出会いと救い
中学3年生になった春の日、相談室登校で仲良くなった梨花に、私は吐露した
お婆ちゃんのこと、お父さんのことを
「話してくれてありがとう、辛かったね。
でも、子供だけじゃ解決できないから、一度心理の先生に話そう?」
私の通う学校には心理士の田中先生が居る
相談室登校になってからはよく顔を合わせていたし他愛もない話をするようになっていた
『分かった……話してみる』
そして田中先生を呼んで話をしたが、内容が内容なだけに、男である田中先生は担任の女教師、矢口先生も混じえて今後について話そうと言った
そして2人からでた最初の答えは
【まず、自分で嫌だって、止めてって言いなさい。
言っても直らないなら、先生達が出るから】
いや、まてよ、言えないから悩んでるんじゃないか
その場で、言えていたらもっと早くにSOSを出している
何も分かって貰えない
話したって何も変わらない
もう……いいや……
それからは毎日のように2人の先生に会えば
「昨日は言えた?言えなかったの?今日は言おうね?」
って確認と催促
はっきり言って逆に苦痛だった
リストカットをして、手首から血を流しながら廊下をフラフラ歩いて
見つかって捕まればお前らに何がわかると喚き泣き叫び暴れる日々
助けて欲しいが為に咄嗟の行動
わかって貰えない辛さと分かって欲しいという願いを込めての行動だった
でも、大人には通じなかったんだ
どんどん苦しくなって学校へも行かず、海に行くことが増えた
浜辺に座り、いっその事この海が全部飲み込んでくれたらいいのに、途方もなく広い海なんだから私1人連れ去ってくれてもいいじゃないかそう思いながら涙を流し海を見つめる
そんな時に携帯が鳴った
「もしもし?また海に行ってんの?
どうせまたなんかあったんやろ?
昨日もやられたん?」
『梨花……もうどうしたらいいんだろう…
先生達はあんなだし、言っても意味なかった』
「そっか……ならさ…専門の人に話聞いてもらお?」
『専門の人?どういう事?』
「児童相談所に私通ってるの。
あなたも行かない?
少しは違う意見や解決方法をくれるかもしれないよ?」
『……うん…でも怖い…また話しても何も変わらなかったらどうしよう…もう……死んでいいかな……』
「死んではダメ、死なないで、私の前から居なくならないで、私が行く時に一緒に児童相談所行こう」
『…………分かった』
それから数日後、梨花と梨花のお母さんが迎えに来てくれて、私は児童相談所に行った
40-50歳代の女性ケースワーカーの星田さんと面談した
「言いづらいけど、今のままではダメ
一度児童相談所の保護所に行かない?
家には帰ってはダメ、もしもの事が起きるかもしれない」
『……でも…家族だし…捨てられたくない…ちょっと考えさせて欲しい……』
はい、分かりましたと保護してもらえばよかったのだろう
でも、保護される=父や祖母に反抗している=捨てられるそう思って、母が居なくなった時の悲しみや捨てられたと思った恐怖を思い出し即決できなかった
帰宅して、ずっと考えながら、2日くらい経った時、星田さんから電話が来た
「明日、貴方の学校へ行ってもいい?またお話したいな、元気か顔を見たいの」
『……分かった』
明日星田さんがくる…
会った時にきっと保護所に行くか聞かれるどう答えたらいいんだろう
グルグルと考えながら就寝した…
でも寝れなかった、妙に目が冴えていた
そんな時、深夜1-2時頃父が帰宅した
祖母はもう寝ている
私は咄嗟に寝た振りをした、寝ていることを確認して父は自室へ帰り、ガサゴソと音がした後、足音が近づいてきた
『…あ……くる…怖い…』
思った通りに父は私の部屋に来た
箱ティッシュをもって
そして私を犯した
止めてって言おうとしたが、怖くて声が出ない
涙が滲む、寝た振りを続け人形になる事に徹した
事が終わり満足した父は自室に帰った
私は呆然と天井を見つめ息を殺し声を出さないように泣いた
『……もう無理だ…いやだ…明日星田さんに言おう……』
ラジカセにイヤフォンをつけ、当時はやっていた、梨花も好きなお笑い芸人のラジオを聞き、無理やり笑顔を作ろうと頑張った
『梨花はこのコンビの糸部が好きで、私は尾澤が好きなんだよなー……
2人で書いて送ったハガキ読んでくれないかなー……
ほんとこの2人面白いよねー……
尾澤さんの声とキャラ好きなんだよなー…
保護されても梨花とこのコンビの話できるのかな……ははは…』
翌朝一睡もできなかった私は、お婆ちゃんのお昼ご飯を作り家を出た、玄関を閉めて
『行ってきます……さようなら……』
心の中でそう言った




