友達
私には友達がいなかった。
先生はこう言った。
「お前さ、ありがとうとかごめんなさいとか、言えるようになった方がいいよ。そうしたら友達ができるよ」
私はそう言われても動じなかったつもり。
でも、行動は素直だったみたい。
ありがとうとごめんなさいを素直に言えるようになってからは、友達も少しできた。
6年生になっても先生は変わらず、クラス替えもなくただ千尋、麻美、文子というという友達と、幼馴染の真由子が私の周りに集まるようになった。
嬉しかった。
その反面、人の汚い部分を知らない無垢なこいつらが嫌いだった。
一番嫌いなのは真由子。
同じマンションに住んでいたが、校区内に一軒家を買って引っ越して行った。
保育園も同じ、小学校も同じ。
『こいつ私より恵まれている』
そう思うと好きになれなくて、いじめたくなった。
真由子の靴を隠したり、体操着とか私物をトイレの床に投げつけたりして、こいつが泣きそうになるのを見て私は嬉しかった。
でも本当はそんなことしたいわけじゃなかったの。
ただ羨ましかっただけ...
嫉妬?
そうかもしれないな...
それから、千尋と麻美、文子は他のグループの子達とも交流があったから
私はそれにも嫉妬した。
いつだったかな、仲良くなりたての頃に
「私達4人で将来ケーキ屋さんしようよ!」
と、麻美が言い出した。
「約束だよ!!」
と、口約束まで交わしたのに。
翌日、麻子は急にこう言い出した
「私婦警さんになる!あ、あと漫画家にもなりたい!」
私は混乱したよね。
『約束はどうなったの?麻美が言い出したあの約束は?』
裏切られたというかなんとも言えない嫌な気持ちになった。
そんなこともあったからなのかな。
『もう話したくない』
とだけ書いた手紙を3人に渡した。
『どうせ、私との約束はなかったことになるんだ。
どうせ他の子達と遊ぶ方が楽しいんだ。
どうせ私からみんな離れて行っちゃうんだ...』
だから自分から離れた。
休み時間に一緒に遊ばなくなってからは、学校の玄関からみんなが遊んでる様子を見つめてた。
『楽しそうだな...やっぱり、私がいない方が楽しそう。
私と遊ぶのは楽しくなかったんだろうな...』
そんな風に思いながら、彼女達が校庭で走ったりしている姿を見つめた。
「お前さ、最近麻美たちとなんで遊んでないの?」
ふいに担任に声かけられてビクッとなってしまった。
『べ、べつになんでもない。友達やめただけ。』
「ふーん、そっか。...お前それでいいん?良くないよな?」
『べつに...いいもん...関係ないし。』
その日から先生の言葉が頭から離れなかった。
【お前それでいいん?】
よくないことは自分が一番よくわかっている。
本当は一緒に遊びたい。
いっぱいお喋りしたい。
でも...素直になれない自分と、歪んだ心を持った私が阻止する。
「よくないけど...みんなは知らないんだ。
大人の怖さとか汚さを、まだ見ていない。
綺麗なままのみんなが羨ましい...憎い...」
そう思うと素直になれなかった。
なのに心は、涙を流していた。




