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我思うところ。

作者: 河灯 良平

 私は暖かい空気に包まれ、目を覚ました。

 最近、めっきり寒くなってきた。私はこたつの中で丸くなって、寝てしまっていたようだ。

 それではまるで猫のようだって? 

 ご名答、いかにも私は猫なのである。

 こたつ布団のから顔を出し、ふぁと欠伸をする。と同時に私の気管に、冷たくも新鮮な空気が流れ込んできた。

 こたつの中の空気は、喉がもごもごしてしまう。どうも、人間は我々猫がこの中に入ることを、考えていないようだ。これは立派な猫差別であろう。

 ちなみに猫差別は、最近、夜の集会で頻繁に議論されている内容であり、一種のムーブメントになっているのだ。

 まぁ、君たちに話しても、意味のないことだ。

 猫は猫。人間は人間。両者は共存しているようで、分かり合う事はできぬものなのだから。

 どうやら、今はこの家にいるのは、主である私だけであるようだ。

 私は、洗面所に颯爽と移動した。そして後ろ脚に力を込め、ふわっと、洗面台に飛び乗った。

 鏡には、美しい三色の毛並みで、大きなぱっちりとした眼を持ち、すっと伸びた輝く髭を持つ、美しい猫が映っている。

 それはもちろん、私である。

 以前、この家の娘が、自分の顔に絵具を塗りたくっていたのを、目撃したがあれはまるで道化の様であった。生物は生まれ持ったままの姿形が、一番美しいという事を人間は知らないようだ。

 しかし、この家の母は絵具を塗ろうが、塗っていなかろうが、直視できたものではないが……

 いささか眠りすぎたようだ、私の腹時計がそのように言っている。

窓の方に、視線をやると綺麗な夕焼けが見えた。この様に自然を美しいと、 感じられるのは感受性豊かな猫だけであろう。

 人間とは全くもって、可哀そうな生き物である。

 洗面台から飛び降り、今度は台所に移動する。台所の隅に、私専用の食事用特別場所が設けられている。

 皿の中に入っている、少し硬めのフレークを食べる。味はいまいちだが、私は健康に気を付けているため、栄養をバランスよく摂取できる、この食事を続けている。

 人間は栄養バランスなどを考えず食べるそうではないか。

 食事をしていると、この家の娘が帰宅した。

 どうやら、一人ではないようだ。

 確認すべく、玄関へ走る。

 なぜなら、私はこの家の主であるからだ。この家の状況を把握する責任は、私にあるのだ。

 娘の横にいたのは、一人の男であった。どうやら、間抜けそうな顔を見たところ、大して害はなさそうだ。

 男は無礼にも、私を掴もうとしてきたので、その手を引っ掻いてやった。

 いつも人間は何かと、私に触りたがる。私が美しいが故なのだろうが、あまりにも無礼である。

 人間に教養というものを求めても、無駄なことぐらい理解しているので、もう一度引っ掻いて台所へ引き返した。

 ふと、見ると外は薄暗くなっていた。

 大変である。

 そろそろ、集会が始まるではないか。今日は猫曜日では、いわし曜日に当たる曜日であり、毎週、隣町の長老猫が講演する事になっているのだ。

 私は、ドアの前で数回娘に向かって、開けるように叫び、ドアを開けさせた。

 ドアの隙間から、娘の顔が見える。心配するのもわかるが、今日も猫差別について、話し合わなくてはならないのだ。猫は忙しい。

 なんだかんだ言って、私は彼らとともに生活することがこの上なく、気に入っている。

 この家に帰ると、いつも心が和み、ここが私のいるべき場所だと確認できる。

 そして、家族を見ると安心し、なんの気兼ねもなく毛づくろいができる。

 娘よ、留守は任せたぞ。

 そして、私は薄暗闇を駈けていく。


今回は視線の角度を変えて、書きました。

と言っても猫の視線ですが……

我々とは違う猫の視点で、人への風刺も込めて書いたつもりです。

はたして猫がこのように考えているかは、いささか疑問ですが……

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― 新着の感想 ―
[一言] さて、評価の数を重ねるごとに辛口になっていく改札口です。 それでは始めましょう。 まずこの小説には物語りがありませんね。冒頭から最後まで私の頭の中は(?)でした。 猫視点で、人間の生活を見…
[一言] ご依頼ありがとうございます^^ 拝読しました〜。 これは、猫の説明だけで終わっているような気がします。 起承転結の「起」だけ???って感じがしました。 風刺の部分まで到達せず、挨拶で終わっ…
[一言] はじめまして。 あいぽです。 秘密基地のスレッドでこの作品を発見して読みに参りました。 この作品は…… 恐らく好みが別れるでしょうね。 まず、ジャンルが文学という事ですが、文学というより、…
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