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俺達は客船制圧に動き出した

 俺は少しダンジョンに入った後に、ホムンクルスに憑依してた奴らを探し出してやらないと。


 「スケさん、なかなかダンジョンが先に進まなくて悪いな」


 『気にしなくていいですよ、ワタシはマスターを手助けするのが仕事ですから』


 ダンジョンに転移して、31階層に進む為に30階層で3体の魔物を倒してドロップアイテムと、ちゃんとドラゴニュートの槍と盾も入手する。


 31階層に行って戻って来ると、深夜1時を回っていた。


 拗ねるといけないので、兎達も連れて来て今回はアラクネの相手をさせたのがダメだったかもしれない。


 アラクネの下半身の蜘蛛の部分が硬く、兎達の攻撃がなかなか通らない上に、兎達の連携も人の上半身と蜘蛛の下半身の連携に上手く捌かれて、なかなか決着がつかなかった。


 フェアリーを瞬殺したスケさんが手伝おうとしたけど、兎達は頑なに断って自分達だけでアラクネを倒そうした。


 俺はドラゴニュートと何度か武器を打ち合いながら、重力の魔眼でドラゴニュートの動きを止めて、腕の上がらない首をはねた。


 兎達の戦いは長引いたけど、今回は大怪我を負う事なく無事に決着がついた、兎達も満足そうな顔をしていた。


 部屋で兎達を帰還させて、俺はアパートを出て夕方の現場に戻る。


 陰陽庁の完璧な仕事のお陰で、俺が見た限りは痕跡は一切見あたらはい。


 「じゃあ、憑依してた奴らを探そうか」


 『はい、過去視と動印視を使えば問題ありません』


 そういって、スケさんが集中して少ししてから、道案内を始める。


 ビルの間を抜けて、相手と接触する前にウサギの被り物を被った。


 ある程度身バレをしても、陰陽庁が何とかしてくれるけど、やっぱり他の闇組織に顔バレするのはリスクが高い。


 そう思って、ウサギの被り物を捨てたのを後悔してた時、空間収納の中に何故か捨てたはずのウサギの被り物が入っていた。


 取り出してスケさんに確認したけど、知らないって言った後に、鑑定視を使って驚いていた。


 『マスター、ウサギの被り物ですけど、呪い付きの魔道具になっています』


 「へ?」


 『自動修復と軽量化、視界確保の効果があって、マスター以外装備不可と破棄不可の呪いがかかってます。


 防御力はほとんどありませんけど、被っていても被っている事を忘れてしまうくらい自然な被り心地の魔道具です。


 捨てる事は出来なくても、脱ぐ事が出来るので便利なんじゃないですか』


 「せっかく捨てて、指名手配されても平気だと思ったのに。


 でも、魔道具ってきくだけで、嬉しくなるんだから不思議だよな」


 そんなやり取りが数日前にあって、俺はウサギ男として復活をした。


 スケさんはクマやパンダも気に入っているけど、そっちの出番はまたいつか。


 太平洋に停泊している客船の中で、ホムンクルスを作る試験管と、様々なケーブルや管が繋がった機器。


 「しかし、あんな冴えない男に殺られてしまうとは思ってなかった」


 「能力者は見た目じゃ判断出来ませんからね」


 「あの男も、ウサギ男の関係者なのか?」


 「さぁ、ウサギ男との関係は分かりませんけど、あの男が陰陽庁の人間なのは分かりました。


 もしかしたらウサギ男も、陰陽庁に所属しているのかもしれません。


 少し陰陽庁に圧力をかける様に、頼んでおきましょう、日本政府だって俺達ホスピタルと揉めるのは嫌でしょうから」


 「確かに、陰陽庁に邪魔をされるのは面白くないからなぁ」


 「しかし、ホムンクルスのお陰で死ぬのを恐れずに動けるのはいいな。


 身体のスペックは本体とほとんど変わらないし、まるで本当の身体みたいだ」


 「あまりシンクロ率を上げない方がいいですよ、少し動きが鈍くなりますけど、痛みまで本体にフィードバックしてしまいますから」


 「痛みを与えられるような失態をしなければいいんだよ」


 「何を言ってるんですか、さっき冴えない男に殺られたばかりじゃないですか」


 「ふわはっ、はっは、あれは危なかった、もう少し精神接続を切るのが遅れれば、せっかくホムンクルスに命を肩代わりさせてるのに、危うく植物人間になる所だった」


 「笑い事じゃないですよ、フィネラルにも機動テストに付き合ってもらって、死体型とホムンクルス型での違いは分かってるんですから」


 「確か、死体型の方がシンクロ率を上げても、痛覚をフィードバックしないってヤツでしょ」


 「だったら死体型を使えばいいじゃないか」


 「そうはいかないんですよ、死体型は定期的に検査をしないと腐って壊れてしまいますし、ホムンクルス型と違って元になった死体で強さが変わってしまうんですから」


 「まぁ、一長一短はあるのは普通だろうからなぁ」


 「死体型もホムンクルス型も、100㎞離れたこの船から遠隔操作が出来るんだから、本体の僕達が危険な目に合う事はないんです、それだけで十分でしょう」


 「そうだな、自分達は安全な所でいくらでも危険な事が出来る。


 いざとなれば身体を捨てて、バーサクさせる事も出来るからな。


 あの男も狂乱状態のホムンクルス相手に手を焼いただろうな、上手くいけば道連れにしてるかも」


 「バーサクを使って狂乱状態にすると、情報がこっちに伝わらないのが残念ですよね」


 「狂乱状態みたいな精神的に影響のあるヤツは、シンクロ率関係なく、本体にまで影響が出ますから。


 せっかく使い捨て出来る身体を使ってるんです、本体をマモル為の機能は必要でしょう」


 「それは分かってる、新しいホムンクルスの調整が終わったら、今日の情報を元に動く。


 あの冴えない男もオオカミ男も、利用出来るもんは利用してやる。


 オオカミ男の方は、一緒にいた女を人質にでもすれば手出し出来ないだろう。


 冴えない男の方は、陰陽庁に所属している以外の情報が出てこなかったから、今度はもっと遠くから見張って、情報をあつめよう」


 「でも、あんな遠くからの視線を感じるって何者なんですかね」


 「それを調べて、利用出来るなら何でも利用するんだ、俺達ホスピタルが世界を牛耳る為にな」


 客船の中で会話をする男達を見て、俺はため息をついた。


 「世界を牛耳るって、どんな痛い妄想だよ」


 『確かに痛々しい妄想ですけど、武力と経済力があれば笑って済ませるレベルじゃありません。


 あの男達が、末端よりも少し中枢に近いとして、思想や目的が近しい者が集まるのが組織ですから』


 「暴れて船を沈めてないように気をつけて、全員捕獲して、八谷君への土産にしよう」


 『また、八谷君の仕事が増えますね、可哀想に‥』


 こうして、俺達は客船制圧に動き出した。

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