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【86話】雷◾️鷹のこと



◾️◾️サンダー視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



【サンダー】

「なんで、鷹はルナを待ってたんだ?」


【氷歌】

「・・・なんで、あんたに教えなきゃいけないのよ?」


本当に拒絶するように睨み付けてくる


【サンダー】

「さっきも言った様に、俺はファイヤーから竜輝の事を聞いた、なら、お前からも鷹の事を聞かないと不公平だろ?」


【氷歌】

「・・・ふ~ん、あの子は関係なく、アンタは竜輝に傾いてるって事ね」


・・・まぁ、間違いではないな


【氷歌】

「・・・いいわ、教えてあげる」


諦めたように俺に向き直り


【氷歌】

「その代わり、あの子には鷹様の事も竜輝の事も絶対に言わないと、約束しなさい」


真っ直ぐに真剣な目で威圧する様に言った


・・・これは本当に鷹の為なのだろうか?

なんとなく、コイツ自身がそうしてほしいのではないかと感じた


【サンダー】

「・・・分かったよ」


ルナもいつかは知る事になるかも知れないが

それはきっと、本人の口からだろう


俺の返事を聞き氷歌は少し考えてゆっくりと話し始めた


【氷歌】

「・・・鷹様は・・・光都市の中でも屈指・・・名家の跡取りなのよ」


【サンダー】

「・・・・マジで?」


まぁ、コイツの鷹への喋り方を見てたら、そんな気はしたけどな


【氷歌】

「だから・・・小さな時から、毎日毎日、必死に頑張っていらっしゃるわ・・・」


【サンダー】

「あ~?そういや、ルナが昔の鷹は泣き虫だったとか言ってたが、変わったのはそういう事情か?名家なら躾にも厳しいだろうしな」


【氷歌】

「・・・そんな簡単な事じゃないのよ」


うつむきながら辛そうに答えた


【氷歌】

「アンタが考えてる様な、甘い世界じゃないのよ・・・あの方が居る所は」


・・・俺には想像も出来ない世界は多いんだなぁ


【氷歌】

「・・・立派な・・・誰からも認めて貰える様な・・・偉大な人間に成る為に・・・鷹様は・・・必死なのよ」


それがどんなに大変かは俺には分からないが

コイツの表情を見ていると


・・・それはとても辛い光景なのだろう思った


【サンダー】

「・・・良く分かんねぇけど・・・それとルナとなんの関係があるんだ?」


【氷歌】

「・・・あの子が居た頃は・・・今とは状況が違ったのよ」


背ける様に目をつぶり、ゆっくり語りだす


【氷歌】

「・・・数十年前にルルーカで大きな事件があったの、知ってる?」


【サンダー】

「・・・都市の半分が滅亡したやつだろ?」


【氷歌】

「そう・・・馬鹿な奴らの起した戦争、それがルルーカに住む全ての人の人生を狂わせた、もちろん、鷹様の人生も」


【サンダー】

「・・・なにがあったんだ?」


【氷歌】

「・・・鷹様のお兄様が・・・亡くなってしまったの」


・・・ルルーカに住んでいたなら、助かった方が運が良かったと言うべきだろうな


・・・確かルナの両親もその事件で亡くなったと言ってたしな


【氷歌】

「・・・ここまで言えば分かると思うけど・・・本当の跡取りはそのお兄様だったの」


なるほどね

・・・小さい頃は甘えん坊の弟だったって訳か


【氷歌】

「お兄様が亡くなって、ご両親はとても悲しまれた・・・きっとお兄様を知っていた全ての人が心から嘆いたと思うわ、それほど跡取りとして、申し分ない方だったのよ」


【サンダー】

「そんな、兄貴みたいになりたくて、頑張ってるって事か?」


【氷歌】

「なりたいんじゃない!ならなきゃいけないの!」


強い口調で叫び、俺を睨みつけてくる


【氷歌】

「いつもお兄様と比較される、それがどれだけ辛いか・・・」


まぁ・・・これも、そんな世界で生きた者にしか分からない世界なんだろう


【氷歌】

「でも・・・鷹様は自分は兄の優秀さを図る物差しじゃないと・・・弱音も吐かず・・・いつも強く居ようとされてる」


・・・鷹がいる場所は全て兄貴がいた場所なんだろうな


どこにいても比べられる

逃げる場所も無い世界なのかも知れないな


【氷歌】

「でも、それは・・・鷹様の自由を奪う事なのよ・・・朝、起きて寝るまで、全て決められた事を望まれるままこなしていく・・・完璧に」 


【サンダー】

「完璧に?」


【氷歌】

「信じられないでしょ?・・・でもね、本当に完璧にされるの、どんな事でも・・・完璧に」


実際どんな事をしているかは分からないが

・・・全て完璧なんて、ありえるのだろうか?


【サンダー】

「・・・そんな事、出来るのか?」


【氷歌】

「出来る訳ないでしょーが!?」


恐ろしい目で睨みつけられた

・・・お前が言ったんだろーが


【氷歌】

「でも、しなきゃいけないのよ・・・完璧じゃないといけないの・・・願いを叶える唯一の方法だから」


【サンダー】

「・・・願い?」


【氷歌】

「こんだけ自由がない世界よ?恋愛なんて出来ると思う?」


あ~・・・なるほど


【氷歌】

「・・・ルナと結婚する、それが鷹様の子供の頃からのたった一つの願い、絶対譲らないわがままなの」


【サンダー】

「なんでルナなんだよ?そんな名家なら、他に良い女が居るだろ?」


【氷歌】

「・・・居るわ・・・鷹様に群がる、メス豚がっ!うじゃうじゃとねぇ!」


おぞましい物を見たかの様に顔を歪めて怒鳴り声を上げた


・・・その光景は余程コイツの怒りに触れているのだろうな


【氷歌】

「でも、それは鷹様に対しての事じゃなく、跡取りって場所に群がってんのよ!」


【サンダー】

「なるほど・・・まぁ、そういう奴もいるだろうな」


【氷歌】

「跡取りが鷹様に代わった時から色々な女が言い寄ってきてたみたい、だから、鷹様は女が嫌いなのよ」


【サンダー】

「・・・じゃあ、男が好きなのか?」


・・・殺されたかと思うほど物凄い目で睨まれた


【氷歌】

「・・・言い変えるわ、ルナ以外の女が嫌いなの」


【サンダー】

「・・・お前は女だろ?」


【氷歌】

「鷹様の中で私は女じゃないみたいよ?何故かは分からないけど」


本当に分からないようで首をかしげている


・・・見た目の問題じゃないって事か?

・・・それなら激しく納得だ


【サンダー】

「じゃあ、何でルナは良いんだよ?」


【氷歌】

「自分が何も背負ってない時に自分の事を好きだって言ってくれたのが、ルナだけだったらしいわ、そして、自分が好きだって想える人も生まれてからルナだけだと」


・・・初恋って事だろうな

今の自分はどうあっても後継者と言う肩書きが先に立つんだろう


【サンダー】

「・・・あ~でも、ルナと結婚する、なんて許して貰えるのか?」


俺にはよく分からないが

・・・そういう世界では政略結婚ってのが、お決まりなんじゃないだろうか?


【氷歌】

「許して貰える訳無いでしょ!?」


これでもか!と言う程に釣り上がった目で睨んでくる・・・


【氷歌】

「ご両親が許しても周りがうるさいのよ!愚痴愚痴イヤになるわ!」


そして怒りに体を震わせている

・・・こいつの怒りだけは買いたくないと心から思う


【氷歌】

「だから、誰にも文句を言わせない為に、どんなに自由が無くなっても必死に完璧だけを求めてるのよ」


ルナと結婚する為に全て捨てて頑張ってるって事か


・・・ルナが鷹の事を可愛いっと言っていたのが

・・・今なら少し分る気がする


【サンダー】

「・・・そんだけの名家なら、なんでルナを探さなかったんだ?金ならあるだろ?」


【氷歌】

「探したわよ!でも、あの事件の中、どれだけの人間が死んだかも分からないのに見つかる訳ないじゃない!」


本当に辛そうに叫んだ

・・・鷹の為に土下座までしようとしたコイツだ、血眼になって探しただろうな


【サンダー】

「・・・死んでる、とは思わなかったのか?」


【氷歌】

「諦めた方が良いって言った事があったわ・・・頑張り過ぎてる、鷹様を見てるのが辛くて」


【サンダー】

「そしたら?」


【氷歌】

「怒られた・・・生まれて初めて、本気で死んだと思ったわ」


・・・鷹はキレたら、何をするか分からない奴みたいだな


【氷歌】

「子供の頃から、ずっとあの子だけを好きで愛してきた・・・そんな子にやっと会えたのに想いが伝わらなかったら・・・今まで頑張ってきた意味がないじゃない・・・」


【サンダー】

「・・・鷹が頑張った結果はちゃんとある訳だし、意味がない事はないんじゃないか?」


きっかけは、ルナの為だったかも知れない

が、鷹の努力はコイツを含めみんなにも伝わっているだろう


周りから認められるのも近い未来にあるのではないかと思った


【氷歌】

「・・・鷹様が頑張ってるのは、家の為じゃない、あの子の為、誰からも認めて貰える人間になってあの子を迎える為、それなのに・・・もし、あの子が手に入らないとしたらどうなると思う?」


本当に怯えた目をして体を両手で抱きしめている


【サンダー】

「・・・どうなるって?」


【氷歌】

「鷹様は・・・壊れてしまうかも知れない・・・私が一番怖いのは・・・それなのよ」


・・・鷹も竜輝と同じように

ルナと言う存在を支えにここまで頑張って来たって事だな


・・・確かにルナが知ったら選ぶ事なんて出来ないかも知れないな


・・・どうするんだろうな

・・・あいつ


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