そして町へ
お待たせしました。第三話、開演です!
食事が終わるとそれぞれ思い思いの時間を過ごす。
ボクは基本的なトレーニングと剣術自己鍛錬とジェシカの手ほどきを受けながらの魔法の特訓。
ジェシカは魔法の鍛錬。
ヤスエは今日は昼寝だ。
ちなみにヤスエはいつも昼寝するわけではない。
ヤスエの食後の行動はいつも異なっており、ある日は昼寝、ある日はボクの剣術の相手をし、またある日は周囲の哨戒を兼ねて走り込みをすることもある。
さすが、自分の好みの男を捜すために世界中から若い男をさらった魔王。いつでもその行動はフリーダムである。
それぞれのやることが一段落した頃、ボクらは近場の町へ向けて出発した。
目指す町はリーアス。旅人と商人が集う宿場町だ。
そして、ボクたちは無事にリーアスに到着したのだが……。
「なんか、ひどく寂れてるというか、人の気配がしない町ね」
「そうネ~アタシが前に来た時にはもっと活気があったはずなんだけどネ」
「……ということは、魔王軍の残党の支配下に置かれた、ということでしょうね」
ジェシカからギロリとした視線を向けられたヤスエは両手の平を肩の辺りで上に向け、首をすくめた。
「もう、そんな目を向けないでヨ。そんなんじゃ、せっかくの美人さんが台無しヨン」
「そもそも、アンタがきちんと後始末しないからこんなことになってんでしょうが!」
ボクを追ってヤスエが離れた後、魔王の軍勢は内部分裂し、我こそが新しき魔王であると名乗りを上げる者が各地に現れたのだ。そんな奴らが思い思いの方法で各地を支配、統合し、町を荒らしているのである。
ボクたちの今の目標の一つは、元魔王軍の討伐、または更生なのだ。
もちろん、魔王であるヤスエの側に残った者もいたのだが、現在はヤスエの依頼により、各所の情報収集に注力している。
「別にいいじゃない。だってあいつら、アタシの力を笠に好き勝手やってただけヨ。アタシは使い勝手がよかったから使ってただけ。アタシが抜けた後どうするかはあいつらの勝手でしょうヨ」
魔王クオリティここに極まれり。この身勝手さ、まさに魔王だな。
「で、ヤスエ。ここにいるやつが誰か分かる?」
「知らないわネ。アタシが直接見知ってるのは幹部クラスのほんの数人ヨ。そもそもここのやつからは大した気配も魔力も感じないワ」
「ま、そりゃそうか。なら、そこまで強いやつもいないなら、まずは情報収取といきますかね」
さて、この町では何が起こるんだか? ボクらは少しの好奇心と不安を胸に抱き、町への一歩を踏み出した。
今回は次の回への布石ということで大きな動きはありませんでした。また次回にご期待ください。
次回の更新も未定です。なるべく一週間以内には上げたいな~と考えてます。