第3節 魔術師連続変死事件⑥
PM 11:00 小樽運河
噂話を流していた元凶たる魔術師を捕まえ、これより運河に潜む物の解析を行う。ラスティアが持っていた鞄から、『グリモワル真書』を取り出し、解析の術式を唱える。
マリアにも立ち会ってもらい、件の魔術師を監視させてもらっている。彼がどこまで知っているか白状してもらう為だ。
「『鑑識開始 魔力源感知 魔素濃度 濃厚 色素鑑定 適正色不明』」
運河に潜む物について、鑑識を行う。すると、膨大な魔力量と、かなり濃いめの魔素を感知する。
どうやら、これは私が思っていたほどに強い物のようだ。魔術師達が喉から手が出るほどに欲しいのも頷ける。彼らが殺し合いをするのも納得がいく。私もリリィに敵対していたら、彼らと共に殺し合いをしていただろう。
「姉さん、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。でも、思った以上に強い魔力だ。これでは、また殺し合いに発展するだろう」
「しかし、これでは魔素の回収には時間を要しますね。一刻でも早く行わないといけないのですが、本土より人員を招集するにも時間と人員がかかりますね」
「明日にでも行いたいところだが、この街に来る魔術師は欲深い奴らしか来ない以上、私達でやらないといけないようだ」
私の問いに、マリアは困った顔をする。旅団には、私の存在を知られるにはまずい。誰かがうっかり私のことを言うと、元老院に知らされる可能性があるからだ。それを見ていた魔術師は、私達に向けて何かを話す。
「無駄だ。そこに眠る魔力源は、特別な魔力源だ……。さっきも言っただろう? そこの魔力源は『龍脈』と呼べれた魔力源だ……。それを手にした奴は、あの子供を凌駕するほどの魔力を手に入れられるんだよ……。お前達は、それを邪魔しているだけさ」
「どう言うことですか?」
「言ったままの意味さ……。俺を捕まえたところで……、魔術師の殺し合いは終わらねぇ……。『龍脈』を手中に収めるまでは、諦めんさ」
「それも厄介だな。お前を殺した事で、終わる訳じゃない。今回はお前を殺さないでおくが、こいつは回収させてもらう。無駄な犠牲をこれ以上増やさない為にもな」
「いいぜ……。俺は、ロンドンの牢屋で高みの見物をさせてもらうぜ……。せいぜい、それを回収してみるんだな……」
魔術師は、私を嘲笑うかのように話す。マリアはそれを見て呆れながらも、彼を見ながら話を聞いている。
「はぁ……。どうも、命知らずの魔術師ですね。では、私は彼を連れて行きますので、何かあればご連絡を」
「はいはい。こっちでやっておくよ」
そう言い、マリアは魔術師を連行するためにこの場を去る。私は、もう一度『グリモワル真書』を使用して鑑定を再開する。何事もなく、順調に鑑定を進める。全ての鑑定が終えて、結果を言おうとした。
「――――――――――!!」
視界が揺らぐ感覚がする。ラスティアの血を吸ってから結構な時間が経ち、効力が消えていったみたいだ。
いや、違う。これはまさか――――。
「なんだこれは……。『龍脈』が、私の魔力に干渉している!?」
「姉さん!?」
「大丈夫だ……。ただ、疲れただけ……」
ラスティアは、倒れかける私を抱き抱える。私は、意識が遠のいて行く中で、運河から謎の声が頭に中に聞こえてくるのを感じる。
『―――――――がよい。――――――に罰よ』
意識が薄れて行く影響か、頭の中に聞こえてくる声を聞き取れない。その中で、ラスティアとマリアの方を向く。どうやら、彼女達にはあれが聞こえてきていないらしい。
私はそれを伝えようとしたが、限界が来てしまい、そのまま意識を失う。視界が薄れ、音が遠くなってくる中で、ラスティアが私を呼ぶ声が聞こえくる。
こうして、限界が来た私は、そのまま眠りにつくのだった。
数時間後。
目が覚めると、そこはホテルに一室だった。あれから数時間が経過したらしい。ラスティアの方を向くと、彼女はもう寝ているみたいだ。
どうやら、彼女も疲れていたらしく、私の様子を見ているうちに寝たみたいだ。
「ようやく起きたんだね。君にしては、随分とぐっすりだったよ」
「明日香か? あれからどれぐらい経った?」
「4時間程度かな? ちなみに、ラスティアは1時間前には寝ていたよ」
私が寝ていたベットの横に、明日香が座っていた。どうやら、明日香はラスティアに変わって私のことを見ていたらしい。
「一体どこへ行っていた?」
「リリムのところさ。相変わらず、人使いの荒い奴だよ」
「それで、なんと?」
「君に『気をつけろ』と。とういうか、もう何か知っているんでしょ?」
「あぁ。でも、まだ確証がないんだ。あれが本当に『龍脈』と言われる物なのか、はたまた別の何かが」
「まぁ、そこまで行っているのなら、別にいいさ。だけど、事を急ぐべきだ。そうでもしないと、嫌な予感がしてね」
明日香の意味深な発言に、私は首を傾げる。
「まぁ、今は君が無事だったことに安心したよ、それじゃ、私は寝るね」
そう言い、明日香はベッドに潜り眠りについた。ますます状況が混雑している。結局、あの運河に潜む物の正体はなんなのか?
今日の晩こそは、『龍脈』に干渉して見てみるしかない。そう思い、私は再び寝るのだった。
翌朝。
朝の日差しを浴び、体を伸ばす。普段は眠れない体質だが、昨日の疲れが蓄積されていたのか、よく寝れたらしい。ラスティアと明日香は、もう食堂に向かっているみたいだ。
2人が座っている場所に着くと、ラスティアがコーヒーを用意したらしく、私はそれをいただく。今日は築港の方にあるデパートに行くらしい。そして、あの運河に潜む『龍脈』を採取して終わりだ。
そう思い、コーヒーを飲みながらニュースを見る。昨日私が殺した3人の魔術師は、旅団側で処理しているので問題ないだろう。
『今朝未明、札幌近郊のホテルと、小樽近郊のホテルで、相次いで死亡する事件が発生しました。警察によると、今朝未明、札幌市内のホテルで人が死んでいるとの通報が相次いで発生しました。死亡したのは男女合わせて5名となります。そして、小樽市内でも同様の出来事が起き、現場は騒然としていました。小樽市内での死者は6名。いずれも男性とのことです。警察は、小樽で起きている連続惨殺事件との関連と、この二つの事件それぞれの関連について調べる方針です』
「――――――なんだって!?」
私は、ニュースを見て騒然とする。まさかと思うが、昨日殺し合った魔術師達が全員死んでしまったようだ。おかしいっと思いながら、昨日の微かに聞こえてきた言葉を思い出す。
しかし、辻褄が合わない。いや、違う。合わなすぎるのだ。昨日あの『龍脈』に触れていない魔術師が、なぜ死んだのか?
そう思いながら、電話の着信音が聞こえ、応答する。
「もしもし」
『アルトアさんですか。よかった、電話に出てくれて。ごめんなさい。朝早く』
「問題ない。それで、要件は?」
『昨晩、護送した例の魔術師についての件です。今朝、旅団の者が食事の配給に向かったところ、死亡していた事を確認したそうです』
「それは本当か?」
『えぇ、少数ではありますが、今朝から旅団内でも、体調不良を訴えるものが出てきました。今はそっちの対応で手一杯なのです』
「どうしてだ? あれはただの『魔素』の塊だろう? 何故、旅団の連中まで」
『恐らく、『龍脈』の影響が考えられます。ですが、それにしては不自然です。まるで、『呪い』のような何かと思われます』
マリアの言葉に、冷やせをかく。これは相当な厄ネタみたいだ。ふとラスティアの首を見る。それを見て、私は驚愕する。なんと、蛇のようなタトゥーが首元に刻まれてたようだ。
一体何がどうなっている? 事態はより一層進行になって行く。
「……すまない。また何火あったら教えてくれ」
『わかりました。こちらも調べがついたら、ご連絡したします』
そう言い、マリアは通話を切る。それでも私は、事態が混同していることに焦り出す。
こうして、私が疑念が一杯な状態で、食事を終えたのだった。
事態はどんどんと混沌となって行きます。
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