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魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜  作者: nashlica
file2:【魔女と陰湿なる教室】 2022年 5月
28/127

幕間1【草薙美羽視点】

今回は美羽の話になります。

PM 0:25 新千歳空港


 前日にロンドンから、新千歳空港に到着し近隣のホテルで一泊をする。

 昔から時差の変動に弱く、到着早々具合を悪くしたからだ。一睡をしたらかろうじて回復したので、JRで札幌に向かう。

 何せ数年ぶりの故郷なので、若干心が踊ってる。それに、私にとっての恩人に会えるのが楽しみである。

 JRで一時間程で、札幌駅に着く。到着すると、駅のホームをガラリと変わっていた。

 どうやら、新幹線のホームを作るための工事をしているみたいだ。

 改札を出て、そのまま地下鉄のホームに向かう。ここからあの人の店までは、結構距離があるのであえて地下鉄に乗った方が、まだ楽である。

 最寄りの駅に着き、少し歩くとあの人の事務所の到着した。


「残念ね。キサラギさん、留守みたいだわ」


 事務所まで着くと、『close』の看板が見える。どうやら、キサラギさんは今はいないようだ。

 ホテルのチェックインまで時間がかなりあるので、どこかで時間を潰すか考えなきゃいけない。

 そう考えてると、ドアが開いた。


「あら? 美羽ちゃん、久しぶりだね」


「ラスティアさん、お久しぶりです。キサラギさんは今留守なんですか?」


「依頼があって、今出ていってるの。それより、お茶にしない? ロンドンから来て疲れてるでしょ?」


 ラスティアさんが、出向いてくれた。どうやら、今は1人らしい。

 私は、ラスティアさんに言われるがまま、キサラギさんの事務所に入った。

 ラスティアさんは紅茶とケーキを用意し、私は荷物を置きソファーに座る。


「ごめんね。今用意できたのがこれだけで」


「いえ、構いませんよ。それに、ここは変わりませんね。久々に着いたら、色々と変わっていて驚きましたよ」


「ここ近年、都市再開発が盛んになってるの。来年には諸々オープンするみたい」


 ラスティアさんと、何気ない会話をする。気がつけば、結構の時間が経っていたので本題に移る。


「そういえば、キサラギさんはどちらに?」


「学校に方に行ってるわ。何やら、不可解ないじめの調査を依頼されてね」


「いじめ? それって、教員がやることじゃないんですか?」


「それはそうだけど、教員でも手がつけられないんだって。私、姉さんが何かしないか不安で仕方がないの」


 キサラギさんは、学校の方に行っているらしい。私たち魔術師に関係がないものを引き受けるのが、なんともあの人らしく感じる。まぁ、激情すると手に負えないのが何癖なんだが。


「聞いてる話だと、そのいじめをしてるグループが魔術を使ってるんじゃないかって疑いがあるみたい。

 それを確かめるために、わざわざ出向いてる感じ」


 ラスティアさんの言葉に、ある疑念が出てくる。もしかすると、その絡みで私が追ってる魔術師と接触できる可能性があるからだ。


「美羽ちゃんは、どうしてここに?」


「あぁ、えっと。執行者の代わりで来ただけなんです。セシリアさんがアフガンに行ってる以上、その代わりがいないので、リリィに行かされた感じです」


「リリィちゃんらしいね。あ、そろそろ姉さんが帰ってくる時間かも」


「なら、私はもう行きますね。ホテルにチェックインの時間もあるし」


「それなら仕方ないね。それじゃね、美羽ちゃん。また来てね」


 ラスティアさんが見送り、私は事務所を去る。


「状況は?」


『やっぱり魔術を使っているねぇ〜。中を入ると、変な空気を感じるかな?』


『誰かの入れ知恵による物でしょう。それも、我らが追っている人物によるものかと』


 念話(テレパシー)を通して、『妹達(シスターズ)』の報告を聞く。彼女達には先に潜伏させ、調査に向かわせていたのだ。


『それと、エイル姉様が奴の尻尾を掴んだそうです。すぐに向かわれますか?』


「いや、しばらくは泳がせましょう。スルーズ、ヒルド。あなた達はあの人のバックアップを続けなさい。

 それも、気づかれないようにね」


『は〜い。それじゃ、戻るね』


『承知いたしました。では失礼します、お姉様』


 そう言って、2人は念話(テレパシー)を切る。

 かくして、私は今日泊まるホテルへと向かうのだった。

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