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今回初めての作品で上手くいくか分からないのですが、是非暖かい目で見てください!
その日は、本当に何でもない一日だった。
学校に行って、適当に授業を受けて、帰ってきて、ゲームをして。
特別な出来事なんて一つもない、いつも通りの日常。
ベッドに寝転がりながら、俺はスマホを眺めていた。
頭の中にあったのは、さっきまで遊んでいたゲームのことだけだ。
――もし、あの能力が現実で使えたらな。
そんな、どうでもいい妄想。
次の瞬間だった。
世界が、唐突に途切れた。
音も、光も、感覚も。
まるで電源を切られたみたいに、すべてが消えた。
――え?
気づくと、俺はどこかに立っていた。
足元も、空も、境界がはっきりしない、白とも黒ともつかない場所。
「終わったな」
後ろから、声がした。
振り返ると、そこには“誰か”がいた。
男なのか女なのか、若いのか年老いているのかも分からない。
ただ、人の形をしている、ということだけは分かった。
「急ですまないな。君は死んだ」
やけにあっさりとした口調だった。
「代わりに、一つだけ用意がある」
その“誰か”は、少し考えるように間を置いてから言った。
「君が好きだった”あのゲーム”。
その能力を、少しだけ使えるようにしてやろう」
――ゲーム?
能力?
問い返そうとした瞬間、相手は曖昧に笑った。
「全部は無理だ。最初は、ほとんど何もできない」
「成長次第だな。どこまで扱えるかは」
そう言い残すと、景色が崩れ始める。
「待て、ちょっと!」
声を上げたが、もう遅かった。
強い浮遊感。
体が、どこかへ引きずられていく。
次に意識が戻ったとき、視界はひどくぼやけていた。
体が小さい。
手も足も、自由に動かない。
喉から出たのは、意味のない声だけ。
――赤ちゃん、かよ。
理解した直後、ほんの一瞬だけ、体が軽くなった。
まるで、走り出せそうな感覚。
けれど、それはすぐに消えた。
理由は分からない。
だが一つだけ、確信があった。
俺はこの世界で”誰か”が言っていたゲームの能力でこの体と一緒に生きて行かなければならないと――。
父の名はゼイン・ストーン。
元冒険者で最前線で戦っていたほど優秀な武闘家で、基礎も性格もしっかりしている。
だが、魔法を使うのが大の苦手で冒険の途中、飲み水として水を少量出せる程度だ。
母の名はルナ・ストーン。
母も元冒険者で父、ゼインと一緒に最前線で戦っていたほど優秀だった。
ゼインとは違い魔法を得意とし、主に支援魔法で前線を安定させていた。
派手な魔法は使えないものの、いつでも落ち着いて状況を判断して適切なタイミングで適切な魔法を使っていた。
そして俺の名前だ。
元の世界では航、転生後の名前はアストだ。
今俺ができることは「泣く、眠る、起きる」このくらいだ。
考えることはできるのに、体が追いつかない。
思うように動かない手足に、最初は苛立ちも覚えた。
だが、不思議と悪くはなかった。
抱き上げられるたびに、温かさがあった。
聞こえてくる声は、どれも柔らかい。
どうやら、このストーン家は――
少なくとも、安心していい場所らしい。
成長するにつれて、少しずつ世界がはっきりしてくる。
木の床。
小さな家。
窓から差し込む、やわらかな光。
特別裕福ではない。
だが、困っている様子もない。
――悪くないスタートだ。
そんなある日、ふと気づいた。
感情が大きく揺れたとき。
嬉しいとき、悔しいとき。
ほんの一瞬だけ、体の感覚が変わる。
軽くなる。
鋭くなる。
……気がする。
もちろん、すぐに元に戻る。
狙ってできるわけでもない。
だが、あの“誰か”の言葉が、頭の奥に引っかかっていた。
――成長次第だ。
俺はまだ、何もできない。
だが、その答えを見つけるには十分な時間があった。
このタイトルと話の流れで薄々どのゲームか気付いている人もいるかも知れません。(このゲームの話か?)と考えながら次も読んで言って貰えたら嬉しいです!




