムを考えたのは人間以下のやつだと思う。

一体何の目的があって俺たちをあんな間に合わせたのかということをいつも思っていた。


でも…いつからかなそんなことを考えるのはやめた。

結局今ここにいる理由を思い出したからなんだけどね…。


とまぁ、俺はこんな感じだな」


「そうなんだ。

やっぱりお互いに辛いことはたくさんあったんだね。

でも、私とあなたは違う。

和人は強くなったよ。

逆に私は弱くなった」


…激しい怒りを覚えた。

美香をこんな風にしてしまった奴に復讐をすることを心に誓った。

やはり俺も変わった。

だが、今回は綿密な計画を立てて証拠を全て掴んだ上で最良の時にこの施設を…潰す。



これてこの章は終了です。


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