【29話】雷◾️多すぎる慰謝料
◾️◾️サンダー視点◾️◾️
「さ・・・だ・・」
「さんだー」
「さんだー!」
「サンダー!もう起きてよ!」
名前を呼ばれながら体を揺らされる
【サンダー】
「・・・うるさい」
「うるさいじゃない!もう起きてよ!お店を閉められないじゃない!」
まだ眠たい目をゆっくり開け顔を上げると
ルナが少し怒った様に立っていた
【サンダー】
「・・・なんなんだその格好は?」
不振な目で見つめてやる
ルナの服は胸が強調されたミニスカートに変わっていた
【ルナ】
「・・・お店の制服」
恥ずかしそうに苦笑いで答えた
全然気づかなかったが、この店の制服はこんなんだったか?
【サンダー】
「・・・お触りでいくら稼いだ?」
【ルナ】
「稼いでません!」
・・・触らせた方が稼げるだろうに
【ルナ】
「とにかく起きて!もうお店閉めるから!」
腕を引っ張られテーブルから離された
【サンダー】
「まだ待たせる気か?」
【ルナ】
「お店を閉めたら私は終わりだから」
そう言いながら俺が居なくなったテーブルを片付けて行く
【ルナ】
「外で待ってて、すぐ行くから~」
笑顔でバタバタと店の奥に消えていった
仕方ないので、外に出ると辺りは真っ暗だった
店の壁にもたれてルナを待つ
【サンダー】
「・・・・・」
考えないようにしても思い出すファイヤーの言葉が沸々と苛立ちを蘇らせる
【サンダー】
「あ~ムカつく野郎だ・・」
・・・死んではいけない人間?
だからなんだ
自分自身も守れない奴は、生きてたって大した役には立たないだろ
・・・どいつもこいつも
契約しただけで俺より強くなった気になりやがって
「サンダー!」
声に振り向くと店から出てきたルナが笑顔で手を振りながら走ってくる
【ルナ】
「ちゃんと待ってってくれたんだね~いい子いい子~」
頭を撫でようと伸ばしてきた手を叩き落としてやる
【ルナ】
「・・可愛くないなぁ~」
【サンダー】
「で?いくらもらえたんだ?」
恨めしそうに見上げるルナを無視してさっさと話を始める
【ルナ】
「ん~・・・それが・・・私達が食べた分を引かれちゃって・・・全然貰えなかった」
残念そうに肩を落とす
俺とファイヤーが食ったのはかなり高かっただろうから、貰えただけ良い方だろう
【サンダー】
「・・・アイツ食い逃げか?」
【ルナ】
「ん~お会計を忘れちゃったんじゃないかな?逃げたりしそうな人じゃなかったし」
苦笑いでファイヤーを庇う言葉をつぶやいた
・・・・
しばらく待ったがそれ以上言葉は無かった
【サンダー】
「・・・あの技能者から金、貰ったぞ」
【ルナ】
「・・・え?」
ポケットに入れていた金を呆気にとられたルナに渡してやった
【ルナ】
「・・・なんで早く言わないの?」
不振そうな目で睨んでくる
【サンダー】
「お前がどんな悪口を言うか楽しみにしてたんだが・・・面白くない奴だな~お前は」
つまらない様に言い捨ててやる
【ルナ】
「・・・本当に性格が悪いんだから・・・っうえ!?」
受け取った金を見て驚きの声を上げた
【ルナ】
「こんなに貰ったの!?多すぎない!?」
0が四桁あるお札が15枚あったはずだ
【サンダー】
「別に良いんじゃね?残りはお前にやるって言ってたから慰謝料だろ」
実際本当に慰謝料のつもりなのだろう
魔力の無いコイツに誤って攻撃してしまうなんて
・・・さすがの俺でも罪悪感が出るだろう
【ルナ】
「えぇ~・・いいのかな・・・」
が、本人は困ってるな
【サンダー】
「お前が要らないなら俺が貰うぞ」
そう言いながらルナが持ってる金を取り上げようとしたが避けられた
【ルナ】
「それはダメ!サンダーが持ってたら、全部お肉になっちゃうし!」
お金をかばうようにしながら叫んでくる
・・・意外と分かってるな
【ルナ】
「ん~、今度会ったらちゃんとお礼言わないと・・・」
【サンダー】
「結局貰うんだな?」
【ルナ】
「・・・そーゆー言い方しないで・・・」
肩を落としながら金をポケットにしまう
まぁ、これでしばらくは金の心配は無い
【ルナ】
「じゃあ、とりあえずホテルに行こうか?お金払わないと・・・」
呆れた様にホテルへと向かうルナの後ろを歩き出した