蝉時雨
うだるような暑い日
私はあなたに逢いにいく
蝉時雨が 故郷の夏を
あなたを想い出させてくれる
青い空に白い雲 深緑の山々
生い茂った木々は
あちこちに木陰をつくっている
両手には花と きれいなお水
香煙が漂う昼下がり
両手を合わせ瞳を閉じれば
懐かしい想い出が蘇る
賑やかに鳴く蝉の声 あなたの笑顔
夏の光りとともに降りそそぐその声は
どこか愛おしく
あなたも向こうで 心穏やかに
元気でやっていますようにと 頭を垂れた
うだるような暑い日
私はあなたに逢いにいく
涼やかな風が吹き抜けて
両手をのばす あなたを真似た
私の身体をなでてゆく
透けて重なる木漏れ日は
静かで優しい あなたに似ている
揺れる光りに照らされて
蝉時雨が降りそそぐ
零れおちる 光のかけら
隣でそっと微笑んで
きっともう 寂しくないよと
いっぱいにあふれている
夏を吸い込む
8月の風に想いをのせて
あなたにどうか、届きますように。
愛する人は、いつもあなたに寄り添って──。