表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/136

【6話】雷◾️サンダー




挿絵(By みてみん)



「ご馳走さん」


目の前のテーブルには野菜だけが残された皿が置かれている


・・・店で食う飯は久しぶりだったが、なかなか美味かったな


【白髪の女】

「・・・どういたしまして~」


女は恨めしそうに俺が食い残した野菜を見ている


「ところでお前、何処に行きたいんだ?」


【白髪の女】

「連れて行ってくれるの!?」


俺の言葉に目を輝かせ身を乗り出して来る


「これくらいの飯で俺を雇えると思うなよ?聞いただけだ」


羽がないならもうコイツに用はない

何だったのかは分からないが

コイツが知らないなら聞いても無駄だろう


【白髪の女】

「はぁ~・・・私、ルルーカに行きたいんです」


肩を落とし少し寂しそうに告げてきた


「・・・へ~」


聞いたのはいいが全く興味はなかった

ただ食ったばっかりで動くのはキツイから時間つぶし


・・・ならなかったけど


【白髪の女】

「あんなに強いんですから助けてくださいよ~私本当に困っています!」


しつこくまた頼んできた


「あ~うぜぇ・・・大体、俺が人助けする人間に見えるのか?」


馬鹿な女を睨みつけてやる

誰かの為に頑張る・・・俺が一番嫌いな事だ


【白髪の女】

「見えます!見えます!だってさっき私を助けてくれたじゃないですか!?拍手なんてされちゃって~!カッコよかったですよ~!」


「あんな魔力のない奴らに褒められてもイラつくだけだ、見て見ぬ振りされてお前だってイラついただろ?」


問題が解決したらぞろぞろ戻ってきて観客気取り

・・・調子のいいクズどもが


【白髪の女】

「ん~・・確かに・・・ちょっと辛かったな~・・・」


本当に辛そうにうつむいた


・・・まぁ、あれが人間の本質だな

・・・誰かの為に頑張るなんて優越感に浸りたい偽善者のする事だ


【白髪の女】

「ん~でも、私はあの人達の気持ちなんとなく分かる気がします」


そう言いながらパッと笑顔で顔を上げた


【白髪の女】

「アイツらがやっつけられたの見てスカぁ~ッとしたんじゃないかな?助けたかったけど魔力を持ってる人には敵わないから見て見ぬ振りをした、でも悔しかった、だからサンダーさんに「よくやってくれたぜ!兄ちゃん!」って感じで拍手したんじゃないかな~?」


演技をするように声色を変え誇らしげに語ってくる


「・・・おめでたい奴だな?よくそこまでプラス思考にできるもんだ」


自分への慰めか・・・哀れだな


【白髪の女】

「そうかな~?全員とは言わないけど何人かは絶対思ってたと思いますよ?」


自信満々にニコッと笑った


あ~・・・馬鹿がうつりそうだ

・・・あ?・・・さっきコイツ


【白髪の女】

「ところでサンダーさんはこの辺りの人?もしかして他の町に用があったりしないかな?」


期待を込めた目線で俺を見つめて来る

・・・ほんとにしつこい奴だ


「つーか・・サンダーさんって誰の事だ?」


予想はつくが一応確認してやる


【白髪の女】

「貴方の事ですよ~雷の魔法使ってましたよね?」


笑顔で予想通りの答えが返ってきた

雷だからサンダー・・・まんまだな


「二度とそんなダサい名前で呼ぶな」


この上なく不愉快だ


【白髪の女】

「でも、名前聞いても教えてくれないですよね?」


「当たり前だ」


馬鹿な女の馬鹿な問いに即答してやる

教える必要性を感じない


【白髪の女】

「じゃあ、やっぱり私の中で貴方はサンダーさんですね~!」


ニコッと笑顔でポンと手をたたいた

・・・駄目だ、こういう奴は相手にしないに限る


【サンダー】

「勝手にしろ」


そう言って席を立ち歩き出す


【白髪の女】

「え?もう行くんですか?」


慌てたような声が背中越しに聞こえた


【サンダー】

「用は済んだしな」


その声に振り向くことなく出口に向かう


【白髪の女】

「あっ!待って!私の名前はっ!」


【サンダー】

「興味ない」


女の必死そうな声を無視して店をでた


【サンダー】

「さて、どうするかな・・」


またする事がなくなった


・・・羽を見た時には何か面白い事が起こりそうな気がしたが

・・・見つけてみたら魔力を持たない馬鹿な女

・・・関わることが馬鹿らしく思えてきた


辺りを見回す

少し整えられた広場にベンチがいくつか広場を囲うように置かれていた


・・・公園のつもりなのだろうか?

まぁ寝れるなら関係ないな


ベンチに横になり空を見上げた

地べたや木の上じゃない所で寝るのは久しぶりだ


【サンダー】

「・・・ルルーカ」


あの女が言ってた街

この辺じゃ最大の光都市


皆が憧れる都会

あいつも大方そんな都会に憧れる田舎者の一人だろう


【サンダー】

「・・・俺も・・か」


日の光を避けるように目を閉じた


・・・生まれた時から当然のように決められた運命に誰も疑問も抱かずに動く


そうしないと手に入らない力


・・・馬鹿らしい

・・・そんな事までして力を手に入れてどうする


・・・・・・つまんねぇ、何もかも


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ