【4話】雷◾️目的の女
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森の中だと言うのに日差しが眩しい
太陽の位置から見て昼くらいだろう
昨日の夜から走って半日で目的地に到着した
が・・・目的の女は居なかった
・・・この辺りに落ちたのは間違いないはずだ
居ないという事は魔物の餌になったか
もしくは生きていて移動したってとこだろう
「・・・・・・餌の可能性が高いな」
足元に広がる大量の血シミ
これを見れば何かがあったのは間違いないだろうと予想できた
・・・餌になっていたら最悪だな
・・・この上なく無駄足だ
・・・仮に生きていたとして移動したとしたら
「・・・・・町か」
行って損はないはずだ情報くらいはつかめるだろう
確か、ここに来る途中に遠目に町が見えた
あそこがこの辺りで唯一の町だろうな
「あ~・・・腹減ったな」
・・・とにかくメシだな
血シミを避けるように町へと向かった
・
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「・・・・・・」
【ようこそ!クック村へ!
移住大歓迎!
ここはあなたの第二のふるさとです!】
しばらく歩くとデカデカと横断幕がかかっていた
「・・・田舎は必死だな・・・鬱陶しい」
とにかく食事をできる店を探すか
小さい村だ
見つけるのにそう時間はかからないだろう
「・・・・・・・・」
予想通り早く見つけることができた
というか横断幕をくぐってすぐ目に入る場所に
【いらっしゃい!
ここはクック村ただ一つにお食事どころ!
あなたの胃袋を愛情でみたします!】
とデカデカとした看板を掲げた店がある
・・・・できれば近寄りたくないが
あれだけの看板で嘘はないだろう
この街で空腹を満たすには唯一の場所のはずだ
仕方なくゆっくり店に近づいて行くと入り口の近くが騒がしい、
少し人が集まりだしていてイヤでも騒ぎの声が耳に入ってきた
「君のせいで昨日は死ぬかと思ったよ~」
「迷惑かけたんだからお詫びしてもらわないとね~?」
「やめて下さい!なにするんですか!?悪いのはあなた達じゃないですか!!」
人込みでよく見えないがどうやら女が絡まれているらしいな
・・・・迷惑なやつらだ、店に入れん
「ほんとっうるせー女だな!こっち来いよ!」
「やだっ!!」
「ここでみんなに見られながらヤラれたいの~?別にいいけど~?」
「な、なに言ってるんですか!?っだれか助けてください!!」
必死に女が助けを求めている
・・・しかし人間は白状だな
さっきまで立ち止まって様子を見てた奴らが顔を伏せて歩いていく
店の奴らや遠目に見ていた奴らにも今の助けを求める声は聞こえていただろうに
誰一人助けに行こうとしない
他人の為に面倒を背負うのはごめんだ
それが人間の本心ってとこだな
・・・まぁ俺もその一人だけど
早くどっかいけ、こっちは腹減ってんだよ
「誰も助けに来てくれないジャン!?」
「ちょっ!お前マジ可哀相なやつだな~!?」
下品な高笑い
・・・うざいな
「お、お願いしますっ!たすけてっ!!」
再び女が助けを求める言葉を叫んだ
・・・すごいな
・・・面白いくらい人がいなくなっていく
・・・まぁこれで俺は店に入れる
人がいなくなった道を進むと
さっきまで見えなかった騒がしい奴らが嫌でも目に入ってきた
いかにも頭に何も入っていないであろう2人組の男達に腕を引っ張られ連れて行かれそうになっている
・・・白髪の女
「・・・・・・・」
・・・見つけた
服装は昨日と違い普通の村娘のような服を着ているが
あの腰まである長いストレートの白髪、横髪に巻き付いた邪魔そうなピンクのリボン
・・・間違いない、昨日の女だ
「っ!あのっ!!お願いします!助けてください!」
女はすがる様な目線を俺に向け必死に叫んでいる
【男1】
「邪魔すんなよ~?さっさと消えろ!」
頭が空っぽそうな男が俺を睨みつけ命令してきた
・・・うざいな
・・・誰に命令してるだ?
・・・俺か?
「・・・雑魚が」