説明の本質
翌日は連絡通り午前は集会だった。
「それでは教員の紹介をします」
そう司会が言うと次々と先生が挨拶をして言った。
正直誰がどの教科かは後で覚えてもそんなに困らない気がしたのでそのままにしておいた。
しかし、集会では気になることも言っていた。
それは生徒指導担当の先生が話始めた時だった。
「君たちには厳しくルールを守ってもらなくてはならない。
さて、ここでのルールつまり校則を説明する。
君たちは今制服を着ていると思う」
制服を渡された時には驚いた記憶がある。
よく考えると制服の方がいいと思ったのも事実だ。
話は続いていた。
「制服は今の着こなしで構わない。
夏服に関してはまた渡すが六月から着てもいい。
もし暑かった場合は五月でも着ていいことになる可能性はある。
そこは連絡するので覚えておいて欲しい。
もし着こなしで問題があるようなら呼び出しがあるので注意をするように…とは言ってもそこまできついものではないので普通に着こなしていてやりすぎていなければ指導はしない。
そこらへんは君たちの裁量に任せる。
それから体操服に関してだがもちろん体育の授業があるからと言って制服ではなくそれを着て登校するのは禁止だ。
そのような行為をした場合には指導はしっかりとさせてもらうので注意してくれ。
具体的に言うと反省文だけでは済まない。
以上が制服に関しての注意だ。
次に校内についての校則を説明する。
この学校の一号館…職員室のある棟だな。
そこにはコンピュータ室があるがそこには許可を取れば出入りは自由だ。
ただし調べ物やレポートの作成などの学習に役立つことをするように。
ゲームをしても構わないがデータは全てこちらで閲覧できるようになっている。
また、自分のUSBなども使っても問題ない。
一つだけ言っておこう。
そのパソコンを使ってSNSを起動させ自分のアカウントでログインして知り合いと連絡を取ろうとしても無駄だからな」
その一言に数人がビクッとした。
「今、ビクッとした奴はしようとしていた奴だろう。
今は不問にする。
知らなかったことは仕方がないからな。
それで話を戻すぞ。
連絡を取れない理由だが君たち全員のSNSのアカウントだが君たちがこの施設を出るまでアカウントが消えている。
これは運営にしてもらっていることだ。
もちろん携帯も解約されているからメールアドレスも使えない。
コンピュータ室については以上だ。
とりあえずここまでで質問はあるか?」
手は上がらなかった。
今説明されていることは常識的なことを言っているに過ぎないので質問もないと思っていた。
しかし最後の言葉で変わった。
おそらく衝撃的過ぎて俺も含めた全員が何も言葉が出てこないのだろう。
しかしそれでも説明はどんどん進んでいった。
「ないなら次だ。
次に説明することは図書室の利用についてだ。
図書館は当然だが本を借りることができる。
期間は二週間だ。
また、後で配るカードを持参して借りなければならない。
それがないと借りることはできないからだ。
また、学習としての空間でもある。
静かな利用を心がけて欲しい。
詳しいことは後日ある個々の施設の説明でしっかりと司書の方が説明してくださるだろう。
最後に欠席時の連絡についてだが、君たちの生活空間の個室に電話が付いているだろう?
その電話で職員室に連絡を入れれば大丈夫だ。
もしそれすらできない状態な場合はメールでも構わない。
いずれにせよ休む時には何かしらの形で絶対に連絡をして欲しい。
以上で大まかな校則の説明を終わる。
また詳しいことは校則が書いた物を渡すのでそこを見るように。
個々の施設についてもまた詳しい説明がその建物の責任者からある。
以上だ」
「長いな」
思わず呟いた。
「長いよな」
呟いた一言に反応した奴がいた。
「誰だ?」
「悪い悪い。
自己紹介を忘れていたな。
でも、覚えていないのか?
式の時に一人一人名前読み上げられたはずだけどな…まぁいいや。
俺の名前は紀本義孝だ。
よろしくな!」
「俺は田中和人だ。
こちらこそよろしく!」
挨拶をしていたら突然怒鳴り声がした。
「おいそこ!!
誰が話してもいいと言った!?
次はないぞ静かにしておけ!」
「怒られたな。
和人、また後で話そうか」
「そうだな、そうしよう」
会話はそこで途切れた。
集会はあとはこの後の流れだけ説明されて終わりだ。
「それではこのあとのことについて連絡をします。
昨日も連絡したように午後からは通常授業です。
それが終わると構内の案内をします。
また、その後でこの学校の校則以外の仕組み具体的には先ほど説明のあった図書館についての詳しい説明を司書の方にしていただきます。
それ以外についても説明をしていきます。
なので授業が終わりホームルームが終わったら筆記用具のみ持って昇降口前に集合してください。
以上です。
解散してください」
解散しろと言われた後教室に戻るとすぐに清水先生が入ってきて話を始めた。
「みなさんお疲れ様でした。
この学校のことは少しは分かりしたか?
私からも少しだけ話をさせてもらいます。
ここにいるということは皆さん相応のことをしたからここにいるわけです。
私はそのことについては咎めません。
この施設で皆さん絶対に犯罪はしないようになると確信をしていますし今ももうそんなことしようなんて思っていないでしょうからね。
私はここで生きるということについて仲間について学んで欲しい。
君たちが今まで過ごしてきた中で圧倒的に不足しているものは環境です。
その環境がここにはある。
だからそれを学んで欲しい。
ここにいれば勉強はたくさんすることになると思います。
それは皆さんの長い人生の糧にして欲しいからです。
空も含めて学んで欲しい。
それらのことをしっかりと考えておいてください。
例え今じゃなくてもいい。
それをわかって欲しいのです。
私からは以上です。
それではお昼休みです。
楽しんでください」
そう話を終えると教室を出ていった。
俺は義孝と話をしたくて義孝の席に行った。
「義孝、飯一緒に食わないか?」
「いいよ、一緒に食べよっか」
にこやかに義孝は答えた。
二人とも弁当だった。
「義孝、何で集会の時俺の呟いたことに反応したんだ?」
素直に疑問に思ったことを聞いた。
すると義孝は少し考えて言った。
「君の言ったことが僕も思っていたことだから、かな」
「そうか…まぁ実際長かったしな」
「あの人が次の授業で来なければいいけどね」
義孝は笑って言った。
「そうだな。
でも案外分かりやすかったりするかもしれないぞ」
「それじゃ少しかけてみる?」
義孝の提案に身を乗り出した。
「賭けるって何を賭けるんだ?」
「そうだな…負けた方が何かお菓子を奢るとかどうだ?」
「乗った」
即答した。
こんな面白い賭けに乗らないのらバカだ。
そして昼休みはずっと義孝と話していた。
次から授業です。
徐々に登場人物が増えていきます。




