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魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜  作者: nashlica
file3:【魔女と信仰を歪めし枢機卿】 2022年 7月
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第1節 歪められる信仰②

前回のあらすじ

道警の安達の依頼で、現場検証に立ち会ったアルトナは、腐敗臭の激しい小屋につく。

ドアを開け、そこで見たものは、酷く腐敗した死体の山だった。

その帰り際、アルトナは安達から死体の一部をもらい、自分の工房にて魔術の痕跡を調べるのだった。

PM 4:20 探偵事務所 如月


 安達さんと共に、腐乱した遺体の山を処理し終え、事務所に戻る。戻ってすぐに、明日香に預けていた腐乱した遺体の一部を持ち、工房に行く。

 工房に入ると、すぐさま遺体を置き、解剖を行う。腕一本のみであるが、それだけでも何か良いものがとれるかは不安でしかない。

 早速、私はこの遺体の一部を解剖することとした。


「ダメだ。何をしようとも、魔術の痕跡すらない」


 数時間遺体の一部を解剖していたが、何一つ魔術の痕跡が見当たらなかった。肝心の右肩の刻印でさえ、魔術の痕ではなく、一種のタトゥーだった。

 だがしかし、気になるものが一つ見つかった。

 そう、血液を採取したところ、薬物の反応があったからだ。聖教会はそんな現代的な方法を取るのが頑なに嫌がるはずだ。


「あら、お取り込み中かしら?」


 何もないところに亜空間ができ、聞き慣れた声が聞こえてくる。


「『仮面の魔女(ジャンヌ)』か。何の用?」


「あなたに伝えたいことがあってね。どうやら、もう動いているなんてね」


仮面の魔女(ジャンヌ)』』が、亜空間を通じて現れた。どうやら、私に用があるらしい。


「時期に、大きな争いが起きるわ。それも、大勢な犠牲が出るほどにね」


「どういうことだ?」


「恐らくは、誰かの暗躍によるものと思われるわ。けど、黒幕が誰かはわからない」


「黒幕がわからない? それは一体?」


「えぇ。そいつが何者で、一体誰なのかですらわかってないのよ」


「それが魔術院や、聖教会の誰かですらわからないってわけか」


「そうね。今の所は、だけど」


仮面の魔女(ジャンヌ)』が何か不可思議な事を言う。どうやら、これから起きる事について、『仮面の魔女(ジャンヌ)』ですら分からないことがあるそうだ。

 そして、『仮面の魔女(ジャンヌ)』が言ったことに、何か頭の中に流れる。


『時期、大きな争いが起きるだろう』


 奴が言っていたあの言葉が、頭に響く。その意味を知るために、この2ヶ月悩みに悩んでしまった。

 それが『仮面の魔女(ジャンヌ)』が言ってることと一緒なら、早いうちに止めないといけない。私は、戦争なんて望んでいないからだ。


「それよりも、あなたにとって大事なことがあるわ」


「今度は何?」


「もうすぐ、新月が来るわ。その時にまた来るわ」


 そう言い残し、『仮面の魔女』は亜空間に入って行った。溜息をしつつ、煙草を吸う。しばらく一服をしていると、スマホから電話がかかってくる。


「もしもし」


『もしもし。キサラギさんですか? 安達です。今大丈夫ですか?』


 電話の相手は、安達さんだった。どうやら、もう午前の死体の結果が出たらしい。


「はい、大丈夫です。それで、結果は?」


『どの遺体も、死因は薬物の過剰摂取によるものだったそうです。それも、今世界中で起きてるものと同様のものとのことです』


「それが、連続大量変死の死因。しかも、誰がさせてるのかも不明ということですか?」


『残念ながら。しかし、全てに共通することがありまして、それが何とも言えない不気味な感じがしましてね』


「不気味な感じ? それは一体」


『どれも、右肩にタトゥーが彫られているのです。それも、専門の者でさえわからないデザインだそうです』


 安達さんは、残念そうに言う。それもそうだ。聖教会に刻印だからだ。


『では、また何かあれば連絡しますね』


「はい。ではまたお願いします」


 そういい、電話を切る。そして、遺体の一部を燃やし廃棄した。

 工房の片付けをしてると、ラスティアが工房に来る。


「姉さん。お客様が待っているよ」


「わかった。すぐ行く」


 ラスティアに案内される形で事務所に向かう。

 かくして、特にこれといったものが収集出来ず、私は遺体の解剖を終わらせたのだった。

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