第3節 コノートの戦士⑦
大変ご無沙汰です。仕事だったり、精神的に参ったりして前の話から2ヶ月経ってしまったそうです。
投稿遅れて大変申し訳ありませんが、最新話です。
PM 11:30 駅前通り
駅前通りのビルの屋上、1人の魔術師が虚数に包まれた札幌の街を見下ろしていた。
七森明日香は、アルトナ達とは別行動をし、ある転移者を追っていた。
明日香は、ビルの屋上より、札幌の街並みを眺める。すると、亜空間からライフル銃を召喚し、狙いを定める。
そして、照準が定まり、明日香はその引き金を弾く。スコープ越しに、標的に被弾したことを確認した明日香。だが、標的はそこにはいなかった。
すると、その標的は、明日香に後ろを強襲する。だが、明日香は素早く拳銃を用意し、反撃する。
「見事」
「へぇ〜。あの距離からの狙撃を回避して、ここまで来るなんてね」
明日香は、転移者とのぶつかり合いにより、後ろに後退する。転移者もまた、その衝撃で後退する。
お互いの攻撃がぶつかり合い、その度に衝撃波が走る。明日香は、転移者の下に潜り込むと、死角から弾丸を撃ちこむ。
しかし、転移者は明日香の放つ弾丸を剣で振り払う。
そして、転移者は剣であすかに向けて降りかかるが、明日香は咄嗟に避けた。
「なるほど。これが君の『能力』って訳か」
「ほう? 我が『能力』を見抜くとは。我が『能力』、『軍神』は全ての攻撃予測を把握することが可能。
従って、貴様の攻撃は我には通らんよ」
「そうかい。でも、久々に楽しめそうだ!」
明日香は、亜空間から二振りの剣を召喚する。赤と青の炎を纏った剣を持ち、明日香は転移者に攻撃を開始する。
転移者もまた、大振りの剣を持ち、明日香を迎え撃つ。
赤と青の炎を纏い、双剣も持って連続的な攻撃を加えるが、転移者には通じない。いや、違う。彼女はあえてそうしているのだ。
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それも全てはリリムの提案である。彼女は明日香に彼を追わせ、彼の持つ『能力』を探らせるためだ。
彼女は、『女王』の最終兵器として、件の転移者をマークしていた。その仕事を明日香の任せたのだ。
「それで? 私をあいつの邸に帰さないでいたのはそのため?」
「そうだ。奴も『女王』のことで手一杯だからな。奴には許可を取っている。『褒美に好きなだけ食わせろ』っだそうだ」
「やれやれ、それなら仕方ないね。で? 任せたいことって何?」
リリムは、ある写真を見せる。その写真は、彼女が独自に入手したものだ。
「こいつを始末してほしい。件の集団の中でも、群を抜いて強いようだ。こいつを放置していると、魔術院側が不利になるぞ。
まぁ、お前にとってはどうでもいいことだがな」
「私は魔術院に属してる魔術師ではないしね。それを私に始末させろってこと? あの餓鬼か、あの女の依頼かい?」
「『仮面の魔女』だ。魔術院と関係のないお前に、排除してほしいとの依頼だ。
報酬を高くつけるそうだ」
リリムの言葉に、明日香はソファーから起き上がる。それと同時に、ウィズもまた背もたれから明日香の近くにより始める。
「気に食わないけど、受けるしかないか。あれでも、約束は守る女だし」
「そうしてくれ。私はここで、傍観させてもらう」
リリムは明日香を見送り、明日香はその場を去る。
そして、明日香はすすきのの街に向かうのだった。
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そして今に至る。明日香は、標的の転移者を見つけ、戦闘を開始している最中である。
明日香の攻撃は、彼の能力によって、ことごとく弾かれてしまったようだ。
だが、彼女はそれを見越した上で、わざとそうしたようだ。明日香は、彼の能力を欠点を見抜き、それの準備のために剣を納め、銃を召喚する。
「銃か。だが、我が能力の前では、それも効かんぞ?」
「どうかな? その余裕が保てる内は、そうかもね」
明日香は、転移者の前に向けてガンプレイを披露する。女性が持つにしては大きすぎるハンドガンを、明日香は平然とガンプレイを決める。
「16発。デザートイーグルの弾数は一丁あたり8発だ。この16発の間に、君に1発でも当たったら、私の勝ち。16発全て避けたら、君の勝ちだ。
どう? 私と決闘をする気はあるかい?」
「いいだろう。では、我が力を持って、その申し出は引き受けよう」
転移者は、明日香に向けて攻撃をする。しかし、明日香はそれを軽々しく避けると、ハンドガンを彼に向けて放つ。
だが、転移者は予測したのか、咄嗟にそれを剣で防いだ。
明日香は、続けて2発ほど転生者に向けて放つ。転生者は悠々と避けるが、明日香は彼が避ける位置を予測し、その方向に向けて狙撃する。
残る弾数は13発。現状では、転生者に軍配が上がっているが、明日香は依然として余裕である。
「ふん。これしきのこと、我が能力の前では無意味だ」
「まだ13発だよ。それとも、もう勝ち気でいたのかい?」
明日香は、彼に向けて手招きをする。転移者は再び斬りかかるが、明日香はそれをまた避けた。
「そろそろ本気を出そうか」
明日香は目を閉じ、開眼するように瞼を開ける。彼女の視界には、半透明の亜空間の門が浮かび上がっている。
明日香は、その亜空間の穴に向けて、引き金を引いた。
「ほう? 自ら、勝ち目がないと悟り、無駄撃ちをするとはな。これで、残るは7発か」
「さぁね。試してみないとわからんよ」
転生者は、さらに攻撃を続けるが明日香は、それを避ける。すると、明日香は3発ずつ転移者に向けて狙撃する。
残りは1発。だが、その隙を物理的に作るのは不可能の状況の中、明日香はそれができるのをただ待っている。
すると、明日香はその機会を自身で作ることにしたのだ。
「降参だよ。もう私には撃つ手がないよ」
「そうか。では、我自らが止めを指してやろう」
転移者は、明日香の銃を拾う。そして、その銃口を明日香に向ける。
そして、明日香の銃を放つ。
――――――――その時だった。
「何!?」
転移者は、驚きを隠せなかった。なんと、その銃には、弾が入っていなかったのだ。そして、明日香は転移者に向けて、また銃を撃つ。
今度は転移者に銃弾があたり、彼の左膝を突き向けた。
「馬鹿な!! 我の能力では、この銃に最後の銃弾があったはずだ!!」
「残念だよ。最後まで、私のハッタリに気付かなかったとはね」
「何故だ!! 能力の情報では、これには銃弾があったはずだ」
明日香は、転移者が持っていた銃を、自らの銃を拾う。
「確かに、この銃には弾があった。でも、この銃は特殊でね。所有者の魔力を弾丸に変換することで、ようやく撃つことができるんだ。
でも、所有者ではない奴が持っても撃つことすらできないんだ。どんなに強くてもね。
弾は普通の銃とは変わらないが、この弾は普通の銃弾に見えるが、この中は空洞になっていて、所有者の銃を介してようやく放たれるんだ」
「そ、そんなのはったりだ!! 我が能力では、弾が入っていると決まっている!!」
「それは君が言えたことじゃないだろ? これは戦争だ。卑怯もクソもないのは、当然のことでしょう?」
明日香は銃を回しながら、転移者に詰め寄る。
「それに、君たちは誰の住む街に土足で踏み入れたか、その身で知るといい。
それはある種の戦争行為として、認識してもいいだろう。君らが別の世界から来たかは知らんが、軽い気持ちで、転移先の人間を平然と殺すような真似は、看過できないね。
それに、この末路は君の自業自得だ。自分の能力に過信して、想定外の事態に備えないのが悪いのさ」
「おのれ! 能力の持たない奴が、生意気を!!」
転移者は怒りに任せ、明日香に接近する。しかし、それは罠だ。明日香は、銃を彼に向ける。
亜空間に向けて、放たれた銃弾は消滅する。すると、転移者の後ろに亜空間だ現れる。
「『|亜空に踊り狂う銃弾の舞』!!」
明日香の術式によって、無数の亜空間が召喚される。すると、先ほど撃った弾丸も含めて、連鎖的に銃弾が撃ち流れる。
非情とも思える銃弾の連射に、転移者も耐えきれず倒れ込む。
「ガハッ!! こ、ここまでとは……」
「もう終わりだね。その身じゃ、回復は間に合わないだろう」
明日香は、転移者が息を引き取るのを見届ける。明日香が転移者が息絶えるのを見届けると、彼女の影から、黒猫が現れる。
『終わったの?』
「うん。厄介な相手だったけど、カラクリがわかれば、たいした事のない奴だったよ」
『まぁ、そうだね。それより、まだやる事があるよ』
「そうだね。んじゃ、ラスティアの所に行こう」
黒猫のウィズは、体を大きくし、明日香はその背中に乗る。そして、明日香は駅前通りを後にし、ラスティアがいる西11丁目に向かう。
こうして、駅前通りの戦いは、魔術院側の勝利で、幕を閉じたのだった。
なんだかんだで、小説を書いて1年経ったそうです。
とはいえ、まだまだ低品質な話なのは申し訳ねぇですが、何卒ヨルシクです。




