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小包

白奥

今迄書いたもので一番簡素で応えに直結したものです

そして理解に苦しむ内容となってますが苦しんでください

ふと故郷に戻ってみたいと柄にもなく思ってしまい会社をサボって新幹線で東北まで来てしまった


とても優秀とまではいかなくてもソコソコの実績を上げている自分なら問題無いはずという根拠の無い理由で欠勤について何も言わなかったが社会人としては一回の穴はでかいと言われてしまいそうである


学校を何も言わずにサボってるやつとか昔は下に見ていたが今となっては下に見てたのではなくただ単に自由奔放な彼らに良くない憧れを抱いていたのかもしれない


そう考え込みながら雪の中を傘もささずにただ歩き続けてるとどこか遠くの記憶が次々雪に描かれる


故郷とは言ったものの自分の29年の中でいたのはたった6年で東京の方が遥かに長いが何故か6年の雪国を故郷と思ってしまう


生まれたわけではなく大きな思い出があったわけでもない此処を故郷と思う


高校の現代文や英語長文で出てくる論説文の対比みたく東京の思い出を振り返っても大学に合格した時ぐらいしか鮮明に思い出として残っていない


昔暮らしていた家はまだ残っているが目の前まで来て首を上げすぐに自分は駅へ走り去って行った


走り行く自分は自分なのに空から見てる幽霊のよう


抜け殻の体が駅へ走っていくのを空から見ている


家で何かあったのだろうか


不満はあったのだろうか


さっきのサボる奴たちのように雪に描かれ思い出させてくれるんじゃないか


そう思った瞬間体は抜け殻へと入り無心に雪を掻きだす


抜け殻の不十分さを感じながらも掻く


すぐ下は地面なのに指から血が出るまで掻き周りを見ると避けていく人々の雪以上に冷たい視線が血だらけの指を凍らそうとする


目立たない少し田舎の方に行こうと思い電車に乗り降りる人が少なかった記憶がある駅に行く


本当に人がいない


駅から外れて山に入り地面を掻き出てきたのは


幼き自分の顔であった


中学生ぐらいだろう


実に若々しい


自然とその顔をすくい上げて


抱きかかえる


そうか


君は


私は


雪の中に埋まっていたんだな


白い白い氷の結晶の中に


20年以上も


周りに身をまかせ地方のしきたりに支配されるのが苦痛だったのか


そして雪に埋め東京へ旅立ったのか


しかしその弱さが足りなかった


やっとすくい上げた


白の奥底から

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