【91話】青◾️目障り
◾️◾️鷹視点◾️◾️
【ルナ】
「あ!見て見て!」
そう言ってルナは窓に駆け寄り空を見上げた
【ルナ】
「凄い満月だよ!綺麗!」
ルナの隣に立ち俺も空を見上げる
そこにはただの満月
【鷹】
「・・・うん、綺麗だね」
・・・そんなに感動するものではないが
ルナが嬉しそうなので合わせる事にした
【ルナ】
「・・・ここから、ヴィザールは見えるかな?」
・・・とても不愉快だ
・・・ヴィザールの名前が出てくるだけで
【鷹】
「・・・向こうの窓からなら、見えるかも?」
そう言って部屋の一番奥の窓を指差す
・・・それでもルナが喜んでくれるなら何でもしたいと思った
【ルナ】
「ほんとに?」
喜んでかけて行くルナに着いて行くように奥の窓の前に立ち
【鷹】
「・・・あれだよ」
外を指差す
街並みは森と防壁で見えないがヴィザールの中心に聳え立つ城は少し見えた
【ルナ】
「本当だ・・・あんなに遠いんだね」
少し寂しそうに小さく微笑んだ
【ルナ】
「・・・竜輝・・・何してるかな~?」
【鷹】
「・・・・・・」
一番、不愉快なのはアイツの名前が出てくる事
・・・あんな逃げ続けてる奴
・・・必要ないだろ
【ルナ】
「・・・鷹は竜輝の事、嫌いなの?」
顔に出てしまったのか心配そうな顔でみてくる
【鷹】
「・・・そんな事ないよ」
心にもない事を言いながら軽く笑ってあげた
【ルナ】
「そうだよね・・・良かった」
そんな俺の言葉で安心した様に笑った
【鷹】
「・・・ルナは」
・・・りゅうちゃんの事が好きか
言いかけて止めた
・・・聞かなくていい事だ
【ルナ】
「ん?なに?」
【鷹】
「・・・俺はルナが一番好きだよ」
ルナを抱き寄せて優しく抱きしめた
【鷹】
「・・・誰よりもルナが大好きだ」
・・・心からの言葉
こんな言葉で俺の想いが伝わるとは思わないけど
【鷹】
「ルナは俺の事、嫌い?」
俺の腕の中にいるルナに問いかけた
【ルナ】
「・・・ううん・・・好きだよ」
小さく、でもはっきり聞こえた
・・・その言葉で心が満たされる
・・・やっと、手を伸ばせば届く所に来てくれたのに手を伸ばさないなんて、俺には出来ない
・・・アイツは傷つきたくないから逃げてるだけだ
【ルナ】
「・・・鷹は・・・鷹は竜輝より私が好きなの?」
腕の中から顔を上げ寂しげな表情で静かに尋ねてきた
【鷹】
「・・・あいつは俺達には、もう必要ないよ」
アイツは変わった
・・・もう、昔のアイツは存在しない
【ルナ】
「・・・そんな事ないよ」
俺の言葉でルナは深く目をつぶり小さく返してきた
【ルナ】
「・・・鷹には・・・本当に・・・竜輝は必要ないの?」
そして真っ直ぐに俺を見つめ問いかけてくる
【ルナ】
「・・・竜輝も・・・鷹は必要ないって思ってるのかな?」
【鷹】
「・・・思ってるよ、あいつも絶対そう思ってる」
・・・俺からも自分自身からもアイツはずっと逃げてる
・・・そんな奴に俺が必要なはずがない
・・・必要とされたくもない
【鷹】
「・・・俺、ずっとルナの事が好きでルナの為に頑張ってきたんだよ?」
ルナに強くなった自分を見て欲しかった
だから、絶対に何からも逃げないと決めた
・・・全てから逃げてたアイツとは違う
【ルナ】
「私もずっと好きだよ・・・忘れた事なんて一度もない」
【鷹】
「これからも、ルナの為に俺、頑張るから
だから・・・」
【ルナ】
「鷹は・・・・」
俺の言葉を塞ぐようにルナが言葉を発した
【ルナ】
「鷹は・・・本当に私の為だけに頑張ってきたの?」
【鷹】
「っ・・・・」
予想外のルナの言葉に驚いた
・・・何を言ってるんだ?
【鷹】
「・・・当たり前だよ、俺の中にはルナしかいなかったんだから」
【ルナ】
「・・・本当に?・・・本当に私しかいなかった?・・・っ!」
ルナの言葉を塞ぐように唇にキスをした
【ルナ】
「・・・・・・・」
唇が離れても抵抗する事なく真っ直ぐに俺を見つめてくる
【鷹】
「・・・抵抗しないの?」
そんなルナの態度に思わず尋ねた
【ルナ】
「・・・しないよ・・・だって・・・私、鷹の事が好きだから」
ハッキリと断言するように返してきた
【鷹】
「・・・なら、俺の側にいてくれる?・・・誰よりも側に」
【ルナ】
「・・・鷹に私が必要なら・・・私はずっと鷹の側にいるよ」
そう言って優しく微笑んでくれた
・・・でも
【鷹】
「・・・なら・・・もし」
りゅうちゃんにもルナが必要だったらどうする?
【鷹】
「・・・・・・・・」
・・・聞けなかった
【鷹】
「・・・ごめんね・・・ちょっと焦り過ぎたみたい」
ルナから離れた窓から見える月に視線を向けた
【ルナ】
「・・・ごめんね」
小さなルナの声が聞こえた
見なくてもその声だけで泣いているのだと分かった
【鷹】
「・・・ルナは悪くない」
優しく抱きしめて頭を撫でた
【鷹】
「・・・だから・・・泣かないで」
・・・悪いのは
・・・変わってしまった
・・・俺達だ
【鷹】
「・・・泣かれると・・・俺も悲しくなるんだ」
・・・りゅうちゃん
・・・いい加減
・・・目障りになってきたよ




