エピローグ
永らく空いてしまったけど、この話もようやく完結になります。
PM 2:00 如月邸
ホテルのチェックアウトを済ませ、お見上げを買い札幌へと帰る。タクシーに乗り換え、邸に着くとイロハとセシリアが出迎えてくれた。
「皆様、お帰りなさいませ。無事に終わらせたんですね?」
「ただいま。セリシアはどこだい?」
「アルトナさんが帰って来たら、いつもの橋に待っているそうですよ」
イロハに言わるがまま、小樽で仕入れたお土産を手に、いつも私が行く橋に向かう。橋に向かうと、セシリアが一服しながら座っていた。
「あら、帰ってきたのね。もうしばらく遅くなるかと思ったわ」
「今帰ってきたよ。それに君がここにいるなんて、珍しいね」
私はセシリアの横に座り、彼女と同じく一服を始める。私がタバコに火をつけようとすると、セシリアは自身のライターで私のタバコに火をつける。
「聞いたわ。大変だったらしいわね」
「あぁ、いつになく厄介な事件だったよ」
「その感じじゃ、旅行という感じではなさそうね。相当やばいのと出くわした感じね」
「そうだね。『龍脈』かと思っていたものが、まさか『幻獣』だったとはね。予想外の連続だったよ」
セシリアは笑いながら、タバコの煙を吐く。先に吸い終えたようで、続けてもう一本吸い始める。
私もタバコの煙を吐きながら、彼女にお土産を渡す。
「はい、これ」
「何かしら?」
「小樽で買った土産物だ。留守を預かっていた礼だよ」
「あら、気が利くじゃない」
セシリアは紙袋を開け、中身を見せる。すると彼女は驚いた顔を見せる。
「小樽ビールっていうのかしら? いい酒じゃない」
「小樽のクラフトビールさ。ビール好きだろう?」
「そうね。この国のビールはどれも美味いけど、これはいいわね」
セシリアへの土産はこれだ。小樽で飲んだ酒の中で一番美味であった小樽ビールを、彼女の土産にした。それも贅沢に飲み比べセットだ。ビールが好物であるセシリアにはうってつけの品だろう。
「ありがたくいただくわ。それと、議長からあなたにって」
セシリアから紙が入った封筒を受け取る。そして、すぐに封を開けて中身を見る。
「確かに、受け取った。中々いい額じゃないか」
「報酬は弾ませておいたわ。それじゃ、あなたの嫌いな不平等って奴だしね」
セシリアはタバコを吸いながら、私の土産品を眺める。すると、私の電話にラスティアから電話が着信されていた。
「そろそろ、行こうか」
「そうね、無駄に長い話をしたわね」
「まぁね。ちょうど自分用にも買ってあるから、それで一杯やろうよ」
「いいわね。なら、たっぷり聞かせて頂戴。いい酒のアテになる話をっね」
私とセシリアは邸へと戻る。こうして、私たちは夜深くまで酒を飲みながら、小樽であったことを話したのだった。
――――――――魔女と運河に潜む龍脈 完
これにて【魔女と運河に潜む龍脈】は完結となります。次回は未定になりますけど、今まで投稿している話を修正しつつ考えようかなって思います。
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