【54話】雷◾️焚き火とうさぎちゃん
◾️◾️サンダー視点◾️◾️
夜の森の中を照らす焚き火がパチパチと音を鳴らしている
「・・・・っ」
地べたに寝かせたルナが少し目を開けた
【サンダー】
「・・・馬鹿が、やっと起きたか?」
【ルナ】
「・・・んっ・・・これ、サンダーの上着・・・?かけてくれてたの?・・・ありがとう」
ぼーっとしながらルナがゆっくり起き上がる
・・・まだ、頭がはっきりしてないみたいだな
【サンダー】
「・・・とりあえず、服、着た方がいいんじゃなか?」
そう言いながら少し目線を反らした
【ルナ】
「・・・ん?・・・・っ!!」
俺の言葉でゆっくり自分の体へ目を向け顔が一気に赤くなった
ルナは多少は乾いてるが、まだ所々透けているワンピースを着ている
・・・下半身は俺の上着で隠れているが上半身は透けて丸見えだった
【ルナ】
「ぎゃっ!!」
奇声を発し慌てたように上着で胸元を隠した
【ルナ】
「どっどうしてっ!?こんなっ!?」
状況がつかめず困惑している様だ
【サンダー】
「お前、湖で頭打って倒れてたんだよ」
手短に説明してやる
・・・おそらく足を滑らせコケて岩に頭をぶつけたのだろう
俺が戻って来た時には湖に浮かんでいた
・・・その姿はあまりにこっけいで詳しく説明するのは気が引ける
【ルナ】
「そっ、そっか・・・サンダー助けてくれたんだ・・・ありがとう」
そう言って服を着だした
【サンダー】
「・・・・頭、痛くないか?」
【ルナ】
「ん~・・・痛い、なんか話し聞いたら急に痛くなってきた・・・」
・・・血は出てなかったから多分大丈夫だろう
しかし・・・コイツが危険な状態になったら何かが起こると思っていたが
・・・どうやら、そうじゃないらしい
やはり飛び降りると言う行動に意味があるのだろうか?
【ルナ】
「・・・え?」
声に反応してルナを見ると
いつもの服を着たルナが引きつった顔で固まっていた
【サンダー】
「・・・どうした?」
俺の問いには答えずに、ゆっくり手を動かし何かを指差した
その先には俺が作った焚き火
【サンダー】
「・・・焚き火がどうかしたのか?」
【ルナ】
「・・・違う・・・何焼いてるの?」
不信そうな表情で目を細めている
焚き火に改めて視線を向ける
そこには、とても美味しそうに焼かれた
・・・ウサギ
【サンダー】
「美味そうだろ?」
得意げにドヤ顔で言ってやる
【ルナ】
「・・・うさぎちゃん」
怯えたような何とも言えない顔で呟いた
【サンダー】
「お前の分もちゃんとある、安心しろ」
そう言って焼いて千切っておいたうさぎの足を渡した
【ルナ】
「・・・うさぎちゃん」
それを受け取り何とも言えない顔で呟いた
【ルナ】
「・・・命アリガト・・・命アリガト・・・いただきます」
おまじないのように呟き食べ始めた
・・・そんなルナの腕は前より細くなっているような気がした
・・・まぁ、ろくに食べるものがないから仕方ないけど
【ルナ】
「・・・美味しい〜」
複雑そうな笑顔で喜んでいる
【サンダー】
「・・・まだあるから食うなら言えよ」
【ルナ】
「ありがと〜サンダーもしっかり食べてね」
【サンダー】
「俺はもう3匹食った」
【ルナ】
「・・・うさぎちゃんありがとう」
空を見上げてルナが感謝を告げている
【サンダー】
「・・・・・・」
それに釣られて空を見上げると星がとても綺麗だった
・・・ルルーカは
・・・もうすぐだ