雰囲気
翌朝普通に通勤した加藤所長は朝からあった会議に出ていた。
そこには豊田や山本のような現場の人間がいた。
こちらも現場からの報告だった。
内容は誰がどうだとか、何が足りないなどの普通ことだった。
最後に聞いたのは和人と美香のことだった。
「そういえばあの二人和人君と美香さんはどうでしょうね。
そろそろ一週間が経ちますが、慣れたような感覚はありますか?」
この質問に答えたのは新人三人のリーダー格の豊田だった。
「私からは何とも言えません。
しかし小林さんの話によるとしっかりと懐いてきているということでした」
「そうですか。
それなら良かった」
加藤所長はどこかホッとしたような表情をした。
それを見た山本は思わず質問した。
「所長はあの二人と何が関係でもあるのでしょうか?」
「いえありませんよ。
ただ何かあの子たちにはビビッと感じるものがあった。
特に一番最初に私の部屋に入ってきた時の和人君の目は凄かった。
だから私の記憶に残っている。
それなので気になっていたんです。
彼は普通に育っていればすごい人間になったかもしれません。
何となくそんな目をしてました」
「そうだったんですか。
しかし私にはその所長の感じた目は感じられませんでした」
「それは人それぞれなところはあるはずですからね。
仕方ありませんよ」
その一言を聴き終えると司会の山本は会議を終わらせた。
和人は相変わらずだったが腑に落ちない点がいくつかあった。
一つ目が、加藤所長の一言。
二つ目が、その後の小林さんの誤魔化すような態度。
三つ目が、最近白衣を身にまとった人が自分の体を入念に調べているということ。
これらはよくわからない。
それどころか1%の分からなかった。
だがそこには何かがある。
そしてこれら三つ全て繋がっている。
そんな感じだった。
しかし和人にはそれを調べる手段は限られている。
そこで一番簡単にできる観察ということをしたいた。
観察をして気づいたのは自分の体を調べている部分でもっとも注意して調べているのが内臓と脈だった。
それをしていたのが、白衣を着た男だった。
その際も小林はいつもと調子で
「痛くない?大丈夫?
大丈夫だからね。
何にも問題なんてないんだからね」
と言っている。
しかし何の問題もないのならなぜこんなこと調べているんだろう。
小林の発言には矛盾が存在した。
白衣の男は何回も調べていて無口だったが初めて和人に対して話した。
「君は非常に状態が良い。
丈夫だ。
今まで見てきてここまで体が頑丈な子はいなかったよ。
言っておくが私がここまで褒めるなんてことはほとんどないぞ」
そばにいた小林は突然の男の発言には驚いたと同時に目を見開いた。
「和人君すごいじゃない!
鈴木さんが褒めることなんて滅多にないのよ!
私だって2年近く聞いたことがないのよ。
良かったわね!」
そう言った小林はとても満足そうな表情をしていた。
そしてこの会話で分かったのがいつも自分を調べにきている白衣の男の名前は、鈴木ということだった。




