ここは何処?
やっと2話です。
……短い上に進んでない
何とか文章量増やしていきたいところですがずっと1話だけなのもなんなので上げます。
では本編を
前を見る。そこには草原が広がる。
右を見る。そこにも草原が広がっている。
左を見る。そこには草原が広がっていた。
後ろを見る。自販機がなかった。
……だめだ。意味がわからない。
俺はさっきまで確かに日本の夜の街を歩いてたんだ。
なのに今目の前にあるのは街中のどこを探せばこんなところがあるんだというほどの広さの草原。上にはまあるいお月さまじゃなくてギラギラと照りつけてくる太陽だ。
あまりに変化が唐突過ぎて俺の頭が追いついてない。
「…………ははっ」
わけがわからなすぎて終いには笑いがこみあげてきた。
そのまま背中から倒れこむ。
この一面に広がる草原は、倒れた俺を優しく受け止めてくれた。
ふさふさとした草たちは思いのほか気持ちよく、このままずっと寝そべっていたい衝動に駆られる。
しかし、その感触から否が応にも俺に事実を突き付けてくる。
これは紛れもない「現実」だ、と。
背に感じる草の触感も、照りつける太陽の眩しさも、思い出したように肌をなでる風も。
全てが、これが現実であると俺に訴えてくる。
「現実にしか思えないが、それこそが非現実的な状況っていうのがなんとも言えんな」
これを現実だとすると、どうして俺はここにいるって話になる。
ドッキリにしたって状況が意味不明すぎるし、何より俺にそんなことを仕掛けてくるような心当たりがない。
高校辞めた時に僅かにあった交友関係すらなくなったからなぁ……。
「あ~……眠くなってきたな」
碌に使わない頭を回転させた為か、それとも今日日そうそう見ることの出来ないようなこの広大な草原の雰囲気に当てられたか。
「このまま寝ちまうかな」
どうせいくら考えたって状況なんてわからない。
なら自分の欲望に素直に従ってみるのも悪くない。
幸い、俺が今いるのは開けた草原だ。大きな危険はないだろう。
そうと決まればいざ。
「おやすみなさい」
「兄ちゃん、こんなところで一体何してんだ?」
寝ようとしたところに男の声が聞こえてきた。
「ん~?」
この状況でやっと起きた変化だ。
寝ようとしたところに面倒ではあるが、無視するわけにもいかない。
「こんなところで寝てたら踏まれんぞ。」
そこにいたのは筋骨隆々の髭面のおっさんだった。
身長は2mを優に超えており、下手をすれば3mに届くかもしれないというほどの大きさだ。その大きさに見合っただけの肩幅もあり、俺の倍近くはあるだろうか。そして体のパーツがそれぞれ異常な太さを持っている。丸太のような腕、などという言葉を比喩でなく使いたくなるような体つきだ。
顔は茶色い髪と髭に覆われて半分近くが隠れている。にも関わらず顔の節々が角ばっているのがなんとなくわかる。だがそんなものより左目を掠めるようについている一本の大きな傷が目につく。
しかしこれだけの要素がありながらこのおっさんのことを怖いとは思わなかった。
その理由は目だろう。
体に似合わずおっさんの眼は小さく、なんとも優しそうだと思わせてくれる目だった。……俺もそんな風に思われる目がよかったよ。
おっさんの左手には紐が握られていて後ろのソリみたいなものに繋がれているんだがそのソリに載ってるものがあるんだが……
ありゃ熊か?
熊にしては毛が赤いし、この熊、このおっさんと同じぐらい大きくないか?
しかし死んでるようだがおっさんが仕留めたのかねぇ?
そしてこのおっさんの右手に持っているものがなによりも目を引き付ける。
それは鉄の棒だ。
棒の先には丸い鉄球ともいえるものが付いており、いわゆるメイスというやつだろう。だが、それがとてつもなく大きい。おっさんがもっても違和感がない大きさというだけでどれだけの大きさかわかるというものだろう
このご時世にそんな大きな鈍器を堂々と持ち運んでいるなんて正気を疑いたくなる。
「おい、大丈夫か、兄ちゃん?」
「おっと失礼。ぼおっとしてた」
危ない危ない。情報源が向こうから来てくれたのに逃すところだ。
しかし、今の状況といい、このおっさんといい、後ろの熊といい、ホントにここはどこだ?
「気づいたらさっきの草原にいて、途方に暮れていたところに俺が通った……ねぇ」
現在はおっさん――ギュスターと2人でこのだだっ広い草原を歩いている。おっさんの説明によると少し行ったら舗装された道に出て、その先に大きな町があるらしい。
「マジ、じゃなくて本当なんだよ。金落としたから探しに行こうと振り向いたらいきなりさっきの場所だ。混乱状態のところにおっさんが通ってくれて有難かったぜ」
「おっさん言うな。俺はまだ三十代だ。」
十分おっさんだろう。
まあ、そこは言うまい。おっさんという言葉に複雑な思いを持つ年なのだろう。
「でよ、おっさ……ギュスターのおっさん。ここってどこよ?」
「言い直したのにおっさんか!? ……ここは、神聖魔国アイアコのラルメス子爵の領地だよ」
「……は?」
いまこのおっさんは何て言った?
国名がアイアコなのはいい。地球の全ての国名を知ってるほど俺は勤勉な人間じゃない。どっかのニュースにもならねぇような小国がそんな名前をしてるかもしれない。
子爵の領地も問題ない。爵位制度が今もまだあるところはあるだろうし、小国なら地域ごとの名前もない可能性もある。
だが、
「神聖魔国?」
なんだそのけったいな名称は。
「なんだ? 兄ちゃん、国外の人間か? カラスマシンゴ?なんて妙な名前ここらじゃ聞かないしな。ここはキャメローンの中でも魔法が最も進んだ国といわれる大国、神聖魔国アイアコだ」
「……魔法!?」
「なんでそこに驚くんだよ。……あ、兄ちゃんレイスか? 機国とかには結構いるらしいからな」
なんかおっさんが言っているが俺の耳には入ってこない。
ちょっと待て。魔法ってあれか?ホニャララとわけのわからん呪文を唱えて火の玉とか出す小説やゲームでよくあるあれか?
いやいや、ありえないだろう。
「おっさんは魔法、使えるのか?」
まずは、確認だ。
機械とかの技術のことをこの国じゃ魔法って呼ぶのかもしれねぇしな。
「だがら……いや、もうおっさんでいい。兄ちゃんにいくらいっても不毛な気がしてきた」
よくわかってらっしゃる、おっさん。
「で、魔法? 使えるよ。……とはいっても俺は簡単な火の魔法が精々だが」
「見せてくれねぇかな?」
ライターか何かが出てくることを祈って聞いてみる。
「いいぞ」
と言っておっさんは右手に持ったメイスを前に掲げる。すると、
ボッ
と音を立てて先端の鉄球が燃えだした。
「と、こんな具合だな。……さっきからどうした兄ちゃん」
「……いや、なんでもない」
俺はその光景を見て、なんとか答えを返すのが精いっぱいだった。
鉄が燃える。しかも大した準備もなくだ。
常識で考えてありえないことだろう。それをこのおっさんは何て事のないようにやってみせた。
つまり、ここではそれが当たり前のことなのだろう。
そうなると俺の疑問はこれになる。
「……ここは、どこだ?」
どうやら俺は、地球にすらいないらしい。
本当は町まで行こうかと思ったんですけど一旦ここで切ったほうが綺麗かと思いきりました。
1話5000文字ぐらいは行けるようになりたいんですけどねぇ。
それはこれからの課題として頑張っていきます。
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