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魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜  作者: nashlica
file.6【魔女と運河に潜む龍脈】2023年 10月
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第2節 小樽へ⑥

いよいよ複雑になって来ます

PM 4:30 小樽市内


 それからというもの、私達は小樽市内を観光していた。まずは、この通りで大きな硝子の工房に行き硝子細工の物を見て回った。

 どれも、かつての祖国であるイギリスでは見なかった物であり、私たちは感動していた。

 それから、小樽では有名なかまぼこの店にも行った。ラスティアと明日香曰く、出来立てのかまぼこはとても美味しいらしい。

 そんなこんなで、気が付けば時刻は夕方になっていたようだ。


「そろそろ、夕飯にしようか」


「そうだね。今日はどこにする?」


 ラスティアはスマホを使い、マップでレストランを調べている。すると、ラスティアはビールの醸造所を見つける。どうやら、レストランも併設しているらしい。

 私たちは、ラスティアのガイドと共に向かう。しばらくして、目指していたレストランに着いたようだ。レストランというよりは、ハブに近いだろう。


「…………」


 入る前に、私は後ろを見る。あのカフェを出た時から付けられているらしい。あの魔術師と接触していることも把握している可能性を考えられるだろう。

 面倒な連中だ。ゆっくりと観光させる気もないらしい。だが、私としても黙っている訳にもいかない。彼らの魔力を傍受しているので、彼らの動向を把握している。

 襲える隙があるにも関わらず、私を襲わないのは、周りの被害を考慮しているのか、はたまた私の魔力を見て襲ってこないかの2択だろう。

 ともあれ、私たちはレストランに入る。席は予約していないので、店員の案内で空いている席に着く。メニュー表を見ると、ドイツの料理が多くラインナップされているみたいだ。

 どちらかというと、イギリスよりはドイツに近いらしい。今度、また旅行に行く時はセシリアを呼ぶことにしよう。


「ビールの種類が豊富だね。姉さん、何にする?」


「そうだな。この黒いビールにしようかな? 後、プレッツェルも頼む」


「珍しいね。昨日はワインだけだったのに」

 

「今日くらいはね。ビールのつまみ程度だけど」


「それに、すごいねここ。セシリアが来たらすごい飲みそう」


「まぁ、彼女には何か買うことにしようか。せっかく留守を預かっている訳だしね」


 私達は、メニューを選び、そして料理を待つ。こうしている間にも、魔術師が続々と運河に来ているのも感じる。彼らがなぜ集まるのかはまだわからない。それもいつかは調べる必要があるが、今は食事に集中する。

 相変わらずの明日香の食力にはドン引きをしてしまったが、なんだかんだで時間が過ぎていった。

 食事を終わらせ、私達は醸造場を後にする。ホテルに戻ろうとする道中で、私達はある集団を見る。


「あれって?」


「魔術師だね。何でここに?」


「おそらくは、あの噂話に釣られて来たんだろう。そうでなければいいが」


 私達は、運河にいる魔術師達を遠くから見る。すると、私達を見た瞬間、彼らは何処かへと逃げていった。私達は追うが、彼らの魔力を感じる事ができなくなった。


「魔術師達は?」


「ダメだ。魔力を感じられなくなったようだ」


「じゃ、昨日みたいな殺され方を?」


「いや、何ともは言えない。とにかく、調べてみよう」


 私達は、彼らの魔力が消滅した場所へと向かう。しばらく調べているが、彼らの死体すら発見する事ができなかった。

 どうやら、ここでは死んでいなく、私の探知の範囲外まで逃げていったようだ。

 今度こそ掴めると思っていたが、勘づかれてしまい、うまく撒かれたらしい。私達は、これ以上は無駄だと思い、ホテルに帰ることにした。


 それからと言うと、私達は大浴場に入り、私は部屋に戻りタブレットとノートを用意する。

 タブレットを見ながら、これまでの経緯を調べる。彼らは昼間はお互いを監視し合うながら夜まで待ち、夜になると、運河に集まっては運河に潜む何かを巡って、殺し合い(デスゲーム)を繰り広げているらしい。

 その結果、凄惨な死体が運河の付近に転がり、魔術院の隠蔽が間に合っていない状態だ。


「……何かがおかしい」


 しかし、私はこれに何かの矛盾があると見る。どうもこれには引っかかる事が多い。

 まず第一に、なぜ彼らは運河に集うのか? はたまた、なぜ夜なのか?

 昼間のように、私達を殺せる機会はあったはずだ。だが、それを()()()()()

 いや、違うか。しなかったんじゃなく、()()()()()()のか。

 いずれにしよ、彼らがあの運河で何をしようとしているのか調べる必要がある。私は、いつもの服装に着替え、部屋を後にする。


「どこに行くの?」


「煙草を吸いに行くだけだよ。別に遠くまでは行かないよ」


「それもそっか。じゃ、私達はもう寝るね」


 ラスティアはそういい、私はホテルを後にする。そして、深夜の小樽運河に足を運び、運河を眺める。


「おや? これはこれは、主様ではございませんか?」


「――――『優越の魔女』か。お前も来ていたんだ」


「えぇ、この運河に潜む物を探しに」


 どこからか『仮面の魔女(ジャンヌ)』ではない『魔女』、『優越の魔女』が現れる。彼女もまた、噂話に釣られたのか、ここに来ていたようだ。


「『仮面の魔女(ジャンヌ)』はどうした?」


「彼女は今は来れないのです。彼女も多忙な身の上、お許しを」


「多忙? いつも暇そうにしている彼女が?」


「えぇ、つきましては、私の方でご報告致します。彼女からの報告だと、あなた様が追っていた魔術師の集団につきましては、先程、何者かに殺されたそうです」


「また殺し合いか?」


「いえ、それが、外的損傷はなかったのだと。恐らくは『魔素中毒(マナちゅうどく)』思われます」


「何だって?」


『優越の魔女』の話によると、あの集団は今日の殺し合いに生き残ったらしい。その恩恵なのか否か、膨大な『魔素(マナ)』得たらしいが、その後に『魔素中毒(マナちゅうどく)』で死んだそうだ。


「どう言うことだ?」


「それついては、『仮面の魔女(ジャンヌ)』が調べております。今しばらくお待ち願いますことを」


「わかった。んで? 話はそれだけか?」


「えぇ、私はこれにて、また何かあればご報告致しますが、それは『仮面の魔女(ジャンヌ)』がするでしょう」


「あぁ、何かあったら頼むよ。『優越の魔女マリー・アントワネット』」


「その名をあなた様の口から言えるとは、恐縮でございます。では、またお会いしましょう、主様」


 そう言い、彼女は亜空間に入っていった。ようやく落ち着かせた私は、煙草を吸う。

 本来は、ここは禁煙のようだが、深夜だしいいだろう。

 こうして、私は深夜の運河を見ながら、一服をするのであった。

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