13話
自室のダイニングの机に突っ伏して寝ている玲香。
玲香の前には、昨日のショッピングモール内で発生した乱射事件に関する報告書が表示されているPCがある。
そっ〜と、ベランダの窓ガラスが開く。
「おはようございます……」
茅花がTV番組の寝起きドッキリのアナウンサーのような小声で呟く。
「あの後、お風呂には入ったんだ…… でも、言った通りベッドで寝てなかったしお仕置き♪ 今日はどういう風に起こそうかな。」
悪戯を画策する茅花の口元は緩み、ネグリジェ姿の玲香の体全体を見渡す。
「胸を触って起こした時は滅茶苦茶怒られたからなぁ〜 この柔らかそうな……」
茅花は呟きながら、普段のキリッとした状態とは異なるふにゃっとしている玲香の頬に人差し指を伸ばす。
ぷにっ、 ぷにぷに……
「うん?」
玲香は反応するが起きない。
「眼鏡姿の玲香ちゃんをもう少し眺めていたいけど、時間が無いし。」
茅花は都立桜花女子高等学校の生徒であることを示す、セーラー服を纏っている。
「…… ひゃったい?! 」
頬をいきなりつねられた玲香が飛び起きる。
玲香は寝起きであることもあり、ふくれっ面を見せる。
「茅花、毎朝起こしてくれるのは助かるけど、もっと普通に起こしてくれない?」
「だって、玲香ちゃん呼び掛けるだけじゃ起きないじゃん。」
「それでも、肩を叩くとか体を揺するとかあるでしょ……」
「は〜い、次から気を付けま〜す♪ それより、早く着替えて玲香ちゃん。」
茅花は語尾に合わして、軽く人差し指を立てる。
「はぁ〜 全くお気楽なんだから。」
反省を感じさせない返事に呆れつつ、玲香は寝室に向かう。
セーラー服に着替え、コンタクトレンズを着けた玲香がダイニングに戻ると机の上にはトーストとハムエッグを並んでおり、キッチンでは茅花がコーヒーを入れている。
「お待たせ♪」
「いつも、ありがとう。」
玲香が椅子に座り朝食を食べる。
「護衛として上の階に住んでいて、毎朝起こす方のことも考えて仕事してよね。」
「は〜い、次から気を付けま〜す♪」
玲香は語尾に合わして、軽く人差し指を立てる。
「反省してないな…… これって、昨日のモール事件でしょ?」
「ええ、彼女について知りたくて報告書を読んでみたんだけど何も分からなくて…… 」
玲香は報告書に添付されている監視カメラに映る朝宮の画像を見つめている。
「ふ〜ん。今日の放課後、お祖父ちゃん家に行くの?」
「ええ、その前に伊賀梓さんに会ってみるわ。」
玲香はコーヒーを飲み干す。
「玲香ちゃん、そろそろ出ないと遅れるよ。」
玲香は茅花と自室を後にする。




