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魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜  作者: nashlica
file.6【魔女と運河に潜む龍脈】2023年 10月
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第4節 運河に潜む龍脈②

PM 4:00 小樽市内のホテル


 ショッピングから戻り、『龍脈』を封印する夜まで待つ。ラスティアと明日香は食事をしに行っているので、今はホテルには私が一人でいる状態だ。

 その間に、私は持ってきた魔術書を読み漁っている。その中に、人の住む街に『幻獣』が棲みつく事があるかについて調べているが、どうやらの実例はないらしい。厄介のことに、相手は『神獣』に匹敵するほどの『幻獣』で、それを元に場所に帰すにはそれ相応の魔力が必要となる。


「やはりダメか。ラスティアに『魔女』にならないでいい方法がない」


『龍脈』を封じる為には、私以外の『魔女』三人分の魔力が必要になる。だが、私としてはラスティアの中にある『魔女』の力を行使せずに行いたい。だが、彼女の残された時間を考えると、これしか手はないのだ。

 そう考えていると、二人が食事から帰ってきたみたいだ。


「ただいま。ずっと本読んでいたの?」

「おかえり。あぁ、例の『龍脈』を調べていたよ」

「へぇ〜。それで、何かわかったの?」

「いや、特に何も。となると実物を見ないといけないみたいだ」


 ラスティアと明日香は、私が読み終えた魔術書を見る。それを見ながら時刻を確認している。


「もうそろそろ時間だね」

「あぁ、そうだね」


 ラスティアは、私の顔を見て何か考えてることを察する。


「姉さん、何か考えているの?」

「いや、別に大した事じゃないよ。ただ、それからどうするか考えているだけ」


 私が今夜のことに言うと、彼女は私の顔を見て話す。


「『魔女』の力が必要なんでしょ?」

「どうしてそれを?」

「明日香さんから聞いたの。運河の『龍脈』はエネルギーの塊じゃなくて『幻獣』だって。それもかなり強力な『幻獣』で、姉さん以外に三人の『魔女』が必要になるって」


 ラスティアの言葉に、私は沈黙をする。どうやら私は彼女が『魔女』になることが怖いらしい。それもあって、私は彼女を前線に立たせるのを躊躇しているようだ。そう思っていると、ラスティアが上着を脱ぎ、私に背中を見せる。


「ラスティア?」

「見て、姉さん。首に蛇のような烙印があるでしょ? それが私を蝕もうとしているのを、『九尾の呪い』が阻害しているの。今は顔以外に呪いの刻印が浮き出ていて、私から呪いを守っているの」

「まさか、君はもう知っていて」

「ううん。明日香さんに言われるは気が付かなかったの。でも、ショッピングしていたら体に異変が起きていて、体が辛いの。これを解くには、『九尾の魔女』に憑依されるしかない。それは姉さんが一番理解しているでしょ?」


 ラスティアの目はどこか覚悟を決めていた目をしていた。彼女は自身の体に起きている異変に気づき、これを収める方法は自身の魔具にいる『魔女』を解放するしかない。その目を見てしまうと、さすがの私でも根負けしてしまったようだ。


「わかったよ。それじゃ、君の力を貸してほしい」

「うん。姉さんのためなら私、『魔女』になる」


 ラスティアは、決意を固めると戦う準備をする。私はその間に部屋を出て、路上で一服を始める。ポケットからタバコを出し、タバコを咥えて火をつける。一服をしていると、フロントから明日香が現れた。


「どうして、ラスティアに言ったの?」

「何って、君が頑なにラスティアを戦わせないようにしていたんでしょうよ。どうせ、待っている間にあれから聞いていたんでしょう? 私は先に知らされてたんだけどね」

「リリムめ、先に知っていたのか。それで、君も行くのか?」

「当然さ。私も片足突っ込んでいるだ。最後の最後にのけものなんて真っ平ごめんさ」


 タバコを吸いながら、明日香の話を聞く。彼女もあの運河の結末を見届けるようだ。それを見た私は、彼女の意思も確認し動向を許す。


「わかった。なら、一緒に行こう。三人で」


 私はタバコを吸い終えるともう一本タバコを吸う。ライターを出そうとするが、明日香が指先に火を出し、私はそれをタバコの先につけ火をつけた。


「こうしているにも、いつぶりかな?」

「どうかな? 久々なのか、つい最近もしたのかもわからんよ」


 私はタバコを吸いながら、気を沈める。明日香をそれをただ見ているだけだった。

 そして、時効は午後9時になり運河に向かう。運河にはまだ人がいたので、人通りが落ち着くのを待つ。その周囲には、やはり魔術師達が待機していた。どうやら、まだ例の噂話は途絶えていないらしい。これ以上の被害を出さない為にも、奴らを追い払う必要があるようだ。


「姉さん。頼まれたもの用意したよ」

「ありがとう。ポリタンクにこの量の灯油が入っていれば、充分触媒になるな」

「この辺からガソリンスタンドが近かったのが幸いだったね。これなら、あれを呼ぶには充分な量だよ」


 ラスティアは、ガソリンスタンドから灯油が満タンに入ったポリタンクを持ってきた。奴を呼ぶには、建物を一つ燃やし尽くすほどの炎か大量の血が必要となる。輸血パックを持ってきていない今の状況なら、代替え品としては充分だ。

 

「お出ましのようだね」

「あぁ、来て早々悪いが、おかえり願おう」


 夜も深まり、魔術師達が運河に集結する。運河に潜むし『龍脈』を封印するには、まずは魔術師達を追い払う必要がある。かくして、私たちは儀式の準備を始めるため、運河に集結した魔術師を追い払うのだった。

 

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