謁見
謁見はあっという間に終わった。
『兄上。愚弟の顔も見たことだし、そこな二人は余が預からせてもらう。民に空腹を強いるは政治の名折れ。問題など、何一つ無いであろう?』
エルディッサの鶴の一言で全てが片付いた。
居心地悪そうに玉座に腰を下ろしていた若き王は小言の一つも口にせず、その提案を呑み足早に去っていった。
面子を潰されたからか、一秒で早く離れたかっただけか。遠ざかっていくマントからは窺い知れない。
「それでは、余の部屋へ参ろうぞ。疲れもあろう、ゆるりと寛ぐがよい」
ケーキも用意しよう。エルディッサの言葉に、ノーラがぱっと顔を明るくする。
テテュスはその表情に安堵しつつも、どこか胸の奥がざらついた。
(あれが、二人の兄か……)
玉座に鎮座した獣人の青年は、確かに顔立ちは整っていた。
アルヴィトル・ロギ・マナルジョス。現王にしてダグアーラの異母兄弟。やはり血筋のせいか、見比べると顔の特徴とかが似通っていた。それに何より同じ獣人。家族なんだと、改めて認識させられた。
ただ、どことなく所在なさげで居心地悪そうにしていたのが気に掛かる。指導力や風格を感じさせない、よく言えば繊細そうな、有り体に言えば頼りなさげな様子が気になった。
振り返ってももう、席には誰もいない。洒脱な玉座は、どこか空疎さを抱えていた。
12時には続きを出します




