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第一声

ども。華羅巣(からす)です。

小説自体は何度か書いたことありますがこのようにWeb上に載せるのも、長編を書くのも初めてです。

拙い部分も多く見られるかもしれませんが長い目で見てもらえると幸いです。


では、本編をどうぞ。

「ラストォ!」

 ドガッ!!!

 雄たけびと同時の打撃音。そんなものが街の路地裏から聞こえてくる。

 

近くにいた通行人は何事かと一時は路地裏に目を向ける。しかし、現代人の事なかれ主義の性質か、すぐに興味を失せたように歩を進めだす。ここは大通りといえるだけの広さはあり、それに見合った量の通行人がいるのにもかかわらずである。当然だろう。誰も自分から危険に近づこうとは思わない。


 そうしているうちに件の路地裏から1つの影。

 現れたのは180cmはあるだろう大きな男。

彼を見てまず思うのは「黒」だろう。

服装は長そでのシャツに長ズボン。そのどちらもが墨で染めたような黒。男が肩にかけるように持つ上着も例に洩れず黒であり、癖のない真っ直ぐな髪も、にらみ殺すかのような鋭い目も、日本人らしく真っ黒である。

腰まで届きそうな長い黒髪を首の後ろで束ねており、その束ねる紐だけ白色が使われていることが不思議に思えるように黒一色で染められている。

肩幅はあまりないがひ弱な印象は受けない。それは服の上からでもわかる鍛えられた体のせいであろう。


男は路地裏の入り口で1分ほど立ち尽くしていたかと思うと、

「……帰るか」

 と呟き、背を丸めながらダルそうに歩き始めた。

 男が立ち去った後、路地裏からは複数人の呻き声が聞こえていた。




「だりぃな……」

 当然だ。やりたくもない喧嘩をやってきたばかりなんだから。


 ただ道を歩いてるだけで喧嘩を売られる。ガンを飛ばされただのとくだらない理由でだ。

 そもそもあいつらのことなんか見てもなかったが、今さらだ。そもそも、ここ数年は週に1回ぐらいのペースでそんなことがあるから慣れちまった。

 それもこれもこの目のせいだ。自分としては普通に目を向けただけでも、向けられたほうは睨まれているようにしか思えないらしい。……子供に目を向けたら10人中9人は泣いちまう。こっちが泣きたくなるぞ、畜生。

 そんな目のせいでちょっとガラの悪い奴とすれ違ったら当然のように喧嘩を売られる。碌に喧嘩なんかしたことなかったから始めのうちはただただボコられた。けど中学からずっと週1ぐらいで喧嘩を売られてたらこっちも自衛せざるを得ない。するとどうやら俺には喧嘩の才能でもあったのか中学卒業のころには地元じゃ敵なしなんて言われるようになってた。


 すると今度はその評価が気に入らないらしい馬鹿どもが群がってくる。それを返り討ちにするとまた噂が広まり馬鹿が来るという悪循環。たまに負けた腹いせに仲間連れてくる奴がいるのが一番困る。強いといっても相手にできるのは精々5人が限度だ。それ以上はどんな雑魚でも数の暴力でしかねぇんだよ。


「これからどうするかね」

 家に帰ってもすることは特にない。


 俺の年齢は現在18歳。中卒じゃなけりゃ高校に行ってる年齢だが、2年の時に学校内での喧嘩で退学になった。世間の評判もあって学校としてはいい口実だったのだろう。

同時に親からは勘当されたので絶賛一人暮らし中。築何十年のぼろアパートとはいえ、住むところだけは提供してくれたのがせめてもの救いか。


今のご時世、高校中退、しかも世間の評判も最悪なガキを雇ってくれるような奇特な場所もなく、工事現場のアルバイトなんかをしながら食いつないでいるのが現状だ。

「今日はバイトもないしな……」

 この後のことを考えながら歩いているとすぐ先に自動販売機が見えてきた。

「さっきの運動で喉も乾いたし、飲みながら考えますかね」

 そうと決まればまずは金だ。

肩に担いでいた上着を脇に挟み財布の入っている右ポケットを探る。

「あ?」

 俺のポケットはそんなに大きなものじゃない。どんなズボンにもあるような普通の大きさのものだ。

 なのにいくら探っても右手が財布を掴むことができない。

 つまり、結論を言えば、

「財布、落とした」

 そういうことである。

「考えられるのはさっきの路地裏か……」

 というかそこになければ思い当たる場所は欠片もなくなる。


 俺は家にはあまり金を置いておかない。というよりも置いておくほど余裕がない。

 つまり財布がないということは俺の全財産がなくなるということであり家賃どころか飯すら食えなくなるというわけだ。

「……取りに行くしかないか」

 他に選択肢もなく、俺は来た道を戻るために後ろを向く。

 そこは辺り一面の草原があった。

「は?」

 このときの俺は呆然とするしかできなかったし、理解もしていなかったが。


 どうやら俺こと烏間真護(からすましんご)の異世界での始めの言葉がこれだったらしい。


初回とはいえ少々文字数が少ないかもしれない。


本当は書き溜めて多くの量を提示したいのですがまずは1話を。

1話載せてしまえば後に引けなくなるのでサボらないようにと思えますし。

どの程度の更新速度を保てるかわかりませんが、少しでもお付き合いしてもらえれば幸いです。


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